減らして減ったままのもの、減らして増えていくもの
去年の8月に、本と服と紙類を一気に手放した。
学生の頃から書きとめた数十年分の日記のノートも、社会人になって毎年更新していた紙の手帳も捨てた。
喪失感はなく、毎日トイレで排泄する延長のような感覚だった。スッキリ。
収納ケースも、収納するものがなくなったのでいくつか手放した。
暑い時季は冬物を手放しやすい。
どんどんありがとうギュー抱きしめさようならした結果、今年の冬はニットが2枚のみ。コートはもともと1着。
冬物以外ではシャツとカットソーとスカートが数着、ジーンズは1本、ベルトが1本。
買いに行く時間も取れず、県内はコロコロして買い物に行く状況でもないのと、ネットショッピングで間に合わせに何か買う気分でもなく、手元に残した紫のニットと青のニットをほぼ毎日くるくる着回している。好きなものを着ているからか、心地いい。
「ピンとくる服」はこちらから探しにいかなくても、たまたま出合えると知っている。
それまではニット2枚でじゅうぶん足りている。
クローゼットのスカスカ空間も翌日にはすぐに見慣れた。
くつ下は祖父の形見(?)の未使用くつ下を10足くらいゆずりうけたので、しばらく困らない。男性用なので大きめだがふくらはぎまで温かい。
減ったまま増えない服とは対照的に、本はここ2ヶ月で20冊ほど増えた。
読みたい本がどんどん増えていく。
一時期スカスカだった本棚がきちきちとうまっていく様子にも、すぐに慣れた。
本を読んでいると、誰かの親密な話を暖炉のそばで聴いているような気分になる。人と会うのはめっきり減ったけれど、毎日いろんな人の主張や経緯や理論や物語を暖炉のそばで聴いている。そんな冬。
賃貸マンションなので暖炉は妄想インテリアです。