<美文字ノ素>書写ト書道ノ授業④
書ノ芸術性
昨日は書写と書道の違いを考えてみました。
書写は文字を綺麗に整えて書くこと。
一方、書道は文字の美しさを表現しようとする造形芸術であって、これを私なりに解釈したのが、
「書く人・書いた作品」と、「見る人・読む人」がいて、その二者がお互いに刺激しあって、感動したり、嬉しかったり、楽しかったり、泣いたり、怒ったり、嫌な気持ちになったり、、、でもそれがお互いに共感できたら、とっても素敵!!
というものでした。本日はこれを明快解説してみたいと思います。
まず、こちらをご覧下さい。
こちらは、おなじみの教科書でよく使われるフォント
教科書体を使用してつくった「強」と「弱」です。
教科書体と呼ばれるだけあって、もっとも正確な文字の形状をしていて、誰もに見やすく、読みやすい書体で、書写のお手本してもよさそうなほど整っています。
さて、この2字に芸術的なエッセンスを加えた作品を2セット書いてみました。
まずはこちら<A>
そして、もう1セットがこちら<B>
<A><B>どちらが好きですか?
小学校で同じ質問をすると
大多数の子ども達に人気なのは<A>
・「強」が本当に強く見えて、「弱」は弱そう
・漢字の意味にあってる
・<B>は「強」が強くなくて、「弱」が強そうでなんか変
などの意見がでます。
まったくもってその通りで、
「強」をとにかく力強く書くこと、「弱」をとにかく弱々しく書くことを意識して制作しました。形や筆法だけでなく、筆を変えたり、墨を変えたりといった工夫もしてみました。
「書いた人」と「見る人」の感覚が一致した例となります。
一方、<B>はどうでしょう?
子ども達のなかでは、ごく少数派ではありますが、<B>が好き!という子がいます。
理由をきくと、、、、
「ギャップ萌え!!」と答えれくれました笑
「弱」が強くて、「強」が弱いのはなんか変なんだけどそれが逆に気になる!というのです。
おもしろい感性ですね!そして少数派としてしっかり自分の意見が言えるのも素晴らしいと思います。
結論として、
私は、<A><B>どちらを選ぶのが正しいかなんてないと思います。
好きなものを好きといい、さらに何かを感じ取ってもらえたら作家冥利につきます。そしてこの一連の活動が書の芸術たる所以と考えます。
最後にひとつ、
<B>の作品、
私もただ<A>との比較のために、わざと逆に書いたというわけではないということだけはお伝えしとかなければなりません。
ちゃんと作品に想いを込めて作成しました。
この作品のタイトルは
「つよがり」
です。
本当は弱いのに強そうにみせなければならないことがあったり
弱そうに見えてじつは強い信念をもっていたり
文字に思いをのせて書くのはとても面白いです。
さて、<A><B>あなたはどちらがお好きですか?
次回は書の芸術性を踏まえた上で、丁寧に書くことを考えます。
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