【金曜日のしかけ#7】上司は応援する人
すみません!「日刊7秒しかけ」なのですが
毎週金曜日は「7秒しかけ」ではなく、フツーの会社の「すごいしかけ」を紹介します。
フツーの会社の「すごいしかけ」とは、GoogleやAmazon等の一流企業が実践しているしかけではなく、隣の優良な中小ベンチャー企業にしかけ研究家白潟がインタビューさせてもらい発見したしかけです。
第7弾の「すごいしかけ」は「上司は応援する人」です。
「上司は応援する人」ですと言われてどう感じますか?
『上司って、管理する人/マネジメントする人では? 応援する人というのは違和感あるなぁ』
『上司はリーダーであり、指導者であり、サポートする人では? 応援する人ではない気がしますね』
『応援する人は部下からすると頼もしい存在だと思います。ただ、応援する人は自分ではプレイしない、部門目標達成に向け努力しない人だと誤解を招きそうです』
そうですよね。そのような感想が一般的だと思います。
今回紹介する「すごいしかけ」は、上司とは何なのか、何をする人なのかという認識にパラダイムシフトをおこし、マネジメントに成功した上司のしかけです。
「すごいしかけ」を実践している木島マネジャーは上司の定義を「上司は応援する人」だと捉え直し、たった5人から34人のエンジニアーチームをつくりあげ、メンバー育成と組織の拡大に成功している上司です。
そんな「すごいしかけ」を紹介していきます。
1 上司が応援する人だと、どうして上手くいくのか?
どうして「上司は応援する人」だと認識するだけで、
メンバー育成と組織の拡大に成功したのか?
そのなぞを解き明かします。
皆さん応援しているスポーツ選手いますか?
『もちろん、いますよ』
そうですよね、その人たちのこと好きですか?
『はい、大好きですね』
もっと活躍してもらいたいと思いますか?
『もちろん、MVPとってもらいたいしチームは優勝してほしいです』
「上司は応援する人」だと認識すると、自ずと部下を好きになり、彼らが活躍することを切に願う気持ちが芽生えます。
※日刊7秒しかけでは通常「メンバー」と呼んでいますが、今回はあえて「部下」と呼びます。
この「好きである」と「活躍してもらいたい」の2つが肝だと思います。
部下のことが「好き」であれば当然、部下に興味・関心をもちます。
部下に興味・関心を持てば
・ 部下のことが気になる
・ 部下のことを気に掛けたくなる、観察する
・ 部下のおもいや考えていることを聴きたくなる
・ 部下のことを理解したくなる
・ 部下に共感したくなる
・ 部下とコミュニケーション取りたくなる
これら6つを無理なく自然に実践でき、難なく継続できます。
さらに、部下の信頼を失う言動はしないし、部下のモチベーションを下げることもしたくないでしょう。
その結果、部下との関係は良好になり、信頼関係も厚くなります。
部下の上司に対する心理的安全性は高く、気軽に相談でき言いたい事は何でもいえるようになるでしょう。
つぎに、部下に「活躍してもらいたい」と心の底から願っていれば、
部下が将来どんな活躍をするのか部下と話したくなります。
・ 部下の強みはなんだろうか?
・ 部下の強みをどうやって生かしていけばいいのか?
・ 部下が活躍するには、どういう仕事を任せればいいのか?
・ 仕事に対する部下の疑問や悩みにどうこたえていけばいいのか?
・ 部下が活躍するために必要な育成環境はなんだろうか?
・ 部下にOJTは必要なのか?
・ 部下の好きなやり方で仕事をしてもらいたい
このようなことを部下と共に考えながら部下の将来の目指すべき方向を決め、部下の育成サポートを続けます。
決して、上司の思い通りに部下を動かそうとは思わないし、
上司のやり方を押し付けることもないでしょう。
木島マネジャーは部下に『資格を取った方がいいのでは?』
と一度も指導したことがないそうです。
ところが、部下は自発的に資格を取るために勉強してるんです。
多くの上司が部下に「当事者意識をもってもらいたい」と切望しますが、なかなかそうなりません。
木島マネジャーは、それを難なく実現しているのです。
(この会社の行動指針「ATI(圧倒的当事者意識)」を実践させています)
部下に心の底から「活躍してもらいたい」と願い、部下と共に将来のキャリアを考え育成環境を整備し、仕事を任せれば部下は自分で考えるように変わっていきます。
その結果、部下は自分で将来のゴールから逆算し、今の自分に必要な知識・スキルを設定し習得すべく努力するんです。
いかがでしょうか?
上司が「部下を応援する人」すなわち「部下のファン」になれば、
部下のことが「好きになり」部下に「活躍してもらいたい」と心の底から願います。
その結果、部下へのマネジメントが上手くいくんです!
