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「カメラ新製品発表と同時にインフルエンサー情報解禁」というマーケティングは即やめてほしい

最近、カメラメーカー各社から新製品が発表される際、あらかじめ著名なインスタグラマーやYouTuberといった、いわゆる写真系のインフルエンサーの人たちに実機をあらかじめ貸し出し、情報解禁とともにレビューを一気にYouTubeやSNSにアップするというマーケティングが主流になっています。

個人的にこのマーケティング手法は誤解を恐れずにいうとクソだと思っています。あまり汚い言葉は使いたくないのですが、それほど忌み嫌っています。

忌み嫌う理由

なぜクソだと思うのか、Nikon Z8の発表を機に整理できたので、以下に理由をつらつらと述べていきたいと思います。

1.いいことしか言わない

供与されたインフルエンサーは押し並べて「いいことしか言ってない」のです。無料(おそらく)で、まだ世に出ていない実機を使わせてもらえるわけですから、そりゃいいことしか言わないのは決まっています。しかしながら、どんな製品にも欠点はあるはず。自分の使い方にはこの機能は使いにくい、とか、やはり重さが気になる、とか、EVFの切り替えが妙に遅い、とか。
確かに欠点が少ないカメラも世の中にはあります。しかしながら、粗探しでも重箱の隅でもいいから、欠点を伝えてほしい。「スナップで気軽に撮りたい人には、この重さは気になるだろう」「メニュー操作のレスポンスがよくないので、設定を細かに変える人はストレスになるのでは」など、なんでも良いので個々の使い方に合わせた欠点を言ってくれるとより参考になると思うのですが、それも(ほとんど)ない。

2.同じことしか言わない

1.に似ているのですが、結局ほとんどの人が同じことしか言わないのです。今回のNikon Z8の件で強く思うのですが、「Z9の機能のままサイズを小さくしてすごい!」ということしか言わない。あとはスペックの紹介とかでしょうか。確かに、ほとんどの人が「これがいい」「ここがいい」と言っている部分は、本当にいいことなのでしょう。しかし、1.のことも相まって「ほんとか?」という穿った見方をしてしまいます。

3.販売してから欠点がゾロゾロと出てきて目立つ

実際に発売が開始され、プロや一般のカメラファン・写真愛好家に実機がわたると、「なんだここのボタン?」「やっぱ重い」「AFが迷いまくる」「EVFが意外とみにくい」「フリーズする」など、様々な欠点が出てくる。そして価格.comやレビューが荒れる。もう様式美のようなものです。あらかじめ「EVFは旧機種よりも見にくいかもしれないです、その分安くなっています」といったことが知られていれば、そこまで重箱の隅をつつくようなレビューは出ないでしょうし、「自分はEVFはあまり使わないからな」と納得した上で購入することができる。そこまで強い欠点とも思わないでしょう。しかし、そう言った欠点に全く触れずにレビューとして出てくるので、「あえて触れなかった」と思わざるを得ない。なので実際に触った時にその欠点がかなり目立ってしまう。

4.インフルエンサーを利用するからこそアラが目立つ

以前同じようなことを話した際、「メーカーの宣伝でも欠点は言わないだろう」と言われたことがあります。確かにそうです。しかしながら、宣伝とは違いインフルエンサーという「有名な一般の人」という第3者を利用しているわけです。メーカーが直に宣伝している訳ではないのにも関わらず、直に宣伝をしているかのような内容でしかないことに、非常に違和感を覚えます。なおかつ、「再生回数1万回突破!ありがとう!」といったツイートを見ると、結局再生回数稼ぎでしかないじゃないか、と思わざるを得ない。なんのためにメーカーは貸し出しているのでしょうか。

5.広報宣伝部の怠慢と思ってしまう

インフルエンサーに宣伝の肩代わりをさせているようであれば、それは広告や広報の方法を間違っています。メーカーだからこそできる、開発者に丁寧にインタビューをして、発表してから発売まで気分を高揚させていく手法だってとれるはず。社内の人に実際に使ってもらうなど、メーカーだけで完結させたほうが、よりカメラに対する愛着や、予約してから実際に届くまでの気分も高まっていくのではないかな?と感じます。インフルエンサーはそのカメラだけではなくて色々なメーカーのカメラを使うはずですし(もちろんそのメーカーしか使ってない人もいますが)、結局宣伝担当としては弱いのです。

メーカーにもインフルエンサーにもマイナスでは?

このマーケティング手法をいつまで使うのかはわかりませんが、私は一刻も早くやめてほしいと思っています。仮にこのまま行うのであれば、メーカーの検閲などをしないで、「何を言ってもいいですよ」という誓約書を交わしてレビューさせるほうがいいと思います。最初から完璧な製品なんていうものは、この世の中にはないのはわかっています。そこに触れないで、あくまでも第三者のレビューとして公開させるのは、メーカーもインフルエンサーも信頼度はただ下がっていくだけになる気がします。「インフルエンサー=ファンビジネス」になってしまったので、インフルエンサー同士で褒め合い、そしてファンも「素晴らしいレビュー!」として褒めるしかない。

シュリンクし続けるカメラ業界は、強烈なファンを固定化してもっとお金を費やす方向に振っていくしかないのかもしれませんが、このままではファン自体減っていってしまう。私自身、カメラ熱も上下の波はありますが、昔よりかは落ち着いています。新製品が発表され、情報解禁と同時に一気にYouTubeやSNSに賞賛レビューが出るたびにうんざりしています。その点は自動車も一緒かもしれませんが、まだ自動車評論家と言われる人たちが、試乗会できつい苦言を言っていたりするので、まだまだ大丈夫なのではないかなと考えています(マツダのYouTuber起用も謎ですが)。

そろそろ、以前のような健全なレビュー、情報解禁に戻ってほしいと、切に願います。

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