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書評:モリエール『タルチュフ』

宗教権威の袈裟を着た偽善者の物語

今回ご紹介するのは、フランス文学よりモリエール『タルチュフ』。

宗教の権威という袈裟を着て、人々を騙し財産を毟り取っていくという偽善者の物語である。

見事に人の足元をすくい、タケノコはぎのように相手が無一文になるまで執拗にしがみついてくる。
こういう宗教的偽善というのは、平常時においては大抵眉唾物と映るのだが、不安時(殊に慢性的不安時)においてはいとも容易くつけ込んでくるのだからたちが悪い。

偽善者には気を付けねばならないという警鐘として読むことができる。

本作では、王が全てをまるくおさめるという形で決着がつき、一件落着である。ここにはモリエールによる王権への阿諛追従が見られるような気がし、私個人的にはいまいち納得のいかない終わり方であった。世の中そんなに救世主はいないだろうという気もする。

それはさておき、人の「信用・信頼・信心」に付け込むという騙し方は古今東西枚挙に暇がないもの。現代も然りである。その手口を描いてみせる点では、本作は傾聴に値する作品ではないだろうか。

読了難易度:★☆☆☆☆
偽善者の手口巧妙度:★★★☆☆
オチがしっくりこない度:★★★☆☆
トータルオススメ度:★★☆☆☆

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