他人を一般化して自分を特別視するコミュニケーションギャップ
今回のテーマは、人との間のコミュニケーションギャップについて。
自分と他人との間でコミュニケーションギャップが生まれるのは、物事を具体的にとらえるか、それとも抽象的にとらえるかで違いがあるからという話があります。
「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問(細谷 功)という書籍の中でそのことが取り上げられています。
この書籍を大まかに説明すると、物事を具体と抽象という軸によるとらえ方があり、具体と抽象を行ったり来たりと往復する思考回路を持つと、思考力がアップするというものです。
いろんな物事を具体と抽象で考えたり、具体的な事を一度抽象化して一般的なものや共通点を抽出してからまた別の具体的なものに当てはめることで転用したり、という方法やその練習問題が書かれています。
その中でもコミュニケーションのギャップを具体と抽象で説明する例があり、なるほど本質を突く、と思ったので共有させていただきます。
「具体⇄抽象」トレーニングの中で、人は他人の事に関しては一般化して自分の事に関しては特別視する傾向(バイアス)があると書かれています。
例えば、
「○○さんは外向的な性格だから人付き合いで悩まないでしょう?」
と他人の事を一般化して考えやすい。
だけど、言われた当人は、
「自分の場合は特別でそんなに簡単にひとまとめにされたくない」
と思う。
書籍の中ではこのようなコミュニケーションギャップの例にダイエットを挙げています。
ダイエットがうまくいかない人へ、
「食べる量を減らして運動をすればいいんだよ」
と一般的な事を安易に言ってしまいます。
だけど、言われた側は、
「自分のケースは特別だから当てはまらない」
という言い訳を必要以上にすることになります。
抽象化は共通点を抽出すること、具体化は違いを明らかにすることです。
具体と抽象で考えると、他人の事は一般化して抽象レベルでとらえ、自分の事は特別視して具体レベルでとらえるということが起きています。
このような傾向があるために、他人には簡単にレッテルを貼るくせに自分がそうされると不満を抱きます。
「外向的な性格だから人付き合いで悩まないでしょう?」
とレッテルを貼るように言った人も
「内向的な性格だから友人が少ないのではないか?」
と自分にレッテルを貼られるような言い方をされると、
「内向的でも自分の場合は例外だから決めつけないでほしい」
と思います。
他人の詳細までは考えずに簡略的にとらえるけれども、自分の事なら詳細にわかっているから複雑にとらえる。
ここにコミュニケーションギャップがあるのです。
この自分と他人の間で生じるバイアスを抜け出すために書籍では、逆のバイアスを意識することが勧められています。
自分の事は一般化して抽象レベルで考えて、他人の事は個別で詳細な具体レベルで考えるようにする。
常にそのくらいの意識でいるのがちょうどよいとのことです。
今回は、「具体⇄抽象」トレーニングから、他人を一般化して自分を特別視するコミュニケーションギャップを紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考文献】
「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問(細谷 功)
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小林いさむ|公認心理師