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伊豆天城山でハイキング-11
現在、向かっている河津七滝はささ家族お勧めの場所。
前に訪れて山好きのぽうも気に入ったことから私たちに向いているだろうと車を走らせてくれている。行き方も知っているので私たちはただ運ばれるだけ。
なんて有難いのかしら。
「ちゃんと曲がる場所教えて」
「ここでいいの?」
そんな会話がささ夫婦間で交わされたものの無事、到着した。
時間は既に14時を回っている。渋滞でなくとも車の数は多かったから仕方がない。
まずは運んでもらったことにお礼を伝えよう。
「ありがとう」
「はーい」
ずっと海沿いを走ってきたけどここは山の中。
静かな場所に関わらず駐車場にはたくさんの車と人がいた。寒くなる前の三連休、考えることはみんな一緒だ。
滑りやすい箇所もあるというのでハイキングシューズに履き替える。明日に控えた天城山ハイキングの前に滑ってお尻や膝が痛いなんてことは避けたいからね。
コースはだいたい1時間。そう聞いていたのにららのリュックが異常に膨らんでいる。
「何をそんなに持っていくの?」
「えー」
ささ家族は小動物のようにお家にものをため込む習性がある。
安いものを見つけてはお買い物。
お気に入りを見つけたらお買い物。
だけど断捨離が出来ないからうちの2倍はあるはずのお家なのに安らげるスペースはうちより狭いかもしれない。
ららの後ろに立って荷物をチェック。
「ずっと歩くからブランケットはいらないね」
「スマホ充電器もいらない」
「化粧道具もいらないでしょ」
私の判断で小一時間のお散歩に不要と思われたものがどんどん車のシートへと投げ込まれる。
350mlのコーヒー牛乳ペットボトルを手に取る。
「飲むから」
本当?
お散歩中の喉の渇きにミルク系の飲み物は合わないし、何より500mlのお茶も入っているんですけど・・・・・・。
だけど無理強いは良くないね。
「わかった」
そう言ってリュックに戻した。
「ママより厳しかったね」
ささがららに言う。
「うん」
悲しそうな笑顔を浮かべてこっちを見る。
「だって1時間の散歩だよ。私たちのリュックには携帯とお財布しか入っていないよ」
万が一を考えることは大切だけど、状況に合わせて最小限に抑えることも学びの一つだ。
トイレに立ち寄った後、案内板で道を確認する。
![](https://assets.st-note.com/img/1693443388462-0vivklrr4w.jpg?width=1200)
現在地から下流に2つ、上流に5つの滝がある。
「上流の滝の先には猿田淵という場所があるんだけど距離があるから行かなくていいでしょ」
距離があるといっても300mなんだけど、ここはお勧めに沿うことにしよう。
まずは上流の滝から見ようとカニ滝へと向かう。
11月上旬、日光では既に紅葉を終えている時期だろうけどここではやっと色づき始めた頃。緑と赤、黄色のコラボレーションが美しい。
川に沿って伸びる散策路は舗装された道で木々が陰を作り太陽光から私たちを守ってくれる。そこに水が流れる音が聞こえてくる。
なんとも癒しの空間・・・・・・おしゃべりをしなければ、ねっ!
「きもちぃ」
「水が綺麗だね」
「ところでさぁ」
気づくと何かしらの会話が始まっている。
一人のんびり歩きたいたぁは少し距離をとってついてくるから、一人取り残されたようになってしまう。本人はそれでいいのだろうけど、私はその状態が嫌だから彼の傍へと行く。
駐車場から160mほど歩いた場所に目的の滝が見えた。
川辺には大小さまざまな石がゴロついて歩きにくいから、気を付けてゆっくり下って行く。
ゴーゴーゴー
森の中、この音が聞けるのはこの上ない幸せ。
カニ滝は高さ2m、幅1mと短くて太い滝。白い水しぶきを上げながら滝つぼへと流れていくさまが見ていて飽きない。
![](https://assets.st-note.com/img/1693443411926-TpCwBF7WzQ.jpg?width=1200)
川の水に触れてみると冷たいけど冷たすぎず、気持ちがいい。お互い写真を撮り合ってキャッキャとはしゃぐ私たちの様子をたぁは少し離れて場所から微笑んで見守っている。
多分、彼の目には私たちなど写っておらず滝との会話を楽しんでいるんだろう。
それでいい。
みんなが好きに過ごせるのが一番だ。
私たちがすべてを尊ぶことさえ忘れなければ自然はそれを許してくれる。
主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
これまでのお話
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