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#1 【読書する人だけがたどり着ける場所】

好きに勝るものはない

この本は、著者である明治大学教授の齋藤孝氏が、「読書とはなんなのか?」「どんなメリットを持つのか?」「どうして読書が必要なのか?」といった、読書に関する考えを展開していく一冊である。

この本を通して読んでいくとわかるのは、「好きに勝るものはない」ということである。

好きだからこそ、この本を書けたのだろうと思う。いやむしろ、好きでなかったら、こんな本は書けないという表現の方が正しいかもしれない。

筆者は年間にいくつもの新しい著作を発表しているほどの作家(もはやクリエイターと言ってもいいかもしれない)であり、しかも本職はそっちではなくて、大学教授だ。さらにはテレビにも多数出演しており、いつそんな執筆をしているのか?と思わず聞きたくなる。

そしてそれほど忙しいにもかかわらず、いくつものアウトプットを生み出せるのは間違いなく読書が好きだからであると私は思う。

「役に立つ」から離れて

この本はジャンルとしては読書論的なポジションに立っている本であることは間違いない。しかし、いくつかこの手の本を読んできたからこそわかるこの本の特徴がある。

それは「役に立つ」とか「実用的」という視点から離れて読書に対して論じている点である。

一般的な読書論に関する本は、「本が読めるようになる」とか「短い間で速読する!!」とか「読んだ知識をすぐに活かす!」など、仕事やキャリアアップのために本を読む人向けのものが多い印象である。

しかし、この本は一貫してこの立場をとらない。なので、そういう本を求める人にとってはあまり役に立たないかもしれない。

ではどんな軸をもとに論を進めるのか?それは
「読書はとにかく楽しいし、メリットがたくさんある!!」
という主張である。

そしてこれこそが個人的にこの本のいちばんスキなところであり、最も魅力的な点であることは間違いない。

本との「向き合い方」

この本では個別のテクニックは何も教えてくれない。

方法論というよりも、「本との向き合い方」つまり、精神的な側面を紹介している。何を意識して本を読むべきなのか、どんな視点から文章を解釈していくべきなのかなど、ある種の「構え」とも言えるものを主として独自の読書論を展開していく。

また面白いくらいに筆者の主観的な楽しみ方が並ぶのもポイントの一つだろう。

データがどうとか、科学的にどうとかそんなの関係ない。

一個人である筆者が本を読むにあたって、何を楽しんで、面白がっているのか。その一点に絞っているのがいい。

ではこの「構え」によって我々読者は何が変わるのだろうか?

それこそが、先ほども書いた通り
「読書を面白いと思え、そして好きになる」という点だ。

つまり、これを読んだからといっていきなり難しい本を読めるようになるわけでもなければ、大量の本を読めるわけでもない。
しかし、ただ一つ、「読書は楽しいものなんだ」ということがわかる。

読書は面白いものなんだ

最近は本を読まなくなったと言われて久しいが(これが正しいかどうかは別にして)、その一つの理由に「面白くないから」がある。

それを言ったらおしまいだよ!となってしまう理由だが、面白くないことをやっても仕方がない。そう思うなら本なんて読まなくてもいいと思う。

しかし、一度「本を面白がる」努力はしてもいいのではないだろうか?そしてもしそんな気持ちを少しでも感じたならばこの本はすごくおすすめだと思う。

また私としてはこの「面白がる」というのは本を読む上で最も大切であると思う。私も本を選ぶ基準はただ一つ。面白そうかどうかだ。

自分の中で本を面白がるという姿勢を身につけることができれば、読書というのは死ぬまで我々を楽しませてくれるはずである。

「好き」こそが最強の差別化

本の中身自体は、ここまで書いた通り、本への向き合い方、そして読書の魅力を伝えるものだ。

しかし私個人として最も学びが大きかったのは、「好きである」ということの重要性である。

どういうことかというと、結局「好き」を極めていくというのは、最も効率的な差別化の方法なのではないかということである。

ある一つのことを、もう重いくらいまで好きになるからこそ、そのものに対する自分なりの「構え」が生まれてくる。その境地まで達することができれば、それが自分の武器になり仕事になる。

結局人は自分なりにそのものを好きになったり、面白がったりしなければ「構え」を生み出すほどその道を極めることは難しいと思う。

逆に言えば、その自分なりの「好き」を探すことが人生の中で重要なことなのではないだろうか。







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