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社員のおすすめビジネス書⑩

こんにちは、志高塾です。

既存のラベルにとらわれないこと、レジリエンスを高めること、適切に疑うこと。
それらはきっと、今を生きるわたしたちに必要不可欠な姿勢です。


三浦のおすすめビジネス書『文系・理系対談 日本のタコ壺社会』

東大理学部卒の相原氏と、東大法学部卒の奥原氏による対談。片や研究者、片や行政官として、理系・文系でいえば両極の道を歩んでいるように見える。その二人が共通して語るのは、日本に蔓延する閉鎖的な意識に対する問題提起である。

進路選択の際、「数学が苦手だから文系」「国語が苦手だから理系」という言葉がよく上がる。その後の人生の中でも、「文系だから数学はできなくていい」といったような意識は根強いのではないか。しかし、そもそも「文系」「理系」という区別はどこからくるのだろうか。ひとつには大学入試をしやすくするという教育課程の都合があるが、加えて、「文系(理系)はこういうタイプだから」といった、将来設計に至るまでの決めつけ、枠への当てはめが日本人の心理に根深いゆえだろう。

この仕組みには様々な問題がある。まず限られた枠組みの中での生活に陥りやすくなるため、多様性が失われる。他分野との交流がなく、スペシャリストになり得る人材が育たない。そして何より、文系・理系問わずに必要とされる論理的思考力、そしてコミュニケーション力を含めた語学力が身に着かない。本書では官庁での働き方や研究者の資金繰りまで例を挙げながら、そして国際社会でどう日本は生き残っていくのかも話しながら、その必要性を述べている。

大学がこうだから、国がこうだから、組織がこうだから、文系・理系がこうだから……そういった既存のラベルに惑わされず、自分の頭で考えることが何よりも必要な第一歩だ。

竹内のおすすめビジネス書『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』

「レジリエンス」とはもともと心理学分野で用いられていた用語だが、「困難から回復する能力」、「困難から回復するまでのプロセス」という2つの意味合いを持っている。さらに、ビジネスの場においては、「困難からの回復」というマイナスからゼロへ戻すだけではなく、「成長」へと繋げることが必要である。VUCAの時代は、「今なにが起きているのか」「これからどうなっていくのか」が見えにくい。そのような中で起きた問題に対処していくためには、個々のレジリエンスだけでなく、チームとしてのそれを高めていかなければならない。

予定通りにプロジェクトが進まない、予想と異なる結果が生じた、といった「困難」が発生した際には、チームが抱えている問題や克服すべき課題をまず明確にし対処する。ここでチームとして乗り越えていく土壌が出来ていなければ、情報の共有が遅れたり、問題が放置されたりといった最悪の事態を招く。本来、チームを作ることの利点は個性の異なるメンバーが集まることで、様々な視点でのアプローチが可能になることである。また、個々の持っているものを活かすためにチームに欠かせない基礎力として、「チームの一体感」「心理的安全性」「適度な自信」「適応力」「ポジティブな風土」が挙げられる。これらを育んでいくためにも、チーム内の一人一人が自身の役割を認識すること、また他のメンバーへの理解を深めるためのコミュニケーションが不可欠なのである。

喉元過ぎれば熱さ忘れる、ではないが、困難を乗り越えた後はそこからの学びが軽視されてしまうことがある。生じた問題が何をもたらしたのか、数字に表れるような不利益だけでなく、関わった人たちの心理的なことも含めて振り返ることの出来るチームが、これからを臨機応変に、そして強く前進していけるのだ。

徳野のおすすめビジネス書『正しい答えを導くための疑う思考』

常識とは、それを守ることで社会生活を円滑にしてくれるものではあると同時に、我々の真実を把握するための目を曇らせ、可能性を狭めてしまう根深い要因でもある。流動性が高い「VUCA時代」においては、その負の側面がより際立つようになってきている。そして、本著の狙いは、「調べる」もしくは「覚える」のではなく「考える」という本質的な力を伸ばすことで、自分自身や組織が抱える問題を解決したり、アイデアを創造したりする機会に繋げていくことである。そのためには、何事も適切に「疑う」ことから始まる。

例えば、学級崩壊が10年間続いている小学校の場合。渦中にいる子どもたちの多くは、自身が置かれている状況を打破するべきと感じながらも、諸悪の根源は担任教諭と問題行動を起こす特定の生徒にあるとみなしていたせいで、半ば諦めに近い感情を抱いていた。だが、子どもたちの現状把握に対して「なぜ、先生の話を聞かない人がいるのか?」「みんなが落ち着いて授業を受けるためにはどうすれば良いか?」などの質問を投げかけていくと、本人たちは当事者意識を持って次々と提案を出すようになった。あとは、それを実行に移し、改善点を見つけたら反映させていく、という過程の繰り返しである。すると、最終的にはわずか1年で、学級はまとまりを取り戻すことができた。

上記のエピソードでは、錯綜した情報を整理する「ロジカルシンキング」、自由に発想を広げていく「ラテラルシンキング」、自身の分析や意見の妥当性を検討する「クリティカルシンキング」という、思考の3本柱が駆使されている。ただ、そういう風に物事を疑えるようになるためには様々な訓練を積む必要がある。そのために有効なのが、自分の中にある無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)を自覚することと、他者の目に触れる媒体で情報を発信することだ。短くても構わないので、日頃から文章を書く習慣を付けることで、客観的に見る力が培われていく。

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