#2 好き=仕事?志望動機の考え方|光文社新入社員の出版就活
好きだけじゃ通用しなかった
おいも:体験記を読んでいると「本が好きだから出版社」っていう考えの人が多かったよね。
モリー:たしかに自然な動機やね。
おいも:それでひとつ疑問が浮かんだんだけど、そもそも好きなことを仕事にするというのは成立するのかな?けーきちくんは本好きでそのまんま出版社に入ったけど、どう?
けーきち:正直、まだ仕事してないからはっきりとはわからないけど。笑
一同:確かに。笑
けーきち:でも、成立すると思うな。むしろ自分の好きなことじゃないといずれ潰れちゃうだろうな〜と思った。
シカマル:おいもちゃんは好きと仕事は別だって、前に言ってたよね。
おいも:そう。でも最初はけーきち君と同じ考えだったんだ。マンガが大好きだから、マンガ編集、いいな〜って思ってた。夢があるし!だからもちろん、S社とかも出してた。結局そこはESの書き方が甘くて落ちてしまったんだけど。
KB:選考早い会社だもんね……。
おいも:うん……。ただ、ESをより上手に書けるようになってからも、マンガ編集で応募してたところは結構落ちてて。その代わりに雑誌・書籍とかライフスタイル関連に応募したところは割と通ってたんだよね。
一同:うんうん。
おいも:私ってマンガ編集者向いてないのかな、ってちょっと悲しくなったんだけど……。でも一回、「仕事にして本当に楽しいのかな」ってきちんと考えてみたんだ。
シカマル:自分にとっては純粋な娯楽でも、それをお金で考えないといけなかったり、出版社と作家の間に立たされたりとか…。仕事ならではの大変さもあるだろうね〜。
おいも:そうなんだよ〜〜〜!!!悔しいけど、その過程もほどよく楽しいと思えるのは、フィクションより現実のコンテンツの方だなって気づいた。
KB:でた!!リアリスト!!!笑笑
おいも:実際は、だからマンガでは受かんなかったのかなって勝手に納得させたんだけどね。笑笑
▲おいもが最近よく着る服。
まさにREALIST。現実主義者です。
「好き」を貫いたら通った
けーきち:僕は多分おいもさんと真逆だったと思う。「好き」で書いたら大体通ったから。
一同:すげ〜〜〜〜〜〜〜。笑
けーきち:「好き」で通ったから、ああこれでいいんだって肯定してしてもらえた感じがした。んで、そのまま突き進んだっていうのはある。
モリー:そういう人が身近にいたら凹んでたかもしれん。
けーきち:でも一社だけESで落ちたんだよね。理由がはっきりわかってるんだけど、「一発芸を書け」って欄があって。嫌だったから空欄で出した。
一同:wwwwww
KB:いくら優秀でも空欄は落ちちゃうね。笑
けーきち:そん時は、合わなかったんだなって。笑
おいも:でも、けーきちくんの本の話っていつも的を得ているというか。なんか聞きやすいよね。「好き」を貫くにもアピールの仕方次第だと思うな〜。
シカマル:何かESで工夫してたとこはある?
けーきち:ただ「読書」ではありきたりだから、どこまで自分が知識を持っているか、どこまで本に興味を持っているか、分かってもらえるように書いた。
KB:ほほう。
けーきち:例えば、「原稿を依頼したい作家は?」みたいな質問だったらメジャーな作家は書かずに、まだ注目されていない好きな作家を書いたりとか。あとは、企画を書く欄にはなるべく詳しく書くようにしたな。だいたい書籍の企画を出していたんだけど、「好き」を実際の仕事に繋げる具体的なイメージを読み手にしてもらえるようにした。
おいも:どこまでも読者ファースト……!さすが先生!!!
けーきち:笑笑 でも面接で「好きを仕事とするわけだけど、それだと煮詰まらない?」って言われて困ったこともあったよ。
KB:核心をついてるね。
けーきち:でも、自分は本と少しでも繋がった仕事じゃないと逆に潰れる気がした。だから素直にそう話したかな。
▲Zoom飲み会で書評をするけーきち。
それだけで毎回30分は喋る。
好きと得意についての話
モリー:シカマルはどう?
