【読書note】キャリアを彩る人材紹介の進化:過去から未来へ、労働市場の変遷に対応する革新戦略 vol.2
こんばんは、芝本です。
2024年1月1日に今回の記事の第1弾をアップしました。人材紹介の事業を立ち上げたので、人材紹介や求人広告などの歴史を知っておいた方がいいと思ってアウトプットしました。4,000文字オーバーの力作になっているので、ぜひ時間のある際に見ていただければ嬉しいです。
今回の記事は、長らく転職支援サービスの二大列強だった「人材紹介」と「求人広告」に変わるビジネスモデルや、ボクが取り組んでいる人材紹介の未来についてアウトプットしていきます。
転職支援サービスの空白地点とは?
採用を検討している会社が求めているものは、当然「求める人材を採用できるか」です。つまり、劇的に採用コストが下がっても、自社が求める人物像に全く当てはまらない候補者は採用しないんです。これが、採用における大前提になります。
この人材業界特有の大前提によって、サービスの価格を下げるのではなく、サービスのクオリティを向上させる戦略でこの業界は20年間発展してきました。つまり、転職支援サービスは高価格帯に特化してきたということです。(※バラツキはありますが、年収400万円の人材の採用コストは約120万円ほどです。)
しかし、いまはテクノロジーの進化によって、従来の「人材紹介」と「求人広告」では難しかった低価格帯の領域に企業やサービスがどんどん参入してきています。それが、下記に代表されるソーシャルリクルーティングです。
文字数が膨張するのでそれぞれのサービスの説明は省きます。
そして、ソーシャルリクルーティング同様に、空白地帯の低価格サービスとして殴り込んできた最強の刺客が、リクルートが買収をしたアグリゲーション型の求人サイト『indeed(インディード)』です。
アグリゲーション(aggregation)とは、「集約する」や「まとめる」などの意味があります。つまり、ネット上の全ての求人情報をまとめて表示するサイトのことです。このサイトは「職種」や「エリア」を入力することで、ネット上にある全ての求人がズラッと表示されるので、転職を検討し始めた求職者視点で考えると、とても取っ掛かりやすいサービスですよね。
企業の人事部採用担当が考えるべきこと
現在の日本を取り巻く環境はどうなっているのでしょう。
改めてですが、少子高齢化が加速し、就労人口が減っていくと予測されているからこそ、人材確保はほぼ確実に激化することになります。つまり、優秀な人材から選ばれる企業になる必要があるということ。では、実際にどのようなことを考えていく必要があるのでしょうか。
1. 働きがいのある環境の提供
多様性と包摂性:多様なバックグラウンドを持つ従業員を受け入れ、尊重する文化を築く。
ワークライフバランス:柔軟な勤務時間、リモートワークのオプション、有給休暇の充実など、従業員が仕事と私生活のバランスを取りやすくする。
2. 継続的な学習とキャリア開発の機会
教育とトレーニング:専門スキルやリーダーシップスキルの向上を目指した研修プログラムの提供。
キャリアパスの明確化:従業員がキャリアビジョンを設定し、それを達成するための支援を行う。
3. 競争力のある報酬と福利厚生
公正な報酬体系:市場調査を基にした競争力のある給与の設定。
充実した福利厚生:健康保険、退職金制度、従業員支援プログラムなど、従業員の安心を支える制度の提供。
4. 社会的責任と持続可能性への取り組み
エコフレンドリーな取り組み:環境に配慮した事業活動や社会貢献活動に積極的に関わる。
倫理的な経営:透明性の高い経営を行い、従業員、顧客、社会から信頼される企業を目指す。
5. イノベーションと柔軟性
新技術の採用:業務の効率化や新サービスの開発に向けて、最新技術の積極的な採用。
柔軟な組織構造:変化に迅速に対応できる組織体制の構築。
6. エンプロイヤーブランディング
強力なブランドメッセージ:自社が提供する独自の価値や文化を明確に伝えるブランディング戦略の展開。
ソーシャルメディアとの連携:SNSを活用して、企業文化や従業員の声を積極的に発信する。
優秀な人材に選ばれる企業になるには数々の施策が考えられますが、ソーシャルリクルーティングに関しては、「6. エンプロイヤーブランディング」の取り組みが大切になります。
転職支援サービスの未来シナリオ
