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他人事じゃない、デートDVのこと

 彼はちょっと強引…、彼女は束縛気味。そういったちょっとしたことが、将来のDVにつながるかもしれないということ。
 こんにちは、この記事をクリックしてくださりありがとうございます。デートDVってなんだろう、何がデートDVに該当するのか分からない、そんなときに見ていただければと思います。(それ以外の方も、デートDVを知る機会だと思って見てくだされば嬉しい限りです。)
 さらに緊急性の高い方は、こちらのリンクなどから相談を…
https://ddv110.org/?gclid=EAIaIQobChMIor-WgLG2-AIVrdlMAh1gVQ84EAAYASAAEgLdmfD_BwE

デートDVとは?

 結婚していない恋人間の中で起こる暴力の事です。種類はいくつかあり、「行動制限(束縛)」「経済的暴力」「身体的暴力」「精神的暴力」「性的暴力」に分けられると思います。
 それぞれの被害具体例を挙げますと、
行動制限:異性と連絡を一切取れないようにさせる。居場所をいちいち報告させる。SNSを常に監視される。服装や趣味、交友関係を制限されるなど。
経済的暴力:お金を取られる。同意なく借金の保証人にされる。高額なプレゼントを要求される。デート代を支払わされるなど。
身体的暴力:殴る、蹴る。髪の毛を強く引っ張る、根性焼き。見えないところを叩くなど。
精神的暴力:「死ね」「馬鹿」「ブス」など傷つく言葉を言われる。嫌がることをされる。「○○しないと別れる」などと脅される。大切なものを壊されるなど。
性的暴力:ハグ、キス、身体接触、性交渉を同意なしにされる。避妊に協力してくれないなど。

ここに書くことができたのはごくわずかです。自分の(相手の)嫌がることは全てデートDVになります。

親密な二者関係におけるダークサイド

 実際にはこうした親密な二者関係は肯定的な側面だけでなく、親密であるがゆえに、同時に否定的な側面も内包している。にもかかわらず、この密接な二者関係の基盤は愛情であり、暴力とは無縁な人間関係である考えられてきたことにより、暴力が覆い隠され、自他共にその暴力を認識するのが難しいという問題が内在している (青野・周・森永・葛西,2011)。

赤澤 淳子. (2015) 親密な二者関係のダークサイドとしてのデートDV. 
発達心理学研究,26,288-299.

 相手のことを好きだと思うばかりに、自分のものにしたいと思うばかりに、相手を知らず知らずのうちに傷つけている可能性があります。また自分自身が傷つけられている可能性があります。
 親密な二者間の事だからこそ、DVが表面化しにくいことがあります。二者間の事は他人には話されていないことも多く、それがデートDVであると気づくのに時間がかかることがあります。また、「これくらいでDVには当たらない」と思われている部分も大いにあると考えられます。
 他人に相談しにくいところにこそ、ダークサイド(危険因子)は潜んでいるのです。

DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者側は、交際を経って孤立することに慣らされているため、反対にその状態になじみやすく、いごこちもよく、安心感がえられるような気持ちさえするのです。

Carlene, C.(2001). An Abusive Relationship. New York: Rosen Publishing.
(カーリーン, C. 水澤 都加佐・水澤 寧子 (監訳) (2008).
傷つけられていませんか? …虐待的な関係を見直す 大月書店)

デートDVを普段から予防するには?

 まずは、デートDVについて知ってもらうところから予防は始まると思います。なので、いろいろな公式ページや記事などを読んでみてください。たくさんの人がデートDVについて知ることが大切だと思います。なにげない恋バナの中から「それってデートDVかも?」と問題が明るみになると考えられるからです。
 次に筆者が考えるのは、アサーションスキルの習得です。アサーションスキルを高めることで、デートDVの予防に寄与できると考えています。この「アサーションスキル」を習得するにはどうすればいいか、そこが問題だと感じていました。

アサーションスキルについて

 「アサーション」という言葉を初めて聞いた方も少なくないと思います。もしかしたら学校や会社の研修で取り組んだかもしれません。

 機能的アサーションとは、人がある必要に迫られた際に当該の課題をより効果的に達成し、かつ相手から、より適切と判断される対人コミュニケーションである。

三田村 仰. (2020) 機能的アサーションとは何か?. 
心身医学,60,669-673.

