ティール組織と合唱団運営
少し前に流行ったティール組織という考え方を、合唱団運営と照らし合わせて考えてみました。参考書はこちら。
組織フェーズ
この著者のフレデリック・ラルーの分類する組織フェーズそれぞれに合唱団運営のイメージを当てはめてみました。
Red組織:衝動型組織(マフィアやギャング)
力や恐怖で他者を押さえ込んで統治します。
合唱でいうところは全然思いつきませんが、合唱版北斗の拳みたいな漫画があれば、そういう世界観だと思います。
特徴として、短絡的で計画性がないことが挙げられます。
Amber組織:順応型組織(軍隊や行政機関)
階級やルールによりヒエラルキーが形成された組織です。
昔の大学合唱団の話とかを聞くと、この辺りのAmber的な組織運用だったのかなと予想します。階級(年次)が上下を決めるという組織構成です。
特徴としては、常にトップダウンで指示がくだされ、安定した変化の少ない運営がなされます。反面変化に対応することが苦手です。
メリット:安定、拡大可能
デメリット:変化に弱い
Orange組織:達成型組織(多くの企業)
階級は存在しますが、実力主義でピラミッドを登っていくことができる組織です。
コンクール主体の合唱団体はこの辺りの色合いが強い団体があるかと思います。実力を持っている人が発言権を持ち方針を決定していくようなイメージです。
特徴としては、努力が報われる反面、大きな格差が生まれる可能性があります。
メリット:努力が報われる柔軟性がある
デメリット:意識格差が広がる
Geen組織:多元型組織(NPO組織など)
Orange組織のアンチテーゼ的に出てきた組織体系で、各メンバーの主体性を尊重して、ボトムアップ式の意思決定を行う組織です。多くの合唱団はこの形を取ろうと努めているかと思います。
特徴としては、コンセンサスを重要視します。
メリット:平等
デメリット:意思決定が遅い、全員が少しずつ不満足
Teal組織:進化型組織
各メンバーが従来のリーダーレベルの権限を持ち、意思決定をしている組織体系です。
いまだにこの体系で運営されている合唱団はみたことがありません。
特徴としては、メンバーが組織の使命を理解して、自己成長とセルフマネジメントすることを求められます。
メリット:素早く多様な判断
デメリット:高い自主性が求められる
たまに見る勘違い① GreenとTealの混同
たまに「全員で発言しながら音楽作りをしているからTeal的な考え方だ」という発信を見ることがありますが、これはTeal的な組織体系ではなくてGreen的な組織体系であると思います。
Greenは全員で合議するので、権限を全員で分け合って持っているような状態です。Tealは全員が決定する権利を持っている状態です。
自主的かつ合議ではなく、各パートやセクションで責任を持って音楽作りをしていてたらTeal的といえるかもしれません。
たまに見る勘違い② Tealには階層がない
これもたまに見るのですが、Teal型組織には階層がないものと思っている記事などをみますが、正しくは、階級による階層性ではなく個々人の能力や経験に基づいた階層性がある状態だと思います。
どう考えていくか
Teal組織を合唱団に当てはめて考える時に、合唱練習そのものにだけ着目するのは少し視野が狭いように思います。企業に置き換えると開発だけに着目するようなものですので。合唱練習以外の様々なタスク、一般的な会計や広報や選曲やイベント作りだけに止まらず、色々なタスクが存在し得て、組織に貢献し得ることを理解することが大切です。
これらのタスクを考えていく上で、まずは団体がどういった物を目指しているかを明確にすることが必要です。Teal型組織では「存在目的」と呼ばれます。
そしてその「存在目的」に応じて、合唱練習も含めた様々なタスクを、自身の成長の志向性に合わせて創造・選択していく必要があります。創造・選択していくことで「ありのままの自分」である「ホールネス(全体性)」を失わずに自己成長を感じることができるのです。これはアドラーの「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」という考え方にも通ずるところがありますね。
そしてその自分の選択したタスクを「セルフマネジメント」していくのです。
まとめ
ティール組織と合唱団運営について考えてみました。
合唱団の組織作りは思考停止しがちなところで、なんだかよく分からない規約や組織図から先に作り出してしまうことがあるかと思います。
ティール組織が合唱団運営に有効であるケースばかりではありませんが、自分たちの組織作りのためにどういった枠組みが適切なのか、今一度考えてみても良いかもしれません。
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合唱団における目的意識の重要性について書いた記事です。
アドラーの「与えられたものをどう使うか」についての記事です。