デザイン読書ログ#3 「デザインのデザイン」 | 塩 | note
こんにちは、塩です。今回は、デザイン系の書籍を読んで得た知見を抜粋してまとめつつ、個人的な見解を綴っていこうと思います。
「デザインのデザイン」より抜粋
①情報を享受する人間は、感覚器官の束である
デザインシステムという単語をご存知でしょうか。簡潔にいうとデザイン周りのガイドラインなどの情報を明確にし、構造化したものです。デザインと情報は密接に関わりを持っています。そのため、デザイナーも情報の建築をしなければなりません。その際に、人間が持つ感覚から得られる情報が役立つと「デザインのデザイン」に書かれていました。感覚的なもの、つまりインスピレーションから生まれるアイデアは、全て自身が経験してきた記憶に基づいているという話を聞いたことがありますが、私たちは当たり前のようにインプットしてきた経験を脳内で連想し、情報の紐付けを行い、応用(アウトプット)するプロセスを繰り返しているのだと思います。
②感覚から得た情報は、記憶の中に経験として蓄積される
①に通ずるトピックですが、経験という一括りでまとめていても、イメージを形成するための要素はたくさんあると筆者は考えています。
経験と表現すると、とんでもなく大きい出来事を思い浮かべるかもしれませんが、例えば、日常の些細なことでも、積み重なって習慣化されたり、五感から得た情報で、なんとなく印象に残っていることモノはきっと存在するのではないでしょうか。
③「イメージ」とは?
そもそもイメージとはどういったものを指すのか、というのも定義されていました。情報の建築を噛み砕いていくと、どうやら新たに入ってきた情報と過去の記憶が紐付き、新しい気づきとして一つにまとまることを指しているようです。筆者はこの体験こそが体験価値に繋がっているのではないかと思っています。なぜなら、自分の脳に既にインプットされている記憶から、もう一度得たい、もっと知りたいというプラスの感情が一際強いものと、実体験がピタッとコミットする時が、ユーザーエクスペリエンスの気持ち良いと感じる瞬間と捉えているからです。
④究極のデザイン
読み進める中で、興味深いワードがありました。それが「究極のデザイン」です。無印良品の例が挙げられていましたが、実際にエゴイズムを完全に排除することは、なかなか難しいのではないかとも個人的には思ってしまいます。価値観というものは個々の人間に根付いており、どんなに意識的に排除しようとしても、こだわりが少しでもあれば、きっと"こっちの方が良い"と無意識的に思ってしまうのが人間だからです。もしこうだったら、という想像力は決して悪いことではありませんが、一度考えてしまうと、思考が固定化されてしまう可能性があるため、常に広い視野と、柔軟な思考を意識していく必要がありそうですね。
⑤世界合理価値
柔軟な思考への近道として、とても有効な考え方だと思いました。他人からこれでいいと言われるとマイナスに捉える方もいるかもしれません。ですが、今回伝えたいのは、他人軸ではなく自分自身がこれ"で"いいと思えるくらいの高品質なクオリティを目指していくこと、ということです。
⑥着眼大局、着手小局
視野を広げるための手段として、まず挙げられるのは「余裕を持つ」ことです。余裕を持って物事に取り組むことで、適切な判断ができるようになると考えています。自分にとって本当に価値のあるコトものを取捨選択していくことは重要ですが、常に走り続けていると、視野が狭まり、自分への負荷も大きくなります。一度立ち止まって判断する時間を作るだけでも、目標までの道筋が見えやすくなり、さらに効率よく物事を進めることができるのではないでしょうか。
⑦デザイナーの知性とは
取捨選択をするためには、大切なものを見抜くスキルを養う必要があります。「情報の質」は、ピラミッド型で表すことができます。
上に行けば行くほど、信憑性や鮮度が高い情報になっていることが多いです。得られる情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと、つまり”情報を使いこなす力”を身につければ、必要な情報を見極めることができます。これこそが情報リテラシーと言われています。
さいごに
デザインをする上で大切なのは、「必要な情報の取捨選択」と、「向き合い方を自分で判断すること」です。自分自身の考えに固執して、エゴイズムに縛られていたり、他人軸で苦しんでしまうような状態を避けるためには、天秤がどちらか一方に傾かないようにバランスを見極めなければいけません。そこに時間を費やすことは良いことだと思います。
少しでも自分のことについて考えるきっかけやデザインのヒントになれば幸いです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。