コラム「新風」
フォトグラファーの北山さとです。
「白石方一のとっておきの京都手帖」、編集・撮影を担当しています。
たくさんの方から反響を頂き、白石さんと私も嬉しい限り。
皆様からのお声やご要望に対して、時には私のつぶやきとして、北山さとのコラム「新風」を綴ろうと思います。
白石さんとの出会いは、彼が京都新聞社の社長につかれてからであるから、かれこれもう15年ほどになる。
共通のイベントで何度も出会いを重ねていた。
ある時、京都でのイベント開催をご一緒することがあった。
休日にそのイベントを一人で訪れる白石さんを見かけたことがあった。
彼は観客目線に立ち、再度、丁寧に点検していたのだ。
こんなにもフットワークが軽く、気さくな社長。
まるで時代劇で殿様が市井に出て、一人で視察をしているようで私には面白く映った。
そして、一緒にイベントを無事に成功させようと強く思った。
またある時、彼が主催する京都広告界の集いが古刹の醍醐寺であり、今、ベストセラーとなっている「赤と青のガウン」の著者・彬子女王をエスコートされていたことがあった。
彼は誰に対しても接する態度を変えない。
ジェントルマンだった。
実は、彬子さんと彼は同じ誕生日。
軽やかな話題で和やかな空気を生み出してたいのだろう。
いつしか彼と私は、京都を愛する点で意気投合していた。
お互いがそれぞれの立場を卒業したら、いつか、「京都を訪れる人たちに、喜んでもらえるような『とっておきの京都』を伝えられたらいいですね」と語り合ったことが思い出される。
時代は令和となり、私達は互いにこれまでの立場を卒業し、新たな道を歩んでいた。
立場が変われど、互いに連絡を取り合ううちに、「とっておきの京都手帖」を夢で終わらせず、叶えていきたいとの熱い思いに至った。
その情熱のせいか、私達は若返っているような気がする。
黒髪ボリューミーな白石さんは、今なお京都市内を所狭しと自転車で駆け回る健脚の持ち主だ。
まったくお腹が出ていない。
一方の私は、白髪混じりのウズラの卵のようである。
ビールっ腹をへこませ、出てないふりを度々するユーモアも健在。
私達は、弥次さん喜多さんコンビではないが、白黒コンビで人生の珍道中を楽しんでいるところだ。
ともに仕事の合間を縫ってであるが、「とっておきの京都」を伝えるために、あなたの街を白黒コンビが走り回っている。
…かもしれない。
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