伊豆天城山でハイキング-17
風呂上がりのホット一息を楽しんでいるとささ家族が再び部屋のドアをノックした。
さぁて、おいしい夕食を頂きますか。
駐車場を挟んだ別棟にあるレストランに向かうため外に出るともう真っ暗、寒さを覚える。
レストランには数組が食事を楽しんでいて私たちは入り口傍の大きめのテーブルへと案内された。
「ドライバーさんは頑張ったので最初のビールを奢らせてください」
れんを労おうとそんなことを言ってみたものの、残念、ここはビールの取り扱いはない。ならばワインをご馳走させてもらおう。
赤ワインが私の体に合わないので白ワインと見てみると750mlと350mlとだけあり、詳細は記載されていない。
一言で白ワインといっても味も産地もブランドも多種にわたる。
甘いのは飲みたくない。
重たすぎるのは勘弁。
もちろん薄すぎるのもだ。
たぁは日本産のワインは飲みたがらない。
だからこそ、ちゃんと尋ねないと。
受付からずっと対応してくれている女性(多分、オーナー夫婦の奥様)はキンキンに冷えた大きさの違う二種類のワインを持ってきてくれたので750mlのものを指す。
「味はわからないんですけど」
うーん、困ったものだ。
「いいじゃん、いいじゃん」
れんはなぜか軽いノリ。
奢ってもらえるならなんでもいいの?
お財布担当としてさらにおいしいお酒を頂きたい私は、そういう訳にはいかないのよ。
「いやっ、絶対に失敗したくない。甘口だったら絶対に無理」
だけどパッケージを確認してみてもオーガニックであること以外記載はない。
うーん、どうしたものか。
「もう、それでいいじゃん」
れんは何度もそう言ってはプレッシャーをかけてくる。
確かにスタッフさんからもパッケージからも必要な情報が得られないのとなればここはお酒の神様に任せるほかないのか。
「では、これでお願いします」
ワインが準備される前に前菜が運ばれてきた。提供されるお食事はイタリアン。
大好きなガーリックブレッドが添えてあるのは嬉しい。
ここで、忘れずに写真を撮っておこう。気づいた時にはお腹は満腹だけどお皿空っぽの寂しい食卓になりがちだ。スタッフさんにお願いして、ハイチーズ。
お風呂上がりでお肌ツルツル、イイネ。
その後、すぐに注文したワインがやってきた。全てのグラスに注がれたら軽く持ち上げる。
「カンパーイ」
さぁて、どんなお味かしら。
「ほらっ、おいしいじゃん」
れんは即、言った。
私は隣にいるたぁに顔を向けると彼もこっちを見てきた。その表情から彼の感想は容易にわかる。
うんっ、意見は同じようだ。
「まずい」
「へっ?」
薄くて水みたい。
「大丈夫、(注文した)責任はちゃんと取る」
なんせ、ささ家族はらら以外、お酒がそんなに強くない。
気を取り直してお食事をいただきましょう。大好きなサーモンカルパッチョを口へと運ぶ。
「うーん」
さっぱりしながらも繊細なお味が口に広がっておいしい。他の料理もワインと合うし、次のお酒へと移りたい気持ちも相まって、どんどん飲んじゃう。
ワインを好まないららはスタッフさんにカクテルはないか尋ねていた。
「ジンとソーダ、それとこの地域で作られたジンジャーエールの素ならあります」
「それじゃ、それをお願いします」
「強さはお好みで」
スタッフさんはグラスと一緒にすべてのドリンクを持って来てくれたので、ららが自分好みに仕上げていく。
「うーん、ジンジャーエールはもう少し入れた方がいい」
マドラーで混ぜ混ぜしながら味を確認。
「うん、おいしい」
彼女のチャームポイントであるとびっきりの笑顔が現れた。
見ているこっちまで幸せになるよ。
主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう
これまでのお話
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