次の図を見てください。
部下のマネジメントに必要な18個の要素のうち、「部下のファン」になればクリアできる16個の要素(オレンジ色のボックス)を示しています。
上司が「部下のファン」になればいいことだらけのようですが、受動的なイメージはぬぐえません。死角はないのでしょうか?
・ 上司自身が誰よりも努力し、成長し続ける
・ 部門のビジョン・目標達成に向けてチーム一丸となる
・ 部下を叱る
・ 部下をしつける
これらの4つは上司が「部下のファン」になっただけでは実践できない気がします。
2 社長による幹部育成
木島マネジャーは、上司である本間社長の育成によりこれら4つのテーマに時間をかけチャレンジし解決しています。
本間社長は社員50人くらいのころに、組織を拡大するためには幹部育成が極めて重要になると考え、自身の時間の2割を使い自ら幹部育成を本格的に始めました。
・ エンジニアとして技術を探求し続ける(幹部に背中を見せる)
・ ミッション・ビジョン・行動指針のこころを語り幹部に腹落ちさせる
・ 社長が幹部へ3つの変革点を伝え、社長の指導と幹部同士のグループコーチングで変革していく(成長サポート)
・ 幹部にマネジメント研修(19テーマ)を徹底的に受講させる
・ 社長と幹部の合宿で「思考法」「課題発見力」「事業開発力」を育成
本間社長の精力的な幹部育成により木島マネジャーは、上司が「部下を応援する人」になっただけでは実践しにくい4つのテーマも実践できる最強のマネジャーに育ちました。
3 このしかけのすごいところ
このしかけを実践してる木島マネジャーは、34名の組織を率いるプレイングマネージャーです。
ご想像に難くないと思いますが、34名の組織をマネジメントしながら現場で自身もプレイングをこなすというのは並大抵のことではありません。
事実、木島マネジャーも昔はマネジメントに苦戦されていたと聞きます。
・ 部下が期待通りの仕事をしてくれない
・ せっかく一緒に決めた成長へのアクションを全然実行してくれない
・ 再三伝えている内容なのになかなか意識してくれない
そんなどの上司でも日々頭を悩ませていることに同じく悩んでいらっしゃったそうです。
結論から言えば、そんな木島マネジャーがマネジメントのほとんどの悩みから解放されたきっかけが
「上司は部下を応援する人なんだ」
と”上司”という役割をパラダイムシフトしたことでした。
たったそれだけのことで多くのことが得られたのです。
① リーダーが育ち組織が拡大した。
木島マネジャーのマネジメントは5人のチームから始まりました。
組織を拡大していくには、マネジメントができるリーダーを増やさなければいけません。
ただでさえ忙しいプレイングマネージャーがどうやってリーダー育成をしたのか。
実は何もしていないそうです。
木島マネジャーの下で「応援された部下」は、自然と自分がされて心地よかった応援マネジメントをまねしてリーダーになってくれました。
(そもそも今の時代に部下が管理職を目指してくれるだけでもすごいことです!)
② 退職率が大幅に減った。
木島マネジャーの部署はIT業界としては異例の退職者が平均年間で1人という驚異的な退職率3%を誇ります。
部下の退職率にかかわる要素は多いですが、部下のことが好きな「応援する上司」が部下のモチベーションを下げないというのが大きいと思います。
加えて、「応援する上司」が自分の将来のキャリアを共に考えてくれ、育成環境を整備し仕事を任せてくれるので自分でモチベーションを高められます。
例えば、1on1をするとき「何か相談ある?」というスタンスの上司も多いですが、応援する上司は「自分が話したいから来た。時間取ってくれてありがとう」と言うそうです!
(もちろんメンバーがカルチャーマッチしていたり、上司の傾聴力が優れていたり、他にも要素はあります)
ロバート・K・グリーンリーフというアメリカ人によって提唱された「サーバントリーダーシップ」という考え方は昔からありました。
「上司は応援する人」という木島マネジャーの上司の定義は、「サーバントリーダーシップ」の考え方に似ています。
上司は「奉仕する人」「尽くす人」と考えるよりも「応援する人」ととらえた方が、より自然にチームメンバーのために尽力することができると私は感じています。
34年間経営コンサルタントとして生きてきた私はこのしかけをきいた時に素直に”やられた”と思いました。
”なぜこんなシンプルですごいしかけを自分の手で生み出せなかったのか”、と。
マネジメントに悩んでいる上司に一石を投じるすごいしかけだと思います。
「上司は応援する人」というしかけが、上司の皆さんがマネジメントを考える上での新たなきっかけになり、マネジメント力の更なる向上に少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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包容力抜群で泰然自若な本間社長が経営している会社です。
現在、3つの事業を展開されています。
今日も、「日刊7秒しかけ」を読んでくれてありがとうございます。
それでは、また来週!