本棚は段ボール Vol.39 『人間そっくり』/安部公房
「箱男」見ましたでしょうか。
題にある本以外でのネタバレは避けたいので、多くは言えませんが、まだ原作を読んでいないので原作を読んで比較したいと、強く思いました。
どのような文章表現が、あの映像表現になったのか、それが非常に気になるところです。
安部公房作品の共通点を見つけた。
それは、主人公が、荒唐無稽な出来事に遭遇し、「そんなものには騙されないぞ」と最初は疑ってかかるのに、いつの間にか相手にすっかりペースを持っていかれ、なぜか相手の言っていることが正しいような気がしてきて、それで結局は騙されるというか、相手の思うままになってしまうのである。
そして、荒唐無稽な話なのに、読者である私たちも、理屈をこね回されるうちに、「確かに、この人の言っていることは間違ってはいない」というように、納得させられてしまう何かがあるというところが、恐ろしくて面白い。
この「人間そっくり」も、そんな、自分たちの常識がまず間違っているのではないかと疑ってしまうような安部公房の魅力に溢れた一冊でした。
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