妖怪ヒトリヤダモン
「あっ出た! 妖怪ヒトリヤダモン!」
泣いている息子を見て、夫が言った。
生後5か月の息子は、放っておかれるとすぐに泣く。そばに誰かいないとダメなタイプ。
娘がこれぐらいの月齢のときは、腹ばいのまま、わりと長時間ひとりで遊んでくれていた気がする。料理をするときも、台所のそばにバウンサーを置いて、そこに座らせておけば、私が料理をする間ぐらいはご機嫌で待っていた。
一方、息子は誰に対してもニコニコと愛想がよくて、早い月齢から人見知りが強かった娘とはその点が大きく違う。スーパーの店員さんや、道で話しかけてくれるおばあさんなど、息子は相手が誰であれ、かまってもらえさえすればニコォと笑っている。姉弟でも全然違って面白い。
妖怪ヒトリヤダモンは、娘や私がそばで遊んでいると、自分も仲間に入っている気分で、うれしくてニコニコ。娘が気まぐれに別の部屋に行ってしまうと、あーーーん、と泣く。ハイハイごめんね、と戻ると、すぐに機嫌を直してニコニコ。ハイハイができるようになったら、お姉ちゃんの後ろをどこへでもついていく姿が想像できる。お姉ちゃんの手下になりそう。
妖怪ヒトリヤダモンは、もちろん一人では寝られない。誰かの添い寝が必須だ。昼寝中も、うっすら目を開けて、横に誰かいることを確認。一人じゃないことを確認すると、安心してまた目を閉じる。
まんまるの顔でニコニコ笑う妖怪ヒトリヤダモン。この子はどんな子になるんだろう。これだけ寂しがり屋なら、きっと友達が多い子になるだろうと夫とよく話す。
赤ちゃんのときの性格なんて、全然関係ないよと言う人もいるけど、人見知りで警戒心が強い赤ちゃんだった娘は、3歳の今時点では、そのまんまの性格だ。息子はこのまま寂しがり屋ボーイになるのだろうか。
ちなみに私は夫から妖怪あぶら拭きと呼ばれている。我が家は妖怪だらけ。