【うつくしい人】 作:西加奈子
読書記録
【うつくしい人】 作:西加奈子
今回は、初の西加奈子さんの作品を紹介。
〜あらすじ〜(本書裏面参照)
他人の目を気にして、びくびくと生きている百合。
単純なミスがきっかけで会社を辞めてしまい、発作的に旅に出た。
旅先のホテルで出会ったのは、ノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。
ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。
片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていたー。
西さんの作品は、
『自己の内面』
『他者と自分』
こういったところにスポットライトが当てられているなぁ、といくつか読んでみて思っていました。
そこで、今回感想を書くにあたって西さんのインタビュー記事読んだり、【うつくしい人】のあとがきを読み直してみました。
そこで感じた
『西加奈子』という人物は、
すっごく奥深ーくまで考える人。
とにかく考える人。
こんなに自己の内面、外側の他人に向かって常に考えをめぐらせている人が描いていたんだ。
私が感じたものは、この人から出ているもので間違いなかった‼︎と改めて思いました。
また、インタビュー記事やあとがきを読んで、
ふと思ったんです。
『あれ、私、西さんの考えにすっごく共感しかない。
というよりも、私も同じように考えて過ごしているかもしれない。』
と。
私も友達から
『なんで、そんなに考えるの⁇』
『そんなに色々考えてたら、苦しくない⁇』
そう言われたことがありました。
私にとっては、
息をするように当たり前のことで
『考えている』っていう感覚さえないんですが、
他人から見たら『生きにくそう』。
そう見えるみたいです。
西さんの作品は、
人が普段言葉にはしないけど
頭の中、身体で考え感じているもの。
それを描いていると思います。
今回の主人公、百合。
彼女も、旅の中で"姉"との関係について色んなことを考えます。
そして、それを救ってくれるのがデリカシーのない2人の男。
なんだか、噛み合わない3人がお互いに少しだけ響き合い変化が起こる。
普段、デリカシーのない人って敬遠されがちですが、
きっかけをくれるんですよね。
西さんもあとがきで同じようなことを仰っていました。
百合のように、自分の内面にぐっと向き合っている人。
そういう人には、西加奈子さんの本を読んでもらいたいです。
多分、最初は読んでいて苦しいと思います。
だけど、どこか救われる部分を見つけられると思います。
そんなおすすめの一冊です。
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