勉強しようとしない中学生が机に向かうには?

(小学生なら声掛けの工夫で間に合うけど、中学生だと手遅れで絶望的じゃないか!という相談に対し)

それでしたら、「中学2年生になったら、机を並べて(あるいは席を並べて)一緒に勉強しよう」と伝えるとよいと思います。しばらく覚悟が育つ時間を確保した上での約束だと、難しい思春期の子でも、案外約束を守ります。この場合も「一緒に」ってのがポイント。

子どもだけがやれ、と言ったって無理です。でも、「一緒に」だと話が違うし、親と席を並べるなんて嫌だ、と言いつつ、やはり本人もやらなきゃな、とは思っているので、渋々でも約束を守ろうとします。まずはここから。

そして4月の決めておいた日が来たら、実際に席を並べて一緒に勉強します。親は本を読んでいてもいいし、洗濯ものをたたむのでもいいし、アイロンをかけるのでもいいです。一緒に同じ時間、同じ空間を過ごすのが大事。その際、大事なのは、決して注意しないこと。

できれば、本などを身じろぎもせずに読んでいるのがいいです。子どもが落ち着かず、トイレに行ったり、イスをギコギコいわしたり、貧乏ゆすりしたり、鼻歌歌ったり、教科書に漫画はさんで読んでいたりしても、放っておいて、「集中とはこういうもの」という見本を見せてください。

すると、そのうち子どもは、落ち着きのない自分が恥ずかしくなってきて「仕方ない、宿題でもするか」ってなってきます。およそ1か月ほどかかりますが、いったん決まった時間になったら座って勉強する、という癖がついてくると思います。

一緒に席を並べる時間ですが、あまり長時間を設定しないこと。せいぜい1時間。その間、自分自身が身じろぎもせずに集中し、姿勢も正して本を読んでいる姿でも見せてください。すると、子どもも次第に、本当に徐々にですが、集中できる時間が長くなっていきます。

私の父の同級生は、小学生の間は一緒に遊び回っていた悪ガキの一人だったそうですが、「中学生になったらお父さんと机を並べて勉強しよう」と告げられていたそうです。それまで勉強なんかしたことない、って子どもだったようですが、中学1年生のうちにダントツの1番に。

私自身も、それを父にやられました。中2の11月に私はある事件を起こし、しょぼくれているとき、父から「一緒に机を並べて勉強しよう」と言われ、しぶしぶ従いました。しかし勉強なんかやったことがないですから、いかにしてサボるかばかり考えていました。

教科書に漫画を挟んで読んだり、イスをギコギコ言わせて鉛筆を鼻でくわえたり、ノートに落書きしたり、好きな女の子を思い出してボーッとしたり。ところが左を見ると、父が一心不乱に集中して勉強しているんですよね、身じろぎもせずに。すると恥ずかしくなって、「しゃーない、少しはやるか」。

定期テストの1週間前なんて勉強したことありませんでした(遊んでばかり)が、毎日2時間、机に座って勉強するようになって、「仕方ない、範囲の勉強でもするか」となりました。すると、全然やっていなかったのがやりましたから、成績上がりました。好きな理科しか勉強しないから理科だけだけど。

すると、「もっと点数とりたいな」となり、「理科はこれ以上高得点が難しいから、まだしも嫌いじゃないほうの社会もやるか」そのうち英語、数学、国語、と手を伸ばすようになって、学年の平均値を見事うろついていた私が、クラスで3番にまで成績を上げました。

実は、父と一緒に勉強したのは3カ月ほどで、父は自分の試験が合格すると勉強しなくなり、夜9時から11時までの間、寅さんの映画を見て隣の部屋で笑っていました。でもその頃には私も調子が出て、夜9時になったら机に向かう癖がついていました。

軌道に乗るまで、一緒の時間、一緒の空間を味わいながら、一緒に学ぶといいと思いますよ。とても効果的。

補足:いきなり「今日から始めよう」と言っても抵抗されます。新学期が始まるタイミングなど、キリのいい時期から始めよう、と声掛けするのが吉。その時が来るまでに子どもの中に覚悟が育ち、シブシブでも、案外約束を守ります。

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