専門学校生の採用ポイント
専門学校生の採用ポイント
(前号からのつづき)
アンケートでは、専門学校生の採用ポイントについて、「専門性」、「基礎学力」、「積極性」、「一般常識・しつけ」の四点が挙げられました。
専門学校生採用のメリットは、資格や技術・技能などの専門性がポイントであり、そのことは当然なことでもあります。
しかし、アンケート結果から見る限りでは、実際の選考レベルでは、際立って高いというわけではありません。
企業サイドでは、専門性は当然のものと判断しており、むしろ基礎学力や一般常識・しつけが専門性を上回る結果となっており、この傾向は大きい企業ほど顕著になっています。
尊門学校が、単なる専門家を供給していればよい時代は終わりました。
専門性が専門学校生の武器であることに変わりはありませんが、いま企業が専門学校に求めるものは、専門性に付加された社会人教育なのです。
専門学校には、ひ弱な若人がぞろぞろと人っています。
なにかといえば人に助けを求めたがります。
自分でできること、やるべきことを考えようとしません。
言われた範囲から出ようとしません。
従って私たち指導員が、自然の厳しさを、社会の厳しさを教えなければならないわけです。
専門学校は、形態としてはこれまで学んできた中学校や高等学校と同様ですが、内容は学校とは全く異なっています。
小学校、中学校、高等学校といったこれまでの勉強は、どれだけたくさん覚えられるかという、キャパシテイ能力に重点がおかれていました。
専門学校のカリキュラムは、職業教育ではなく職業訓純(トレーニング)なのです。
つまり、特定の職業に必要な知識と技能について、現実的かつ具体的な、自らの体験をとおして修得させることに重点を置いて、指導しています。
言い方を変えれば、「習ったら慣れろ」です。
「習い、理解できた」ことが「習慣的にできる」状態にならなければなりません。
そうなるには、自らの意思で積極的に行動することが求められます。
一般的に大学や短大等、高等学校以上の教育の場では、生活指導があまりなされていないようです。
しかし責任ある専門学校では、「教える」ということと「誤りを正す」という両面から、かなり細かく指導しています。
私が接する限りですが、最近の生徒は、家庭や学校で、社会人としてのしつけを十分受けていません
しつけは、専門学校に人校当初の、カルチャー・ショックを受けた時点での指導が、最も効果があり、その初期段階で基本動作を身に付けさせないと、なかなか習慣付きません。
しつけは、長い間に身に付いたその人のクセや行動習慣を変えさせようというものであり、一度注意を与えたらそれで完全に直ると云うことはありません。
ましてや、短期間ですべてを理解させることは、まず不可能なことです。
日常生活のなかで気付いたらその都度注意し、キチンとできるまで粘り強く、冷に何度でもアプローチしなければなりません。
生徒は、一度の指導で急変することはありません。
くり返しの指導によって、毎日少しずつ変化し、だからこそ定着したカとなるのです。
(次号につづきます)