キャラクター語り:エティエンヌ【小説:Tristan le Roux/赤髪のトリスタン】
アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の未邦訳小説「Tristan le Roux/赤髪のトリスタン」を底本にしています。
総合目次:
神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(Tristan le Roux/赤髪のトリスタン)
訳者あとがき:キャラクター語り
翻訳者だって「ひとりの読者」としてネタバレ感想書きたい!
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
ここからは、各章の「登場人物紹介」ページの順番にならって、私が思ったことを書いていきます。
エティエンヌ・シュヴァリエ(18歳)
シャルル七世に仕える小姓。
大きな青い目、長い金髪、上品な風貌、注意深さと大胆さを兼ね備えた美少年。まだ子供といっても通じる年頃。
アニエス・ソレルの幼なじみで、ひそかに愛している。
シャルル七世に対して表向きは辛辣だが、本心では慕っている。
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エティエンヌについて:ネタバレあり
キリスト教で最初の殉教者・聖ステファノをフランス語にするとエティエンヌだそうです。殉教者とは、信仰・信念のためにみずからの命を犠牲にする者のこと。
デュマ先生、はじめから殉教者の役にするつもりでこの名前にしたんだろうな。
なお、聖ステファノは天使のような顔を持ち、「不思議な業としるし」によって人々をひきつけたため、これをよく思わない人々によって訴えられたとか。
原作「Tristan le Roux」ではエティエンヌの美少年ぶりが何度も言及されます。
単純に「顔がいい」だけでなく、相手が誰であろうと忖度しない毒舌ぶりと聡明さ、アニエスへの秘めた思いと自己犠牲的な優しさが混ざり合い、他に例えようのない魅力的な美少年キャラだと思っています。
好きなセリフがいっぱいあるので、名言(迷言)を集めたbotを作りたくなる。
個人的に、エティエンヌの死はこの物語のターニングポイントでした。
先に述べたようにシャルル七世目当てだったため、「大体のあらすじがわかればいいや」くらいのかなりゆるい感じで読み飛ばしていました。ストーリーの細部まで注意を払っていなかった。
それが……。
死亡フラグよろしくエティエンヌが悲惨な死を遂げ、さらにトリスタンの「主人公としてあるまじきイキリ言動」が重なって、一読者として大きなショックを受けると同時に、物語の結末がまったく予想できなくなりました。
つまり、シャルル七世抜きでストーリー自体に惹かれるきっかけが「エティエンヌの死」だったのです。
適当な読み流しでは済まなくなった。
最後まで見届けたい、ことあるごとに読み返したい——、心に残る名著のひとつになりました。
過去に二次創作をやっていたオタクとしましては、エティエンヌ生存ルートを模索したくなります。
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小説後半について
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【URL:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー】
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