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対人関係の行き違い、行為者-観察者バイアスに注意!
今回は、対人関係において行き違いをもたらすバイアスの一つについて。
自分が仕事でミスをしたときは、
「忙しすぎたから仕方ない」
同僚がミスをすると、
「だらしない人だな」
そんなふうに思ってしまった経験はありませんか?
私たちは、知らないうちに他人の行動を厳しく評価しがちです。
実は、これには心理学で説明される「行為者-観察者バイアス」という心のクセが関係しているかもしれません。
このようなバイアスがあることを知っているだけでも、冷静に自分や相手を観ることができるので、参考にしてみてください。
行為者-観察者バイアスとは、自分と他人の行動を説明する際に、原因の捉え方が異なる傾向のことを指します。
自分の行動については状況や環境などの外的要因を理由にしやすいのに対し、他人の行動については性格や能力などの内的要因に原因を求めがちです。
このバイアスが、対人関係のトラブルや誤解を生む要因の一つになり得るのです。
私たちは自分の行動を説明するとき、その場の状況や背景に目を向けます。
例えば、「遅刻をしたのは電車が遅れたから」と考えることが多いです。
一方で、他人の行動を説明するときは、相手の性格や能力に焦点を当てがちです。
「あの人が遅刻したのは時間にルーズだから」と結論づけるのです。
このように視点が異なることで、対人関係に行き違いが生じやすくなります。
このバイアスが生じる理由には以下のようなものがあります。
1. 視点の違い
自分の行動は直接的に体験しているため、状況要因に注意が向きやすくなります。
一方で、他人の行動は観察する形になるため、状況よりもその人自身に注目しやすいのです。
2. 情報の偏り
自分については多くの状況情報を持っていますが、他人についてはその人の性格や行動に関する表面的な情報しか知らない場合が多いものです。
3. 自己防衛
自分の失敗やネガティブな行動を状況のせいにすることで、自己イメージを守る心理が働きます。
例えば、職場でのミスを考えてみましょう。
自分がミスをした場合、「急ぎの仕事が多くて確認する時間がなかった」と状況を理由にします。
一方で、同僚がミスをした場合、「注意力が足りない」と性格に原因を求めがちです。
このような行為者-観察者バイアスが働くことで、不必要に相手を批判的に見てしまい、誤解を生む可能性があります。
対策は、逆の見方をするというシンプルなものです。
1. 相手の状況を考える
他人の行動を評価する前に、「その人がどんな状況にいたのか」と相手の状況や背景を考えてみましょう。
2. 自分の行動を振り返る
自分の行動についても、性格や能力がどのように影響していたかを考えてみることで、公平な視点が得られます。
3. 対話を増やす
直接相手に状況や理由を尋ねることで、誤解を減らすことができます。
行為者-観察者バイアスは、誰にでも起こる自然な心のクセです。
このバイアスを意識して対策を取ることで、他人への理解が深まり、誤解やトラブルを減らせます。
「状況を考える」「相手に聞いてみる」といった簡単な工夫が、対人関係を良くする第一歩です。
ぜひ意識してみてください。
今回は、対人関係の行き違いである「行為者-観察者バイアス」に注意しましょう、という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師