キャラクター語り:トリスタン【小説:Tristan le Roux/赤髪のトリスタン】
アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の未邦訳小説「Tristan le Roux/赤髪のトリスタン」を底本にしています。
総合目次:
神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(Tristan le Roux/赤髪のトリスタン)
訳者あとがき:キャラクター語り
翻訳者だって「ひとりの読者」としてネタバレ感想書きたい!
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
ここからは、各章の「登場人物紹介」ページの順番にならって、私が思ったことを書いていきます。
トリスタン・ル・ルー(赤髪のトリスタン、21歳)
本作の主人公。オリヴィエの従者でミステリアスな青年。
硬いが整った横顔、熾烈さを感じさせる雰囲気と、思慮深く不安そうな横顔をしている。着古した紫色の服に、フゾーという太ももの半分まで届く長いブーツを履いている。二匹の黒い犬(トールとブリンダ)と黒馬バアルを従えている。
飛びかかってきた狼を、素手で絞め殺す。
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トリスタンについて:ネタバレあり
作中にも書かれているように根っからの悪人ではない。
トリスタンの思考と行動は、オリヴィエに対するコンプレックスが根源にある。
アリスを好きになったのもオリヴィエへの対抗心からで、トリスタン自身が心から惹かれた相手はジャンヌひとりだったと思う。
愛を渇望しているのに、心身の強さゆえに弱みを見せられず、素直になれない。
コミュ障で、愛を告白するとなぜか脅迫になってしまう。
どうしたら、トリスタンは幸せになれたのでしょうね。
オリヴィエ(カルナック家)とフランスを裏切った時点ではまだしも、エティエンヌを殺して喜んでいるシーンで、一読者としてかなり引きました。「主人公として許されない行為でしょ、安易なハッピーエンドだと不満が残りそう」と。
その後、眠れないほど苦悩しているのを知って、殺戮を喜んでいたのはトリスタンの本心ではなく、半ばサラセンが乗り移っていたのかもしれないと考えるように。
なお、邦題の「悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー」はこのときの考えが元になっています。
トリスタンとエテェエンヌは境遇が似ています。孤児で天涯孤独、オリヴィエ/シャルル七世に衣食住を世話になっている、主人と同じ相手を愛しているなど。
このふたり、意外と気が合うのでは?
トリスタンもエティエンヌも恋の三角関係で報われないポジション。
トリスタンは本心を隠してひそかに奪おうと考えるタイプで、エティエンヌは本心を伝えて恋敵と想い人のために尽くすタイプです。
「シャルル七世を憎まないのか? シャルルがいなければアニエスを自分のものにできると思わないのか?」
率直に質問した結果、毒舌小姓エティエンヌに「オリヴィエへの劣等感」を見抜かれ、辛辣な洗礼を浴びながら、ジャンヌとオメットみたいな「本音トーク」をしていたら……。
長々と語りすぎた。次回オリヴィエ編は簡潔にいきます!
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小説後半について
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【URL:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー】
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