転職支援サービスの未来を考えるうえでのキーワードは2つ。
超高齢化社会にまっしぐらの日本は、就労人口の減少にともなう人材獲得難の時代に突入しました。これからは20代前半でキャリアをスタートさせて、70代まで働く未来がやってくるでしょう。つまり、50年間のキャリアを考えていく必要があります。
そして、下記のニュースによると、企業の平均寿命は23年そこそこ。新卒で入った企業で生涯勤め上げる人は激減し、計算上2つ以上の企業に勤めるという計算になります。
また、採用担当によっては新卒で入社した会社で勤め上げてきたビジネスパーソンよりも、複数社を経験している方を高く評価することも多くなる時代になります。また、一生涯会社に直接雇用される「正社員」という働き方意外にも、フリーランスや個人事業主というカタチで独立したり、会社を立ち上げる人や副業や復業など、さまざまなパターンの働き方が増えてきます。この辺の働き方に関しても、別記事で取り上げようと思います。
企業ニーズ
今後も、企業が転職サービスを選ぶ基準は、自社にとっての「優秀な人材」を、「手間なく」「安く」採用することですね。
いままでは「人材紹介」と「求人広告」が主流だった転職支援サービスですが、いまは既に上述したソーシャルリクルーティングが盛り上がってきています。Wantedllyに関しては、月々40,000円の利用料で、350万人の利用者に自社の情報をリーチさせることが可能になります。
上記のように、企業としての見せ方を工夫して、注目ランキングに取り上げられると、その効果は絶大ですね。年間で採用人数が1人だったとしても、掛かる費用は480,000円/年。アカウントを運用する手間は掛かりますが、企業ニーズのひとつである「安い」は、人材紹介と比べて大きく差別化できますね。
マネジメント層とプレーヤー層の転職支援の違い
マネジメント層の求人はそもそも少なく、非公開であることが多いです。なぜなら、会社にとっても業績を左右する重要ポジションなので、社外に公開しないことの方が多いのです。広く募集できない分、よりフィットする人材を紹介する必要があるので、人材紹介の介在価値は今後も高いゾーンになりそうですね。
戦国時代になっていきそうなのは、圧倒的ボリュームゾーンであるプレイヤー層です。ここは従来の人材紹介や求人広告、indeed(インディード)、ソーシャルリクルーティングなどなど、新旧のビジネスモデルで取り合うこと未来が予想されます。
しかも、indeed(インディード)やソーシャルリクルーティングは、旧来の人材紹介や求人広告と比べて格段に安い。企業にとってひとつの魅力である「安く」採用するという観点でいうと、新型の転職支援サービスに軍配が上がりそうです。
求職者ニーズ
一方で、転職を検討している求職者のニーズは、大きく分けて以下の3つに集約されます。
プレイヤー層が転職を検討し始めると、まず気になるのが「1」と「2」ではないでしょうか。とすると、求人数が圧倒的に多いindeed(インディード)や、気軽なソーシャルリクルーティングサービスが求職者ニーズを満たし、求職者とのファーストタッチを根こそぎ持っていってしまう可能性があります。
今後は加速度的に、人材紹介を活用するメリットは「3」のみになるかもしれませんね。人材紹介に流れてくる案件は、難易度の高いものが増える可能性が高いです。つまり、人材紹介側のレベルアップが生き残っていくためにはとても重要になります。
個人的に、キャリア支援の仕事を通してたくさんのビジネスパーソンにお会いすることが多いですが、キャリアビジョンを描いている方はそれほど多くないように感じています。下記の記事でも書いていますが、『どんな状態でありたいか』を明確にするところからがスタートです。自分のゴールを設定することが転職活動支援のファーストステップなので、ボク自身はここにとことん向き合って、介在価値を高めていきます。
つまり、人材紹介側のレベルアップとは、下記だと考えます。
ただ、求職者に報酬額の高い案件をひたすらに紹介するエージェントから淘汰されていく時代に突入します。人材の流動性が高まっていくからこそ、転職支援サービスのニーズはより高まっていくと信じて、これからも自分自身のレベルアップを図っていきます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。