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私たちの夏はもう、あんなに遠くにある【不登校長女、海に行く】



いい、夏を過ごせたと思っている。








8月上旬。夏はまだまだこれから。
そうわかっていても、
その言葉ですでに私の夏を終わらせたくなっている。


それくらい、心が癒される時間を先日過ごしてきた。

大人には正直、ハードで大変な旅でもあった。
でも、子どもがみんなずっと笑っていた。
それだけで。この夏に増した私の日焼けも愛せる気がする。



去年もお世話になったコテージで、友人家族と一泊過ごした。


友人夫婦の妻の方は、私の高校生からのバドミントンのパートナー。
高校生から社会人、そして母親となった今も、いっしょにダブルスを組んで試合に出続けている。
ちなみに彼女の中学校の先輩が、私の夫。
高校では私と彼女は夫の後輩として、部活動に励んでいた。


彼女も3児の働く母。
小4女子、小1男子、年中男子の子どもがいる。
ともに青春時代、涙を流しながらいっしょに歩んできた。
今は子育ての戦友として、互いに子育てに悩みながらも、自分たちの夢もあきらめずに追いかけ続けている。

友人夫も含め、家族ぐるみで仲良くさせてもらっている関係だ。

週末の練習には家族同士で参加するので、住んでいるところは離れていても、しょっちゅう顔をあわせる。おかげで、子ども同士も仲が良い。



そんな友人家族との旅行。
決まったときからみんなでワクワクしていたものの
不安げな表情がひとり。


「ぼく。大丈夫かなあ。心配だなあ」


数日前から、不登校の長女は繰り返した。
自分でも、当日の朝にどんな気持ちになっているかがわからないのだ。

赤ちゃんのころからともに過ごしてきた、1つ年上の親友ちゃん。
彼女のポジティブさにひっぱってほしいなあという親の勝手な期待が、長女に向けて漏れ出してしまったのだろうか。



当日の長女はやはり、泣いていた。
でも、もう友人家族も出発している。
ここでキャンセルというわけにもいかない。


「親友ちゃんが会いたいってよ。まずはみんなでさ、車に乗ってみよう」


半ば強引に抱き寄せて乗車させたことを、申し訳なく思った。
でもきっと。会えば元気をもらえる。

親友ちゃんはもうずっとしゃべりっぱなしというくらい、ポジティブで「陽」のオーラを放つ子で、私も大好き。
どうか笑顔を分けてくれますように。
祈るように私たちは出発した。








あのねもうね、
結論から申し上げます。(我慢できんくなってるやん)





親友ちゃんにシーソーで寄り添う、長女




長女、とっても笑顔で楽しんでくれました!!!(スタンディングオベーション)




「長女ちゃーーーん、やっほーーー!!!!」
「もう今日、すっごく早く家出ちゃったんだよおーーー!!!」
「夜、テントで女子会しようねーーーー!!!」
「あたし、縁日作ってきたからねーー! 射的やろうねーーー!!!」


最初こそ、もじもじと母の周りから離れずにいたけれど、親友ちゃんはおかまいなしに話しかけてくれる。
そのうち、あきらめたのか(笑)
親友ちゃんに手を引かれて、母から離れていく長女…………



これが……! 
これが、陽キャに秘められし伝説の力なのか…………!!(ゴクリ…)



その圧倒的な明るさを前に、どんどん長女の笑顔がはじけていく様子は、見ていてすがすがしいほどだった。
その姿に母の目から涙が出てくるのは、とても自然なことだったと言える。


浮き輪とビーサンを借りて海へ
コテージの目の前の海ではしゃぐ子どもたち


岩間の波打ち際で戯れる子どもたちを見守る。
波は穏やかで、蟹や小さな魚もたくさんいた。


去年は眺めるだけだった三男、海デビュー
蟹が獲れたと思いきや貝殻集めてた双子弟
前歯がなかなか生えてこない次女と、長女


夜は庭でバーベキュー。
海鮮もお肉も野菜も買い込んで、お酒も「いや絶対4人分じゃねえだろ業者か」という量を準備した。
飲みたがりが4人集まればなんとやらである。

いざ………!!!

と意気込むものの、みんなで乾杯する暇もなく子どもたちの忙しいリクエストに応えなければならない。

もう大人はそれぞれで勝手に飲酒を開始する。

子どもたちはマシュマロを焼くのを楽しみにしていた。
業務用の80個入り大袋が用意されるも、朝にはもう空になっていた。おそろしや。(カロリー的な意味で)


焼き係は夫たちに自然と任命。ありがたや。私は野菜を切りましたよ!!(アピール)


子どもたちはテントで女子会をしたり、親友ちゃんの縁日を楽しんだり、親のスマホを盗んではお互いに動画を撮りまくったり。

子ども同士で遊んでくれているうちに、大人はみんなで懐メロを流して飲みながら大合唱。
お隣もいないと、いい大人が騒いでも怒られなくっていい。


「こっちこっち!」の声が多すぎて迷うスイカ割り。
暗くなったところで花火🎆空には満点の星



気づけばすがすがしい朝を迎えていた。
いつもならば休日の朝ダラダラしているみんなも、これだけの景色を前にじっとしてくれているワケもなく。
朝5時に目覚めて「海に行こう!」と大騒ぎ。

お留守番組は庭のプールでちゃぷちゃぷ。
ああ、お留守番隊長に任命されてよかったな~←


プール独占で興奮気味の三男



帰り道に寄った道の駅は広場もあって、最後まで思い切り遊ぶことができた。

いろんな場所に散らばる子どもも、大人4人が自然と手分けして、声を掛け合い人数確認。手慣れたものだなあと、その自然な協力になんだか感心した。

かき氷を待ち切れない様子
今や見なくなったシーソーもあった



この旅を終えたあと
しばらく子どもも大人もなんだか、ふわふわとした心地で過ごした。
まだ私もふわふわしている。
そのため、仕事でもミスを重ねた。(スイマセン)




夏が終わってしまったね。



そんな寂しさを感じながら、
一段と黒くなった子どもたちの肌をなでつけた。

夫に至ってはこれで夏の有休も終わったし
本当の意味で彼の夏は終了したのだった。



長女が不登校になって初めて迎えた、夏だった。

家族の前では、変顔もしたり、笑わせてくれたり、ひょうきんなこともする長女。
外に出たらその表情はぴんと緊張が走り、私の手を握り離れない。

その彼女の顔が、あんなに遠くではじけてる。
その距離が。
「遠くにあってうれしい」ということが、あるんだな。


この8月が終わったとき。
これをきっかけに、彼女が急に元気になって学校にも行けるかというと
そうではないだろう。

でも、長女の心にはきっと
この夏の美しさが焼き付いている。


みんなで入った海のしょっぱさ。
スイカ割りで棒が当たった手ごたえ。
親友ちゃんと撮ったたくさんの動画。
初めてのシーソーの大きな揺れ。
帰り道の、いつもとは違う気だるさ。




きっと、あなたは日記も書かない。
「夏の思い出」の宿題もやらない。


でもいいよ。
あなたの心にこの記憶を焼き付けて。


けして、忘れないでね。




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☀この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です☀
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髙塚しいも|5児の母
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