令和のシティーハンターが教えてくれた『愛』
なんかもう、いい意味でちゃぶ台ひっくり返したくらいに変わりました、わたしの価値観が。
先日、冴羽獠が発するどうしても苦手な言葉について書きました。
その後、Netflixで『シティーハンター』を視聴。
そして今、これを書いています。
最初から通しでの視聴はしてません。
時間ができた時に好きなシーン、気になるシーンを細切れで見て全体のストーリーを把握しました。
───── 世界第一位!!!
凄い!!!!!!!!!!
凄いですよね!!!!!!
この作品、いつまで配信されるのでしょう?
原作の大ファンというわけでもないので、当初は一ヶ月でNetflix解約するつもりでした。
が、この映像作品にものすごくハマってしまって…!
色々な方々が仰ってますが、映画館の上映だったら好きなシーンを好きなだけ見返すわけにはいきません。
配信様さま!!
配信終了までずっとNetflixに課金を続けそうなわたしがいます。
*
さて、
苦手な平仮名四文字の件です。 ↓
昔から冴羽獠のアレが苦手な理由は、
『 美女・可愛い子に対して安易に発動する節操のない性欲が公的に開けっ広げに表現されることに嫌悪を感じてしまうから 』。
下半身が反応して飛びつく冴羽獠、相手の女性の困惑した表情、そして香がハンマーを振り回す。
あの平仮名四文字とセットで連想するのはこんなシーンです。
余談ですが、目にするのが苦手な文字や言葉は他にもあります。
例えば「 腐 」という漢字、「(薬物などを)キメる 」という言い方。
目にするだけで、それぞれの言葉が持つネガティブなイメージが激しく押し寄せてきてしまう感じ。
これはもう、HSPで受け取ってしまうものが多くて深いからとしか説明できません………。
そんな苦手が、わざわざこうして書いて届く範囲の世の中に訴えたいほど変貌したのです。
ただの節操のなさではなく、ちゃんと根底に愛がある
原作ではどうかわかりませんが、この実写化作品で気づいたのは、あの平仮名四文字には愛があること。
実写の冴羽獠は、見染めた女の子が名前不明のとき、あの平仮名四文字に「 ちゃん 」を加えて用いるようです。
そして、「 白(の水着の)」「 黒(の水着の) 」「 ベージュ(の水着の)」「 ニット 」など着用している衣類と併用することで女の子を呼び分けています。
女の子たちの……なんでしょう、名刺?営業用の顔写真入りプロフカードみたいなものをカードホルダーに入れて一枚一枚丁寧に保管していたり、アダルトな円盤をごっそり大量に段ボール箱で保管して、一枚たりとも処分を許さない感じだったり。
こんな様子から、まあ節操はないのかもしれませんが、ただの沸き上がった欲望の対象としてではなく、女の子たちをきちんと個別認識したうえで、どの子も尊重し平等に愛を抱いている。
そんなふうに感じたのです。
ストライクゾーンが広すぎる(美人・可愛いうえにスタイルが良ければ誰でも良いのでしょう)、反応も反射的で露骨なのですが、逆に該当するたくさん女の子たちを等しく扱うなんてなかなかできないことじゃないでしょうか?
なぜカワイコちゃんたちに反応するのか?
それが男性というものだから。
それを色濃く煮詰めて盛ったら彼のようになる。
だから、男性からは共感しかない。
………のかもしれませんが、わたしは女性なのでそのあたりはよくわかりません。
ハードボイルドな二枚目とおバカな三枚目、その両方あっての冴羽獠。そう感じます。
おバカな三枚目部分についてそれっぽい考察を書いてみますが、ニワカの思いつきなので、どなたかどこかで既に似たようなことをお書きになっているやもしれません。
でも、パクっているわけではありません。
唐突ですが、ゴルゴ13をご存知でしょうか?
世界一の超一流スナイパーですね。
彼は任務を遂行する前に必ずといってよいほど女を抱く。
その理由は、『 ゴルゴ学 』という考察本で『 命の危険と隣り合わせの仕事ゆえに、子孫を残したい本能が昂るから 』と説明されていたように記憶しています。
なるほど、ごもっともです。
そうだとしたら、冴羽獠も似たような理由なんじゃないでしょうか?
ああいう稼業ゆえに、常にそういう本能が発動するのでしょう。
また、彼なりの罪滅ぼしかもしれません。
彼の銃口の先には始末もやむを得ない悪人しかいない。
とはいえ、好んで人を傷つけて悦ぶような人物ではない。
生き抜くためには武器を手にスナイパーになるしかなかった。
そんな翳りのある宿命に見受けられます。
数えきれないほど多くの人の傷つけ殺めているその分だけ、数えきれないほど多くの人を愛することで哀しみを埋める。あるいは、傷つき失われた命の数だけあらたな命を育む(ために本能を発動させる)。
そうすることで、哀しみや罪の意識を封じ込めて精神のバランスを保っているんじゃないでしょうか?
世界最強のシティーハンターであり続ける以上、あの平仮名四文字状態も彼にとっては人格維持のため不可欠なもの。
アレは冴羽獠のアイデンティティのひとつとは理解してたつもりですが、きっと銃と表裏一体のものなんです。
と、そう考えるに至ると、あの文字を見るのも嫌だという感覚はかなり薄れたのです。
実写で一番最後に見たシーン
あの言葉が苦手だし、ストーリー上必要性はないと判断して避けていたシーンがあります。
が、上記の考察により苦手がマイルドになったわたしは、そこも見てみるか、と方向転換しました。
それは、店内ピンクがかったキャバクラで、冴羽獠が下着のみ、場面によっては全裸で繰り広げるワンマンショー。
そのワンカットが宣伝動画になっていました。
そのシーン自体は無くてもストーリーは成立します。
なので、当初は、見たくなければその場面は早送りすればいいと思っていました。
そんなそのシーンを、わざわざ探して再生して黙視。
そこでわたしが目にした世界とは。
──── 造りこまれたキレッキレの身体で、キレッキレのダンスを踊る冴羽獠。
その両方のキレッキレの造形美が完璧すぎて圧倒しかない。
正面、背後からの両方の映像が使われていますが、もう全方位完璧で隙のないスタイルと動きの冴羽獠。
その彼が全身全霊で躍りながら叫んでいるダンスナンバーが、
─────── うわ、このリズム……
わたしの大っっっ好きな
ソーラン節じゃないか……!!
