【小説】あと74日で新型コロナウイルスは終わります。
~マスク皮膚炎~
「おそらく皮膚炎ですね。軟膏を出しておくから、1日1回から3回くらい塗るように。少し様子をみてみましょう。」
医師はそう言うとカルテに記載した。
「皮膚炎の薬、すぐ在庫切れになるから、また発注しないとね。」
アキナと同僚の看護師は確認し合った。
例年だと、新生児のオムツ皮膚炎や妊娠性皮膚炎がほとんどだったが、今年は、患者さんや医療従事者にマスク皮膚炎が流行った。
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急増の「マスク皮膚炎」予防するには…「こまめに洗顔→すぐに保湿」がとても大切!
話題 まいどなニュース2020/9/4 14:05
今年初頭から、口周りの肌トラブルを抱えた患者さんが急増しています。病名は「マスク皮膚炎」。皆さんご想像の通りです。症状は摩擦による、かぶれ・湿疹・かゆみ。マスクの中に息がたまることで、吹き出物・ニキビ。鼻の周りに脂漏性皮膚炎のような、赤み・湿疹などです。
これらの対処法は、大きく3つ。
(1)顔に合ったサイズ、形のマスクを使う。
(2)皮脂を取るために頻繁に洗顔する。
(3)皮膚のバリア機能を高めるため、こまめに保湿剤を塗ること…です。
一時はマスクがなくて騒動にもなりましたが、今は普通に流通しています。自分の顔のサイズや形状に合わせたマスクを探すことは、皮膚の摩擦を防ぐために大切です。
(2)と(3)は矛盾するようですが、保湿剤を塗りすぎると、ニキビの原因になります。ところが洗ってばかりでは、肌のバリア機能が失われて皮脂欠乏症となり、こんどは肌荒れを起こします。女性は化粧をしているため、頻回に洗顔するわけにいきませんが、マスクをする時は薄化粧で、できることならマスクで隠れる部分はお化粧をしない、というくらいの勇気も必要です。ニキビの予防は洗顔が第一です。とはいえ保湿も、肌荒れ予防には欠かせません。
とくにマスクで覆われる部分は、こまめに洗顔し、すぐに保湿剤を塗って肌の潤いを保つ。なかなか難しいですが、マスク皮膚炎になってからでは治療が大変です。発症予防のために努力してください。
あと忘れがちなのが耳です。マスクのゴムで締め付けられると、頭痛の原因にすらなります。「顔に合ったサイズ」選びと、マスクをする前に顔だけではなく、耳の裏、マスクのゴムが当たる部分に乳液かクリームを薄く塗ると効果的です。
◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。
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本来なら、専門の皮膚科に案内すべきだろうが、コロナ禍では複数の診療科を受診してしまうと、その間の過程で新型コロナウイルスに感染してしまうのではと患者さんたちが危惧したため、産婦人科クリニックでも皮膚炎の軟膏を出すことがあった。
「今年の夏は特に暑くて、患者さんたちもスタッフも大変だったね。」
「来週からは少し落ち着くらしいよ。」
「あとひと踏ん張りかー。」
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと74日。
これは、フィクションです。
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