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受験が終わったらリバイバル映画観に行くはずだったのに…

「解の公式」に捕らわれ
なかなか前へ
進めなかった高校生活

それでも
大学受験はやって来た

受験勉強を
いっしょにやってくれた人
数学をやさしく教えてくれた人
同じ大学の
キャンパス歩くことを
夢見た人
勉強の合間に
「海を見に行こうよ-」と
せがむと
「なに考えてるの?!」と
言いながらも
付き合ってくれた人
そこで
手袋を片方失くしても
怒らなかった人
たまたま通った神社で
願い事は
違ったかもしれないけど
いっしょに
手を合わせ祈った人
帰りの電車の窓から
見えた夕陽を
「きれいだ…」と言った人

そして
受験が終わったら
リバイバル映画を見に行こう…
約束した人

その日が来ることだけを
待ち望んでいた私
映画館の一番いい場所の席に
2人並んで座ってると
思っていた私
それは絶対叶うと
信じて疑わなかった私

受験が終わった…

果たして
その映画は
上映期間が終わっていた

その人は
「またリバイバルされるさ」と言ったけれど
そんな日は
ついぞ来なかった

私たちが
同じキャンパスを
いっしょに歩くこともなかった

私たちのそれぞれの道標は
違った方向を差し
二度と
会うことさえなく
月日は滔々と過ぎていった

「小さな恋のメロディ」の
小さな二人は
トロッコに乗って
旅立ったというのに
メロディの髪につけられた
小さなベールは風に
そよいでいたというのに