キャラクター語り:リッシュモン【小説:Tristan le Roux/赤髪のトリスタン】
アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の未邦訳小説「Tristan le Roux/赤髪のトリスタン」を底本にしています。
総合目次:
神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(Tristan le Roux/赤髪のトリスタン)
訳者あとがき:キャラクター語り
翻訳者だって「ひとりの読者」としてネタバレ感想書きたい!
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
ここからは、各章の「登場人物紹介」ページの順番にならって、私が思ったことを書いていきます。
アルテュール・ド・リッシュモン伯(35歳)
フランス軍の大元帥。ブルターニュ公の弟。
三十代の若さでフランス王国軍すべてを統率している優れた軍人。きまじめで高潔な人格者。
シャルル七世はリッシュモンの強引なやり方を嫌い、遠ざけている。
それでも絶大な忠誠心は揺るがず、王をだまして公益を損なう逆臣はすぐに処刑するつもりでいる。
【※小説投稿サイト・アルファポリスでも公開中:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー】
アルテュール・ド・リッシュモンについて:ネタバレあり
名前だけは最初の方から出てくるのに、実際に登場するのは後半から。
「ジャンヌを起用すれば、フランス王の軍隊は恥をかかされてイングランドの笑い物になる。そうなる前に追い払うべき」とトリスタンにそそのかされて、「ならば、ジャンヌを殺そうか」と即答する場面で、私は吹き出しましたよ。
デュマ先生の解釈と一致!
そうそう、リッシュモンはこういう人ですよね。
シャルル七世至上主義とでもいうのか、王のためなら極端な手段も辞さない。
王をかどわかす者は誰であろうと「では、殺そう」と即答(←そういうところがシャルルに嫌われるんだよ大元帥w)。
この時点では、トリスタンですらジャンヌを殺そうとは考えてなかったのに。
温厚なシャルル七世は、かねてよりリッシュモンの強引なやり方に引き気味で、ジャンヌの取りなしにもかかわらず戴冠式に呼ばれません。本当に不憫。
しかし、これほど冷遇されてもリッシュモンの気持ちは変わらず、敵方の勧誘を突っぱねてシャルル七世一筋だったそうで。
一途な忠誠心がだんだん可愛く見えてきます。仲直りできてよかったね!
*
以前、中国・上海在住の方から、拙作『7番目のシャルル』でリッシュモンがシャルル七世に臣従するシーンの超絶美しいファンアートをいただきました。
1425年だから、オルレアン包囲戦の4年前です。
シャルル七世は22歳、リッシュモン大元帥は32歳。
フランス王国ツートップが若すぎる!
*
本編の「登場人物紹介」は第六章ラストのリッシュモンまででしたが、「キャラクター語り」シリーズはネタバレありですからね。
次回では、最終章に登場する修道士ロワズルールを取り上げます。
総合目次:
小説後半について
note版:一定期間後に有料化
マガジンをご購入いただくと、前半(厚めの文庫1冊分・14万文字)、後半の有料分、こぼれ話までワンコインでまとめて読み放題です。
【マガジン:アレクサンドル・デュマ・フィス未邦訳小説「赤髪のトリスタン」】
アルファポリス版:無料で公開中
アクセス数に応じて筆者に広告インセンティブが入ります。スクリーンショット・コピーガード機能付き。表紙絵・挿絵あり。
【URL:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー】
この記事が参加している募集
最後までお読みいただきありがとうございます。「価値がある」「応援したい」「育てたい」と感じた場合はサポート(チップ)をお願いします。