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雷鳴に永遠を観る

嫌いな色は使えぬもの
嫌いな色で絵を描こうとはしないもの

この世界の色を嫌う時、
この世界の色で絵は描けない


この世界に色は多い

一人一人に色が在り
一人の中に色々な色が在る


一人の色を嫌う時、
その色で絵は描けない

一人の中に色々な色が在るから
もはや色々な色で絵は描けない


グラデーションすらない白一色で
人も世界も描き切れぬ


僕の色を嫌う時、
僕は鏡を見られなくなる
鏡に映る色を見られない

僕が世界の色を嫌う時、
僕は世界を見られなくなる
目に映る色を見られない

色の一つも見られぬ時、
絵など描こうに描けぬもの

おざなりに描いたとて
己が描き上げた絵も見られぬもの

嫌いな己の色で描いた絵だから
嫌いな世界の色で出來た絵だから


僕は僕を嫌った
何色を嫌ったのだろう
僕は世界を嫌った
世界の何色を嫌ったのだろう

一人の中に色々な色が在るのに
僕は僕の何色を嫌った?

だいたい
僕は僕の何色を知っているのだろうか


一人の中の多色性は
世界の多色性に同じこと

世界の中に色々な色が在るのに
僕は世界の何色を嫌った?

だいたい
僕は世界の何色を知っているのだろうか


僕が僕の色を嫌う時
それは世界の色を嫌う時

僕が僕を見られぬ時
それは世界を見られぬ時


ああ、
先ずは自分を愛するとは
こういうことか

と世界の中の一つの色に発とする(ハッとする)

己の中の閃いた新たな色に発とする


雷のような一瞬の
閃光のような発色に
僕は発とさせられて
世界の中で僕の色が
鮮明な発色を帯び始める


雷鳴の轟に
一瞬の驚きと
永遠の感動と

音にも色が
刹那に色が


雷のような幸運を
望んで待って永遠に色を見ず

雷のような刹那の色を
一つ一つ重ねゆくのが
➖幸福の絵➖


雷を重ねて絵を描き切る


僕の描きたい絵とは
刹那の色の一つ一つを
重ね重ねて
永久を描いた極彩色の絵

未完成の完成を描くこと


僕も命も世界も人も
変わりゆくもの
変わらぬもの

一瞬の色を
永久の色を



祭統 白宇
SHIR㊉W


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