シカマル:俺はけーきちくんと同じで、「好き=仕事」って考えてた。「仕事だから、頑張る!」よりもやりがいを感じたかった。
モリー:好きなものに関わってこそやっていける、みたいな?
シカマル:そうそう。自分にとっての働く意味が想像しづらいところだと、俺はあんまり身が入らないんじゃないかなっていうのを感じていて。「何かを作った時に誰かが喜んでくれる」「これが誰かのためになる」とか。あとは何より、自分自身が仕事に精力的に取り組む姿を一番イメージできたのが出版業界だった。だから、結果的には自分の好きなことが仕事選びに結びついたかな、と思ってる。
一同:なんか深い………!
おいも:シカマルにひとつ質問!私は結構「好き」と「得意」は別物で考えていて、得意なことが仕事になった方がいいと思ってるんだけど、そこはどう?
シカマル:その考え方は間違いないと思う。だけど、得意は後天的にどうにかなるんじゃないかと思うんだよね!平たく言えばこれから次第で。なんかすっごい苦手なことを頑張り続けたら、逆に得意になっちゃったっていうのが昔あったんだよね笑
けーきち:それはすごい。努力家なんだね!
シカマル:だから、不得意とかをあんまりマイナスに勘定してない。それがどんくらい正しいのかはわからないけど、得意よりも好きが優先だったな〜〜。
好きの中にも種類がある話
KB:シカマル君といえばテラハや映画好きなイメージだけど、その仕事したいとは思わなかった?それも含めて考えてたのか、そうじゃなかったら、テラハとかの好きと出版の好きってどう違ったのかな、っていうのが気になる!
シカマル:エンタメ系や映画会社も視野には入れてたかな。でも結論から言うと、あんまり出さなかったし、出しても受からなかった。趣味としてすごく好きだけど、「やっぱ趣味だな」っていうか…。それ以上の存在ではないなーって映画会社のES書きながら思ってたかな。
モリー:あ〜確かに。
シカマル:出版の中でも、特に文芸は大学で勉強してた内容と繋がるところがあったから、きっとその先を追求する気持ちがあったのかな。俺の中では、趣味と、もうちょっと深いところまでっていうのは違ったかもしれない。
けーきち:そこは僕も似たような感じかも。大学で研究することもあったし、サークルで創作側になったりもしたし。
シカマル:趣味だと楽しんで終わっちゃうとこがあると思うけど、もっと掘り下げて考える機会に、学業がなってたんだね。
KB:シカマルくんとかけーきちくんが文学部だったっていうのもあると思うけど、研究とか、趣味以外の関わり方を通して仕事と結びつく感じがあるのかも!
おいも:好きの中にも種類があるっぽいね!好きの中にも、単なる趣味と、将来的に得意なことにシフトしていける可能性があるもの、あとはそれをイメージしやすいもの…とかいろんな要素があることが分かった!
好きなことより楽しいことで選んでみた
けーきち:モリーくんはずっと体育会でサッカーしてたけど、それ関係の仕事には興味なかったの?
モリー:もちろん、興味あったよ。プロの選手になれたら一番いいんだけど、実力的にプロにはなれないって分かりつつプレーしてた。
シカマル:スポーツって実際はシビアだよね……。
モリー:やっぱり「サッカーの仕事っていいな」って思ってた。でも、別にあんま楽しくなくて。アルバイトで少年サッカーのコーチをやったり、大学の体育会で広告売るのもやったんだけど…。
一同:う〜ん…。
モリー:サッカープレーするっていう、一番好きがもう無理なわけで。じゃあどうしようかなってなった時に、本が好きっていうより、出版社の働き方がすごい楽しそうだなっていうのが漠然とイメージであった。それで出版社を選んだっていう感じかな。
KB:出版社にどんなイメージを持ってたの?
モリー:エンタメはすごく自由なイメージ。その中でも出版社は、本というちょうどいいニッチさがあると思う。
KB:あ〜なんか分かるかも!笑
モリー:で、いろいろ調べて実際どういう仕事するかって考えた時に、やっぱり楽しいんだろうな、自分に合ってそうだなっていうのに気づいたんよ。すごい奴と働けるとか、イチから企画できるとか……それに、世の中を動かせるかもしれないし!
シカマル:なんかワクワクする!!!
