火星人 【詩/現代詩】
この前 はじめて
あいつらに会ったとき
みじめな気持ちになった
こっちの方がまだましだ とか
まさかこんなふうではないだろう
とか もっとひどいのかも
などと 一喜一憂して
はてもなく あれや これや
あんなこんなで もやもや
おわりなき妄想が わいた
あいつらは
みえるたびに かたちを変えるので
ぼくらの意識も安定しない
ボールになったり トゲトゲになったり
戦車になったかと思うと 花瓶だったり
見る方向でかわる いまいましい
ミサイルぶち込んで きれいさっぱりと など
思ったりもするが みえるたびに
すがたをかえるので
情緒不安定 とてもとまどう
仕方ないので グダグダしゃべる
擬音で埋まった機械語でしゃべる
とつぜん 無音になる
とても不自然な 沈黙
ふいに仕掛けてきそうだ
わけもなく 変なこといって
何されるかわからない 不気味さ
その無音がおそろしい にらみ合い
いまのうちに 逝かしたろか
熱線いっぱいあびせて
きれいさっぱり 強制終了 してまおか
そろそろな
と とたんに とろろ昆布になって
すまし汁にとびこんでいく
ミトコンドリアのように
うつら うつらと
眠りの斜面でやわらかにすべり
とりとめのない地蔵みたいに いつのまにやら
街角にまぎれてみたり
今日も真夏のような天気
ラーメン つくね クリームソーダ
たぬき ごぼう 天然かき氷
クールエイド
当選確実
喜びすぎてもう立つこともできない
火星人がびっしりと