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勝手に名盤 7

仏壇じまいのお参りに伺うことがよくある。

両親が住んでいたが今は誰も住んでいない実家であったり、施設に入るため仏壇をほったらかしにできないから、仏壇を買い換えるためetc.
それぞれのご家庭に、それぞれ仏壇じまいをしなければならない事情がある。

お参りが終わると、御本尊(木像や掛け軸)を引き取り、仏壇周りの片付けも手伝ったりする。その際、100%ではないが、かなりの確率で仏壇の引き出しから貴重品が出て来ることがある。そしてそれは、多分へそくりだと思うが、現金であることが多い。もし仏壇じまいの費用として取っておいたお金ということであれば十分すぎる額であるが、きっとそんな事のためにせっせと貯めておいたお金ではないだろう。
忘れてしまっていただけではなく、こんな所にもいろんな事情があったのかなと、使われずに貯め込まれたままのへそくりを見て思ったりする。

10年程前、ベース奏者がリーダーを努める作品が気になっていた時期、数枚のレコードを買った中の1枚に、この『直立猿人』も入っていた。
結局は、その時一緒に購入したミロスラフ・ヴィトウスの『インフィニット・サーチ』ばっかり聴いて、『直立猿人』は忘却の彼方へ消え去っていたのである。
今回このブログを書くにあたって、たまたま発見できたから良かったが、ブログを書かなかったら忘れたままになっていたはずだ。

きっとこれから先、物忘れをしてしまうことが段々と増えていくだろうと、猿が人間に進化する過程を演じている『直立猿人』を聴きながら思った。


PITHECANTHROPUS ERECTUS / 直立猿人
Charles Mingus / チャールズ・ミンガス(当時はCharlie Mingus名義)

<パーソネル>
チャールズ・ミンガス (b)ジャッキー・マクリーン (as) J.R. モンテローズ (ts 4抜ける) マル・ウォルドロン (p) ウィリー・ジョーンズ (ds)

★ 1956年1月30日ニューヨークにて録音



今年も「勝手に名盤」をご覧いただきまして、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

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