おいも:確かにそれは楽しい要素かも……!自分に向いてると思ったところは?
モリー:サッカーしているとき、プロになるような凄い奴らも一緒のチームにたくさんいて。でもそういう奴らに、ある程度は自分の実力を認めさせることができた実感があったんだよね。だから、出版社でも優秀な人たちに食らいついていける自信があった。そういうところは向いてるかなって考えてたかな。
シカマル:めちゃくちゃかっけえっすパイセン…!!!!!
好きってどんどん変わるよねって
けーきち:KBさんは5人の中で唯一社会人経験があるけど、どう思ってる?
KB:私は好きなものがいっぱいあって、かつ変わりやすいから、モリーくんが体験記で書いてた「仕事は名詞で選ぶな」っていうのに凄く共感して。サッカーが好きだからサッカーの仕事するとか、ファッションが好きだからファッションを仕事にするとかは、何も考えてないと危ない説がある。飽きると思うんだよね、いつか、絶対。
おいも:確かに、それは怖いところかもしれない…
シカマル:飽き性なの?笑
KB:……うん。いくつやめた趣味があることか。笑
モリー:KBが飽きる仕事をしたくないっていうことは分かったけど、それに理由はあったりすんの?
KB:う〜ん、難しいな!笑 もう今の彼氏のことは好きじゃないけど引き続き恋愛するのは好き、とか、この服は飽きたけど服買いに行くのは引き続き好き、とか。名詞より動詞の方が好きが長く続く感じがするんだよね。
おいも:それはすごい分かる。
KB:あと飽きると「好き」って気持ちが弱くなるから、単純にモチベーションが保てなくなるのかな。
シカマル:うわ〜〜それもあるな〜!
KB:例えば大学生の時、憧れのお店でアルバイトしたことがあったんだけど。それまでは「超素敵!」って思ってたのに、中に入ると一気に「普通の店やん」となって憧れの気持ちが冷めてしまった。その結果、最初にあった「憧れのお店で働く」というのだけではモチベーションが保てなくなったりしたんだよね。
おいも:働くまでは、消費者として関わってることが多いもんね。
KB:そうそう。そういえば、そもそも仕事と普段とで、好きなものとの関わり方が違うな、……っていうのを、実際に社会に出てから実感しました。笑 特に仕事はやっぱお金のことを考えないといけないのがきつい。
一同:めちゃくちゃ説得力ある。笑笑
KB:さっきの話になるけど、「名詞で選ぶと危ない説」というのはそこにもつながるのよ。好きなものの名詞に紐づく仕事はたくさんあるから、紐づいた仕事だからと選ぶとじつは自分のやりたいことじゃないということが起こりうる。
シカマル:モリーくんがサッカー関連の仕事つまんないって言ってた話もそうだね。
モリー:それな。気づけて良かったわ。
けーきち:世の中にはいろんな職種があるけど、学生にはなかなかイメージしづらいしね。
KB:雑誌が好きだから編集者になりたい、というのはもちろん最高の理由だけど、じつは誌面の文章に惹かれていたりして。会社にもよるけど編集者は文章書かないことも多いから、「文章書きたい!」が本当にやりたいことだったら、その人はフルには満たされないかも。
けーきち:そういう意味では、出版社も編集だけじゃないしね。
KB:そうだねえ。こんな風に「好きな名詞」と実際の仕事はイメージと違うことが多いから、それを避けるために、「動詞において何が楽しいか」の方を考えるようにしてた!
おいも:めっちゃ考えてるなすごいわ……。
この回のまとめ
どうして出版業界を目指した?
5人とも本は好きだけど、単純に「本が好き」という人、「得意」を仕事にしたいという人、「働き方が面白そう」という人などなど、出版業界を目指すきっかけはそれぞれでした。
働いているイメージが志望動機につながる!
消費者として本が好きでも、実際の仕事は全く別物、ということもあるようです。自分が仕事をしているイメージを明確にしておくことが、志望動機を固める上で重要なのかもしれません。
志望動機、どうやって掘り下げた?
”名詞”をキーワードに選ぶと、自分がやりたいことができなかったり、それ自体に飽きてしまうかもしれません。自分が”何を好きなのか”というよりも、自分が”何をしたいのか”を考えるのは、志望動機を書くときの参考になるかもしれません。
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