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実際よりも人から注目されていると思う心理

今回は、『実際よりも人から注目されていると思う心理』という話をさせていただきます。



今日の髪型は少しおかしい・・・
シャツに汚れがついている・・・
睡眠不足で目の下にクマが・・・

その場にいる誰もがそのような自分の欠点に気づいて、心の中で笑われているのではないか・・・

たとえばこのように自分が気になることを周りが注目していると思う心理があります。
今回はこの心理について説明します。



このように思ってしまうのはある心理効果が働いています。

スポットライト効果」です。

自分が気になることがあると他者も同じくらい気にして、そこに注目していると思う心理です。

外見的な特徴やコンプレックス、しぐさなどがその対象になりやすいです。

似ている心理として以前の記事で「透明性の錯覚」について書きました。
こちらは自分の考えや気持ちが実際以上に他人から見透かされていると思い込んでしまうことです。
人前で話す緊張が実際以上に他者に伝わっていると思うような心理です。

一応違いを説明しますと、以下のようなものです。
「透明性の錯覚」は、自分の内的な状態が他者に見抜かれているのではないかと思うもの。
「スポットライト効果」は、自分の外的な状態が他者に注目されているのではないかと思うもの。


心理学者のトーマス・ギロビッチが1999年にこのような実験をしています。

一般的に少し恥ずかしいと思うTシャツ を実験参加者に着てもらい、教室に入ってもらいました。
教室を出てから「何人くらいがTシャツに注目したと思うか?」と質問しました。
同じ方法で実験参加者を入れ替えて複数回行いました。

結果はTシャツを着た人たちは、実際にそのTシャツに気づいた人数よりも多い人数を答えました。

実際以上に自分の外見的特徴に他者が注目していると思い込む例です。


どうしてこのようなスポットライト効果が働いてしまうのかというと、

それは、私たちが自分を手掛かりとして相手を判断しがちな傾向があるからです。

他者の内面というのは結局のところ、わかりません。
ですので、推測しようとします。
そのときに自分の状態、感じ方、とらえ方を手掛かりに相手を判断しているのです。


スポットライト効果が強いと自意識過剰な状態になるわけですが、これを防ぐ最も良い方法は、
人間が誰しも持っている心理であることを自覚することです。

自分の外見を人に見られているのではないかという考えにとらわれそうになったときに、
「今、スポットライト効果が働いているのだな」
「意外と見てない見てない」
と冷静になって考えてみると良いです。

とらわれすぎてしまうと、必要以上のエネルギーを使ってしまいますし、
本来やるべきことにパフォーマンスが発揮できなくなってしまいますので。



今回は『実際よりも人から注目されていると思う心理』ということでスポットライト効果について説明しました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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