キャラクター語り:魔女メフレー【小説:Tristan le Roux/赤髪のトリスタン】
アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の未邦訳小説「Tristan le Roux/赤髪のトリスタン」を底本にしています。
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神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(Tristan le Roux/赤髪のトリスタン)
訳者あとがき:キャラクター語り
翻訳者だって「ひとりの読者」としてネタバレ感想書きたい!
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
ここからは、各章の「登場人物紹介」ページの順番にならって、私が思ったことを書いていきます。
魔女メフレー
「神に呪われた魔女」としてカルナック中で知られている乞食のような老婆。
トリスタンを拾い、七歳でカルナック城に引き取られるまで育てた。
女というより、醜くて恐ろしげな暗い存在で、ぼろきれをまとったむき出しの肩が見える。ざんばらの白髪で体が覆われていなければ裸同然らしい。
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メフレーについて:ネタバレあり
前回(キャラクター語り(6)伯爵夫人)で、トリスタンと伯爵夫人はアレクサンドル・デュマ父子がモデルではないかと推測しました。
魔女メフレーは、トリスタンの出生の秘密を知る養母ですが、前回に続いて想像力をたくましくするなら、メフレーのモデルは「デュマ・フィスの実母」ではないでしょうか。
父デュマ・ペールはパリに上京したころ、同じアパートに住む隣人で縫製工を営むカトリーヌ・ロール・ラベを誘惑し、1年後に私生児(デュマ・フィス)誕生。
7年後、デュマ・ペールと女優の間に異母妹が誕生し、デュマ・フィスも息子として認知されます。
デュマ・ペールは数々の女優と関係を持ち、子供が生まれています。
華やかな女優を母に持つ異母きょうだいと比べて、デュマ・フィスの母は地味なお針子で日陰の身。
引き離された母子の苦悩(特に母の本心)は計り知れませんが。
トリスタンとメフレーの会話に、デュマ・フィスの本心が滲み出ている気がします。例えばこんな風に——。
父に引き取られた後、人目を盗んで実母に会っていたのでしょうか。
トリスタンのように、父や異母きょうだいに言えない本音と激情をひそかに吐き出していたのかも。
なお、デュマ・フィスは父の名を生涯憎んだ一方で、父の最期を看取り、知り合いに丁寧な訃報を送っているようです。
父子の内心はわからずとも、お互いに「父の義務」と「息子の義務」を果たしたといえます。
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小説後半について
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【URL:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー】
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