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美しい瞬間がよみがえってくる。きっと、つらい記憶が浄化されたから

 最近、実感していることがあります。
 つらかった幼少のころの思い出を「もういいや」とあきらめて、「嫌だ」という気持ちに支配されなくなってから、ふとした拍子にこれまで忘れていた美しい記憶がよみがえってくるのです。

 たとえば、真夏に近所の道端で毎年咲いていた赤と白のタチアオイの花。青空に向かって伸びて咲くその花がわたしは好きでしたが、単純に好きというだけでなく、それを眺めているときは心地良い不思議な空気感に包まれたものでした。なんだろう、きらきらした世界、つまり「ここではないどこか」につながっているような? そんな空気感が、みずみずしいリアルさをもってよみがえってくるのです。そして、自分の可能性を疑いもなく信じていたあのころの気持ちまで。

 親との関係で悩んでいても、日々つらくて不安でも、そういう美しい瞬間はたしかにあった。それを少しずつ、思い出してきました。

 これまでは「嫌だ」という気持ちが強くて全部の記憶に蓋をしていたのでしょうね。

 よみがえってくる美しい瞬間の数々は、わたしに命と心の栄養を与えてくれます。


◇見出しのイラストは、みんなのフォトギャラリーから
mioartyさんの作品を使わせていただきました。
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