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冬に陥りがちなメンタル不調「冬季うつ」

冬季うつとは

冬になると気分が落ち込むという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。過剰に眠気を感じて寝すぎてしまい、やるべきことができずに後々罪悪感に駆られたり…


これらは気のせいではなく、きちんとした病気なんですよ。
本日は別名「ウインターブルー」とも呼ばれる「冬季うつ」についてお話したいと思います。


冬季うつ病は、秋から冬にかけて悲しく憂鬱な気分になり、楽しみに興味を持てなくなったり、疲労感や無力感、罪悪感が募る症状が現れます。
10月~11月頃からうつ症状が始まり、3月頃に回復することを繰り返すことが特徴で、うつ病患者の10~20%が冬季うつを経験すると言われています。


特徴的な症状は「過食」「過眠」、そして「体重増加」です。これは通常のうつ病とは異なり、食欲不振や不眠になることが少ないという大きな違いがあります。


冬季うつ病は「特定不能の抑うつ障害、季節型」と分類され、季節性うつ病季節性感情障害とも呼ばれます。この病気は日照時間の減少が深く関係していると言われています。

冬季うつ病になりやすい人の特徴や環境

冬季うつ病になりやすい人の特徴は、女性の方が男性よりも3倍程度多いとされています。
また、若い人にも多い傾向があります。
女性や若者は、運動不足など活動低下によるホルモンへの影響が大きいことが報告されていて、そのことも要因と考えられます。


住む環境は影響する?

日照時間の短さが冬季うつ病と深く関係しているといわれています。降雪が多い地域では冬の天気が悪く、冬季うつにかかりやすい傾向があります。
北欧のような高緯度地域では、冬の日照時間が極端に少ないため、冬季うつ病が一般的に知られています。
高緯度地方に住んでいる人の方が影響を受けやすく、さらに光に対する感受性が強い体質の人は季節の変化に繊細に反応してしまう傾向があります。

冬季うつ病の治し方

冬季うつ病の治療には、太陽光を浴びることが効果的です。特に秋から冬にかけて、日照時間が短くなるため、積極的に太陽光を取り入れることが重要です。朝の光を浴びることは、セロトニンの生成につながります。このセロトニンは、メラトニンという睡眠ホルモンの原料となります。


原料のセロトニンが不足し、メラトニンが十分に生成されないと、メラトニンは睡眠やホルモン分泌のリズムを調整する作用がある為、体内時計がくるいやすくなってしまいます。
自宅時間が多くなりがちな冬でも、日中に外に出て散歩するなど、曇り空でも、日光は体に届くので、屋外で過ごすことはとても大切です。
朝に1時間程度の太陽光浴は、うつ病の症状改善に役立ちます。定期的な光浴と運動を組み合わせることで、効果がさらに向上します。


意識的に太陽光を浴びることは有効と考えられています。しかし、冬はなかなか太陽光を浴びることが難しいので、人工的な光を浴びる治療として高照度光療法という治療が行われています。
基本的には効果の高い朝方に行いますが、状況に応じて、日中や夕方に行うこともあります。毎日30分~2時間、1~2週間の間で行われます。期間を長くすれば治療効果が高まります。

自分で出来る予防策は?

「セロトニン」は神経伝達物質で、気分を高め、不安を減らし、集中力を上げる働きをしています。
このセロトニンが、十分に分泌されると精神が安定するので『幸せホルモン』とも呼ばれています。
しかし、セロトニンの分泌量は、冬になると少なくなってしまいます。これが、冬季うつ病の原因の1つと言われています。


そのため、セロトニンの分泌量を増やすことこそが、予防になります。


1.太陽光を浴びる
セロトニンは、日光を浴びると人の体内で合成されます。そのため、積極的に太陽光を浴びる時間を増やすことが重要です。
外に出ることができない場合は、南側や東側の日当たりの良い場所を探して家の中で日光浴をするのもおすすめです。
自宅の照明を明るいものにしたり、カーテンを開け、室内を明るい状態にすることを心掛けることも大切です。


2.食事のメニューを見直す
セロトニン生成に必要な、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を十分に摂取することが大切です。


セロトニンを生成する「トリプトファン」を含む食材として、肉類、魚介類、豆腐、のり、バナナ、牛乳、チーズが挙げられます。「トリプトファン」は人間の体内では作り出すことができないため、食事で摂取することになります。


「トリプトファン」の吸収を助ける食材としては、ビタミンB6(まぐろ、にんにく、鮭、ごま、抹茶など)、 ビタミンB12(青魚、かつお節、いか、レバーなど)があげられます。


セロトニンを生成する 「トリプトファン」を含むタンパク質と、体内吸収を助けるビタミンの含む食材をバランスよく、いつもの食事に追加してみましょう。


3.運動を生活に取り入れる
運動はセロトニンを増やす効果がある
と言われています。特に、有酸素運動やストレッチなどがおすすめです。
屋外で行える運動であれば日光にあたることもできます。ウォーキングはもちろん、冬ならではの雪を楽しめるスキーやクロスカントリー、スノーシューなどもよい運動になります。


日常で手軽に取り組める運動として「ラジオ体操」もおすすめです。
寒くなると筋肉が凝り固まるので、運動とストレッチの療法の効果が得られるラジオ体操は最適です。第一体操、第二体操と細かく分かれているので、時間に応じて調節もできますよ。第二体操まで行うと約6分かかります。


また、家事や部屋の片付けで積極的に体を動かすことも、運動になります。
自分にあった運動法をみつけて、日常に取り入れてみてください。

病院で相談

うつ病の受診のタイミングは、うつ病が疑われる症状が1〜2週間以上続いていて、休養を取っても改善されない場合です。特に、「悲しい、憂うつな気分」「何に対しても興味がわかず、楽しみも感じられない」といった症状が続いている場合は、うつ病である可能性が高いでしょう。


心身の不調を放っておくと、回復が遅くなったり重症化したりすることがあります。うつ病をはじめとした精神疾患は、早期発見・早期治療で回復が早くなり、症状も軽症で済むといわれています。
日常生活や社会生活に影響が出ている場合には、精神科を受診するようにしましょう。


「もしかしたら、冬季うつ病ではないかも。」と思うときでも、病院を受診することで、改善策が見つかり、症状が改善することがあります。1人で悩まずお近くの病院を受診するようにしてくださいね。


画像著作者:freepik

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紫光

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