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ねぼけなまこのあさのゆめ

突然だがみなさん、「キャッチ結合組織」とはご存じだろうか?僕が知ったのは数年前、インターネットで海の不思議な生物を調べていた時の事だった。その衝撃は今までの人生で10本の指に入るほどだ。

ナマコやヒトデ、いわゆる棘皮動物と言われるものにその組織はあり、時に不思議な光景を見せる。

勿体ぶらずに結論から話してしまうと、

”溶ける”

のである。しかもそのあと

”戻る”

のである。いわゆるトカゲのしっぽ切りに近いようで、柔らかくなった部分を捕食者に与え、それに集中しているうちに逃げるらしい。そしてそれでも逃げ切れなかった場合、最終的に

”自らの内臓を吐き出す”

時が経てばまたもとに戻る。

“うおう…”

つくづく唸ってしまう。きっと細胞の単純さがなす業だんだろうね。もしもナマコの国に外科医があったとしたら、仕事がなさ過ぎて路頭に迷っているに違いない。…そもそも必要がなかったら存在しない、とか、ナマコが外科医できるか!なんて、野暮な突っ込みはおいておき。そういえば鹿田も昔は毒物を摂取しすぎて胃ごと吐き出しそうなほどの猛烈な悪心に襲われたことがあったな。若気の至りだ。それには二日酔いとかいうODもあってね、きつかった。

しかしね?しかしねしかしね?

ナマコにはちゃんと管足という立派な足があるのだよ。しかも何千と。そのうちの1割でもいい。手として使ったらね、一気に何体のナマコを手術できることだろう?いや、ナマコは必要ないと至ったのだから無意味だが、生き物の世界には「共生」ってやつがある。

例えば有名どころでいえば、カクレクマノミハタゴイソギンチャク。そのまま天敵から隠してもらっているカクレクマノミと、たしか、カクレクマノミがいることによってイソギンチャクも活性化する、とかそんな感じだったはず。

それから虫界での共生代表といえる、アリアブラムシとかね。アブラムシの天敵テントウムシを追い払ってくれる。(しかしアリとてそんなに大きいわけでもないのに、テントウムシに対抗するんだからすごいな。無勢多勢とはいえ)

あと片利共生だと、むかしへんないきものを読んでそのインパクトから未だ覚えているのが「カイドウロウケツ」。見た目はね、なんか細長い逆三角形の白い網。三角円錐を逆さにした形。うん、ネットで調べてもらった方が早いと思うわ。そのカイドウロウケツの中にロウケツエビ(多分)ってのが住んでいる。つがいで。

で、これまた確か?、の話になってしまうが、卵の状態でカイドウロウケツ内に入って、その後だんだん大きくなるとカイドウロウケツの網目を潜れないほどの大きさになってしまい、一生そこで過ごすんじゃなかったかなあ。

そう、確定「山椒魚」だね。井伏鱒二。

山椒魚読んでいて怖かったもんな。想像力が豊富な人なんて、読んだだけでトラウマになり閉所恐怖症を発症させてもおかしくはない。しかしとすると、この場合山椒魚はどれに当たるのだろう?

勿論ロウケツエビはそれにあたるだろう?しかし、カイドウロウケツもそのロウケツ地獄に巻き込んだ張本人としては山椒魚要素がある。とするとロウケツエビはやはり消去法でいくと蛙になるのだろうか?

はい、こういう固い頭だから僕は叙述トリックが苦手で、本を読んだ後いまいちトリックにパッとしなかったり、どんでん返しに気づかなかったり、そして適当に読んで、ほにゃららの記憶もままならないまま読み進めるからイニシエーションラブを読んでは意味不明に終わるのだ。(なんだ!あの帯は詐欺か!と思ってネットで解説を探し、それを読んで小説の核心気づく切なさったらありゃしない)そもそも根本が違うという事に気づかずに。

はあ、だんだん目の覚めてきた鹿田だ。色々話してきた結果、今鹿田の頭に残るものはナマコの酢づけで一杯飲みたいってことだ。

海鮮系の飲み屋もいきたいな。ま、コロナ禍の今はその思いを心に蓄積させ、いつかドカンと解放する楽しみをとっておこう。海鞘(ホヤ)も食いたい。昔一時期海鞘に嵌って、海鮮系の居酒屋に行ってはいつも頼んでいた。チャンジャも食いてえ、海ブドウに島ラッキョウも。島ラッキョウ、エシャロットとは少し違うんだよね。お店だと酢で漬けたものがよく出てくる気がする。味噌や辛みそでもあいそうだがどうだろうね?

うん、今内臓を吐き出したナマコの気持ちが分かった気がした。



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