の、これ。
これをもじったものです。
…… だれが考えたの?これ……!
脚本家の方?音響担当さん?
それともまさかの亮平さん?
リズム感がフィットしすぎてて最高すぎる……!!
全力で踊り、お腹の底からのイケボで「 ~~ショー!! 」と叫ぶ冴羽獠、からの、りょうちゃん!と満面の笑みをふりまく冴羽獠。
特に、「 ~~ショー! 」の部分。
その場にいるお客さんたち、そして画面のこちら側にいる人たち全員を引っ張ってゆく、力強くてリーダーシップ半端ない響き。
これが、刺さった。
抵抗しかなかったあの言葉なのに、わたしがもともと大好きなリズムとイケボが、わたしの中に刺さってあの平仮名四文字ショーの世界にわたしを引っ張りあげた。
そして、ダンスに続いて見えるか見えないかのギリギリパフォーマンスを繰り広げる冴羽獠と、店内で唯一微妙な表情で視線をそらす槇村香。
………いや、冷静に考えたら、トータルでバカバカしいシーンですよ?
説明のために文字で書いてるのも正直バカバカしい。
けどね、伝わるかどうかともかく、バカバカしくてもコレ書きたいんです……!
店内のお客さんが一体になって盛り上がっている。
ひたすら楽しくてひたすらハッピーな時間。
何より踊っている本人がめっちゃめちゃに楽しそう、なおかつ、みんなで一緒に楽しく!!という愛が溢れている。
これもまた、愛。
特定の女性に向けられた愛の言葉とは違うけど、愛と平和を生み出す言葉に化けている。
気がつけば、なんかもう半笑いで顔をゆるめているわたし。
─── 全力でやるんだ?
これを。このショーを。
何のために?
いや、きっと深い意味なんてない。
ただただ楽しいからだ。
実際、観ていて楽しい。
さすがにあの言葉を一緒に連呼したい心境にはなれないけど、りょうちゃん!!の部分は心で一緒に声をかけ、笑いながら見てしまっているわたし。
そして、何度も見返すわたし。
苦手だったのに、見るのも聞くのも無理な言葉だったのに、すっかり懐柔されて鬼リピしまくって和んでいるわたしがいる。
ああ、おバカってこういうことか。
そもそも、バカとは何でしょう?
愚か、社会的な常識にひどく欠けている、無益。
そんな様相に用いられるのがこの言葉。
確かに愚かだし、社会的な常識のあるダンスショーとは言い難い。
けど、このうえなく有益。
人の心をこんなにも惹き付ける魅力を備えた、充分有益なショーだ。
深い意味はない?
いや、そんなことはない。
楽しいだけで充分意味がある。
このシーンにはからずも没頭してしまう。嫌なこと、面倒なことを短時間でもすべて忘れさせてくれる。
そんなひと時を提供してくれる最高のエンタメだ。
こんなのもう、何度も見ちゃうに決まってる。
勝ち負けで測るのは大変失礼とはいえ、これには完全に負けたよ!!と盛大に言いたい。
ああもう、ずるい。
実写の冴羽獠、っていうか鈴木亮平さんとこれを造り上げたスタッフさん、ずるい。
変態仮面はシティーハンターの布石
「 全力でやるんだ?これを。 」
と感動した感覚は二度目。
一度目は、あの変態仮面の映画。
亮平さんが自分の代表作だと仰ったから、観ることにして、観ることができたあの作品。
冴羽獠のダンスを観ていたら、あの作品を観た時と同じ感覚に陥りました。
ああいうの受けつけないから見れないよ……無理だから……と思っていたのに、観たら、あれを全力で造り上げるプロ意識に感動した。
亮平さんにも、他の演者さんたちにも、スタッフさんたちにも。
違法行為を除いて、何事であれ本気で真剣に取り組む大人の男は格好いい。
その格好良さに魅せられた作品だった。
亮平さんは子供の頃から『 シティーハンター 』の大ファンだったそうです。
原作や昔のアニメの大ファンは星の数ほどいるのでしょうけど、大好きなだけでは三次元の冴羽獠になって全世界一位をとるのはなかなかできない。
ドラマ作品は、創作側の最前線にいる役者さんが担う部分が大きい。
どんなに素晴らしい脚本と映像音響技術があっても、体現できる役者さんがいないと成立しない。
冴羽獠になるべくしてなった俳優さん。
そして、色丞狂介(変態仮面)は、冴羽獠になる運命への布石だったに違いない。
どんな役でも全力投球、特にアクション多彩な変態仮面になれた亮平さんだからこそ、憧れの冴羽獠を引き寄せた。
これもまた、冴羽獠、というか鈴木亮平さんの役者魂と作品への深い愛。
────── と、いろんなこと考えた。
たった一分程度のあのショーのシーンから。
ガンアクションが素晴らしくて痺れるという感想は、色んな人がきっと語ってる。
亮平さんが語る作品の見所も、終盤での相棒・槇村の敵討ち。
ああ、一番のオススメはさすがにあのダンスショーじゃないのね、笑
その辺りのことだけで、こんなに長々と感想文書いてすみませんでした。