行動できない理由は「自信」のなさと「プライド」の高さ
今回は、行動できない理由に「自信がないこと」に加えて「プライドが高いこと」も関係しているという話です。
相談の仕事をしていますと、行動することができずになかなか前に進もうとしない方がいらっしゃいます。
自分に自信がなくて行動できないとおっしゃいます。
しかし、お話を聞いていると、どうも理想が高いという一面が伺えます。
こうなりたいという理想が高い。
本来自分はこうなるべき人間だという思い。
目標とする理想の状態にまで一足飛びに行ける方法を知りたい。
残念ながら、現実を生きている限り、一歩一歩地道に進まなければいけません。
このような性格傾向が強すぎると、自分の現状はさておき、自分が掲げる理想から離れている他人を批判する言動まで出ることがあります。
このような方を見ていると、「自信」と「プライド」の矛盾を感じます。
今回は、どうしてそのような矛盾が生じるのか、またどのような対処が考えられるのかを書いてみます。
行動ができない人の傾向に「自信」のなさと「プライド」の高さを併せ持っているというものがあります。
「自信」と「プライド」は近い概念なので矛盾を感じます。
理想は高いのだけれど、それを叶えるために行動するだけの自信がない。
そのため、同じ場所から先に進むことがない。
なぜそのような性格傾向になるのか?
要因の一つに養育者や環境からの過保護があるのではないかと思います。
過度に保護されて育つと、自分の力で対処するという実体験を得にくくなります。
家の中ではわがままも通り万能でいられるので、プライドは大きく育ちます。
一方、学校などの外では自分は何もできないことを実感し、自信の低下につながります。
「理想の自己像」と「実際の自己像」がかけ離れる状態。
人間は生まれたばかりの頃は何もできないので、養育者に保護されなければ生きていけません。
自分の欲求をすべて叶えてもらえるので、この頃に万能感が芽生えます。
ただし、その後も過保護のまま育つと、万能感から脱することができなくなるのです。
適度に失敗体験がなく免疫ができていない状態で外の世界に出ると、傷つくことに過度に不安になります。
失敗を恐れる気持ちが強いと、完璧を求めがちになります。
完璧主義が相まって、さらに行動ができなくなるという循環が生まれます。
「自信」のなさと「プライド」の高さを併せ持つ人の話をしてきました。
では、私がそのような方々と関わる中で行動できるようになってもらうために心がけていることは何か。
アクシデントに寛容になる、という姿勢です。
性格傾向を変えたり、行動できるようになったりするのは簡単ではありません。
ただし、生きているといろんな出来事が起こりますよね。
ちょっとしたトラブル、予想していなかった出来事、思い通りにいかないことなど。
そういう出来事を回避しようとします、このような方々は。
でも起こるものは仕方ないので、アクシデントを受け容れて対応してもらうのです。
そうすることで、少しずつ自分の力で対処できた体験を積むことができます。
その結果が結局は自信につながるのだと思います。
ご本人にもアクシデントに寛容になってもらいますが、サポートする側の私もアクシデントを見守ります。
周りがこれまでのように手を差し伸べ過ぎて、ご本人の力で対処する経験を奪わないことが大切です。
自信とプライドの間を埋めるものは、生きていれば生じる出来事に対する寛容さかなと思います。
今回は、行動できない理由は「自信」のなさと「プライド」の高さという話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師
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