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詩・ショートショート

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趣味の詩、ショートショートです
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2023年12月の記事一覧

[詩]裏表

[詩]裏表

嘘をつくようになった
私を見てくれないから

優しい言葉を並べるようになった
孤立したくないから

好意を見せるようになった
心が満たされないから

毎日が楽しくなった
利益が得られるから

欲しい
欲しい

君が好きだよ
君が好きだよ

君のことが1番好き
私を好きな君が好き

だからこれからも
だからこれからも

私が好きな君でいてね?

表の嘘の話

[詩]不眠

[詩]不眠

あなたの夜はどんな夜ですか

温もりに包まれたやわらかな夜ですか

期待に満ち溢れた
いつもよりも日の出が待ち遠しい夜ですか

寂しさに支配された冷たい夜ですか

不安で消えてしまいそうな
永遠に太陽が昇ってこなければいい夜ですか

煌びやかな夜を彩るために
仕事と向き合う退屈な夜ですか

あなたの朝はどんな朝ですか

目を瞑ればいつのまにか朝を迎える
それを当たり前にしてきましたか

眠ることが

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[ショート]緑のおはぎ

[ショート]緑のおはぎ

「こんにちは」

トンボ眼鏡に古い自転車
荷台に巻かれた漆の箱

お爺ちゃんは
緑色のおはぎを届けてくれる

世間話もそこそこに
母はその箱を持って家に入る

私はこのおはぎが大好きだった

緑色のきな粉に粒の粗い餅
中にはたくさんのあんこが入っている

このおはぎは何故緑色なのか
スーパーに並ぶ物と何故違うのか
その時の私にはわからなかった

「こんにちは」

焦茶色の縁側
白いふわふわと優しい

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[詩]しろいふでおき

[詩]しろいふでおき

カーテンの隙間が白んで見える
どうやらまた夜を超えてしまったらしい

一点を見つめていようと、目を瞑っていようと同じ

何度この夜を超えただろうか
何度この私を繰り返しただろうか
何度この私を止めようとしただろうか

何度も、何度も

ある日、巡り尽き果てた先に
ふと色のない朝を見た

終わらない夜を憂うよりも
色のない朝を杞憂とし過ごしてみよう

そうだ、新しい物語を紡ごう
ストレスの元凶ではな

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