【読書会】いい子のあくびを読んで
昨日の夜に、内観研究所主宰の読書会に参加してきました。課題図書は
高瀬隼子さんの「いい子のあくび」ちょっと長めの表題作と、短編2編が収まっている本です。
状況を客観的に表す言葉はできるだけ端的に、心象を表す言葉はできるだけ泥臭く何度も繰り返すように吐き出すように書かれた文が特徴的な本でした。
読書会では、
・悪意を抱えたまま生きる未来はどうなのか?
・いい子は本当にいい子なのか?
・何もしないは善ではない、何もしない悪意の存在。そしてそれを「良し」とはしない世の中。
・確かにそれは「わりにあわない」のだけど、あくまでも自分視点のみで人の心は完全に無視されている。それで幸せになれるわけないよね?と思っていたら案の定、善良だと見下していた相手からの裏切り。
と、そんなことを話しながら盛り上がりました。この主人公の未来を心配する我々という図式(笑)
上記の作者さんのインタビュー記事を読んだら、より深くなるかも。
書きながらムカついて、憤ってを繰り返して、さらにムカつきがエスカレートするのは書き手として「そうだよな」と共感。
職業作家は逃げずに向き合わないといけなくて、心の底から湧き出てくるまで絞り出して書いてーーこの繰り返しで作品を生み出しているのだろうと、インタビューを読んで感じました。読書メーターで感想をさらっとレビューすると「気持ちがザラつく」「面白いけど怖い」「ここまで見たくない感情を見せられるとは思わなかった」などという意見が多く、また「共感できてすっきりした」「私一人だけじゃなかった」という感想もある。
予想はしていたとはいえ、こんな閉塞を感じながら生きている女性の多さにドキリとする。
高瀬さんの作品に向かう姿勢を見ていて、やはり私が書いている文章は「片手間」なのだなあ。いくら時間を割いても向き合う姿勢は片手間で、でもその中で書けるものを何とかいい具合に形にしたい。
同じ時代を生きる女性として、何か残したいなと思わされた作品でした。