 要するに、「自分もOK、相手もOK」な自己主張の事です。相手のことが好きだから「YES」というのとは違います。自分の気持ちに「も」焦点を当てた自己主張のことを指します。
 アサーションをするためには、自分のことを大切にする、自己肯定感が必要になります。ここが大きなポイントだと思っていて、難しさでもあります。「相手に申し訳ないから」と思いながらする恋愛、楽しいでしょうか…?できれば「自分もOK」「相手もOK」なコミュニケーションが出来るるように普段から練習してみましょう。

よく例えられるのは

ジャイアン的コミュニケーション」
のび太的コミュニケーション」
しずかちゃん的コミュニケーション」です。

 ジャイアンの場合:「おいのび太、新しい漫画よこせ!」
 これはアグレッションと呼ばれます。強引に話を進めて、「自分はOK、相手はNG」のコミュニケーションです。

 のび太の場合:「やだよう、でも、仕方ないよね」
 これはノンアサーティブと呼ばれます。嫌だということを全面に主張できず、相手の言いなりになっていますね。「自分はNO、相手はOK」のコミュニケーションです。

 では、どのようなコミュニケーションが理想的か、それはしずかちゃん的コミュニケーションです。

 しずかちゃんの場合:のび太たちから今日遊ぼうと誘われた時、「ごめんなさい、今日はバイオリンのお稽古があるの。でも明日なら遊べるわ」
 これがアサーティブと呼ばれています。自分の主張をはっきりと伝えつつ、相手の誘いにもきちんと応えているコミュニケーションです。

 誰の言いなりになる必要もないのだということを多くの人が知ることで、デートDVの予防にもつながると思います。また、誰も自分の言いなりにしていいわけではないことも同時に覚えておいてください。ちょっとした一言が、相手を傷つけていることがあります。筆者にも心当たりがあり、後悔が絶えません。そんな時は冷静になった瞬間にすぐに謝ります。

どうすれば練習できるか

 まずは「アサーションしてもいい権利をあなたが持っている」ということを知りましょう。自分の意見は伝えてもいいものなのです。これは誰しもが持ち合わせている権利です。そして、この権利は誰もが侵してはならないものです。
 また葛藤場面(困りごとが起きそうな場面)を設定してロールプレイをするのもいいでしょう。友達と一緒に練習して、フィードバックをもらえるといいと思います。

親しい人がデートDVを受けていたら

 「そんな人、別れちゃえばいいのに」と一方的にいうのはナンセンスだと思います。たとえデートDVがあっても付き合っている最中に、「別れちゃえば」と言われたら余計に「わかってもらえない」と思うでしょう。「あなたが悪いからではない」「あなたは大事な人」だということを伝えることが大切だと思います。親しい人が、自分はデートDVを受けているのだと自覚しないと話が進まないと感じることもあるでしょう。ただし、命に関わるような暴力を受けている時には公的機関に一緒についていくことがあなたにできる支援です。また後述しますが、関係を断ち切った後の喪失感に寄り添うこともできます。

関係を断ち切ったあと

 もし、あなたが勇気を出してデートDVをするパートナーとの関係を断ち切ったとしましょう。その後に待ち受けているのは、底なしの寂しさや虚無感かもしれません。そうでなく「せいせいしたわ!」と思うかもしれません。前者ならば、また前パートナーに無性に会いたくなるかもしれません。喫煙やアルコールのような依存症状態である可能性は大いにあります。自分を滅ぼす行為だとわかっていてもしてしまいたい欲求に似ていると思います。
 そんな時こそチャンスで、誘惑を断ち切った時には自分をたっぷり褒めてください。自分がしたいことをとにかくする、でも大丈夫です。すると「パートナーに会わなくてもいいことはある」と気づくことができるのです。それを続けていくことが大事です。
 関係を断ち切った後に、大きな悲しみがついてくるのはごく自然な感情です。周囲の人はそれに寄り添えるといいでしょう。

まとめ

 我ながら、アサーション練習だけでデートDVを予防できるというのは机上の空論ではないかと思うことも少なくないです。緊急性の高い事案の場合は、すぐに女性支援センターに該当するところに、またはシェルターに逃げてほしいです。自分の命を最優先してほしいからです。

 しかしながら、ここでやはりネックになってくるのが、自己肯定感の低さと罪悪感です。「自分はどうなってもいいから」「悪いのは自分だ」「自分さえ断らなければ」と思う気持ちが、自分の援助を妨げることもあると思います。
 また、周りから「そんな奴と別れて」と言われると余計に意固地になってしまうこともあります。「悪いのは自分なんだから、相手を責めないで」という気持ちが出てくることもあるでしょう。

 普段からの予防のためには、自分が誰の言いなりにもならなくていいことを知ること、自分の気持ちを率直に相手の気持ちも大事にして伝えることが大事だと思います。
・高額なプレゼントを贈ることだけが愛じゃない!
・嫌なことにはNOと言ってもいい。
・それでもダメなら公的機関に相談!

 筆者としては、「デートDVを受けている男性」が実際に相談できる場所の少なそうなことを心配しています。我慢するのが男の甲斐性だ、と言った精神が根付いているような気がしてならないです。そんな時こそ、「アサーション」を思い出してください。伝えることで、相手に「嫌だと思われていた」と気がついてもらう事ができ、そこから始まる解決もあるかもしれません。

 あー、あれだけ先生にするなと言われている孫引きをしてしまっている……先生、ごめんなさい!


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新町 圭
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