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私と「水中の哲学者たち」

私は時々「何のために生きているのだろう」と考えることがある。
でもこの話を誰かにしたら、過度なまでに心配されそうで言っていない。
別に何かに悩んでいるわけでは決してなくて、率直な疑問である。

子孫を残すため?でもそうだとしたら、ここまでの進化を遂げて知能を持ったとしても人間関係で揉めたり、悩んで自ら命を絶つ人もいる。それなら人間は知能をここまで発達させなかった方が良かったのでは?そもそも知能って何を基準として測るのだろう。

ということを頭の中でぐるぐると考えると何だかどっと疲れる。
考えるって本当に疲れる。そうじゃなくてもこの世の中は考えなければならないことが多すぎる。

そんなことを思っていた時に出会った本が永井玲衣さんの「水中の哲学者たち」であった。初めて読んだ時、何だか胸につかえていた思考の糸がほぐれていくような感情を抱いた。

「哲学」というと何だか気難しくて、簡単に触れてはいけないような気がする。
でも実際は哲学はすぐにそばにあって、いつだって私達の「何で?」に寄り添ってくれる。私が時々考えてしまう、漠然とした「何でだろう」も立派な哲学なのである。

そうか。哲学か。
それなら気にすることなく、盛大に悩もうじゃないか。
私はこれからも生きることや死について問うてきた哲学者達と共に、水中のようなぼやけた世界を存分に楽しもうと思う。

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