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路面の抽象画
- I -
深夜に窓ガラスがカタカタと鳴る音。風が吹いているようだけど、いつもと違う気配がする。こんなときに再び眠って、翌朝目覚めてカーテンを開けると、あたり一面に雪が積もっていることが多い。
そんなことを考えながら、また眠った。
朝になって、起き上がってカーテンを開けたら、本当にそうなっていた。この辺の気候では、雪がしっかり積もることなんて年に一回あるかどうかといったところだ。せっかくなので、そのまま近所を散歩して回ることにした。
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人の足跡、自転車が通った跡、もっと細くてなんだかわからない車輪のような跡。
アスファルトに積もった雪は、少しばかり凍結したように見える。踏むとザクザクする。そういう音が聞こえるというより、足の裏からザクザクした感触が直に伝わってくる。
音も聞こえていたかもしれない。まあどっちでもいい。全身でザクザクを感じながら歩く。
- II -
広域避難場所だったか、やたらと広い公園にたどり着く。小学校の一クラス全員で凧揚げとかしても全然余りそう。
舗装が異なると、レンガやタイルの模様に沿って、雪も違った表情を見せていた。
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平坦なアスファルトでも、何に由来するのかわからない模様が浮き出ている部分があった。
違う時期に舗装されて、地表から数センチ下の要素が少し違っていて、表面の温度がいくらか異なるとかだろうか。あるいは、消えて見えなくなった古い白線の幽霊。
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もっと単純に、たまたま通った車が綺麗なラインを残していっただけかもしれない。
- III -
特に変わった模様でなくても、積雪のテクスチャというのはそれだけで美しい。
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樹木の表面みたいにも見える。自然の風景、違うのに似がち。
- IV -
一時間と少しくらい、近所をぐるっと回って帰ってきた。楽しんで歩いていたので、そんなに寒いとも思わなかった。
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犬と猫はこたつに入ろうね。人間は何かあったかいものでも淹れるから。
</ 2025.2.8 >
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