72候【花鳥風月】春分の候
春霖しとしと、春雷ごろごろ、初虹うきうき、蛙ぴょこぴょこ
まっさらな地球キャンバスに、まっさらな自分を配置して、あたらしい一年がはじまります。
春分の日は、古来より真東から昇る太陽を祝福し、真西に消えゆく光のその先に極楽浄土があると考え、あらゆる文明で祝祭の儀を催してきた日です。
太陽がダイレクトに地球にはたらきかける、特別な日と考えていた文化もあれば、四大精霊(火・風・水・土)たちが太陽の道を通って活発に出入りする日、という説もあります。
太陽とつながり太陽からたくさんのインスピレーションを受けとり「わたしはここにいる」「ここからはじめるよ」と宣言する日でもあると感じています。
春分の夜明けとともに各命一斉スタート。
春雨のように余力をのこしてしとしと走りだすいのちもあれば、春雷のごとき勢いでスタートダッシュを決めて、全力全快フルパワーで疾走するいのちもありましょう。
初虹のかかる春分の候は、大気に水と光が充満して、活発に成長する時期が到来したことを伝えてくれます。
大蛤の大あくび、龍神さまの虹色吐息、春の陽気に誘われて、眠りから覚めた霊獣たちが大きく伸びてうねったあとは、地に棲む生き物たちもちょろちょろ、ぴょんぴょんとうごきだし、ガイアのリズムに同期します。
植物界のちいさな芽吹きに耳を澄ますと、ぽん、ポン、たん、タン、とあちらこちらで空気が振動するのを感じます。
地表に張られた太鼓のまくで、小気味よくリズムを刻んで、自然界一大セッションのはじまりです。
人のからだも雪どけ油どけ、春の浄化にともなって肝臓が活発にはたらきだすこの時期は、肝臓強化ハーブを積極的に取り入れます。
肝臓によいといわれるハーブといえばウコンを思い浮かべる人が多いと思います(大手企業の製品化によるイメージというのはすごいものです)。
肝臓がんばれハーブの4大巨頭といえば、たんぽぽ、ミルクシスル、アーティチョーク、ウコン、という感じでしょうか。
わたしは飲みやすさと買いやすさで、もっぱらタンポポコーヒーをチョイスしています。1週間飲んだら1週間休みして、脾臓を含めた消化器系が「あ、またこれか」と飽きないように工夫します。
肝臓の疲れは血液がどろりとして変化があらわれやすいので、目がしょぼしょぼしたり三角になったりしてすぐに教えてくれます。
ほおっておくと脂肪分解がうまくいかなくなり、おできやものもらいができやすくなりますが、からだは肝臓自体に火がまわって傷つかないよう小出しに調整し、未然に防いでいると考えています。
先天的に肝臓が強いタイプの人は、疲れが意識できないほど疲弊すると感覚が鈍ってしまい、自己処理能力を超えてさらなる負担を求めはじめるという説があります。
たとえばアルコール処理で大忙しなのに「もっと飲ませろ」とか、とっくにキャパオーバーなのに「もっと仕事させろ」とか。
生きている実感を求めて、自分の限界超えチャレンジに没頭している時期は「ほどほど」で手を打つことができません。
なにかに夢中になってやりすぎるくらいが望ましいわけです。
もの言わぬ臓器ともいわれる肝臓は、春になるとオイラの出番とばかりに活発にうごきだします。
なので本格的に春めいてきたと感じたら、おできやものもらい、アレルギー症状がいつもよりひどい、おなかが張るなどのサインを見逃さず、からだの声を聞きながらゆらゆら揺すったり、ストレッチする時間を優先的にとるようにしています。
皮膚を柔らかくしてからのストレッチは、ノーケアでするときより段ちがいでキモチよいです。
ねじねじしたり、ゆらゆら、ゴロゴロしていると、からだの方から「こっちに動きたい」「ここをのばしたい」と伝えてくれます。
そうしているうちにハラの底から声を出したい、ぐるぐる回りたい、変顔をしたい、マオリの戦士みたいにガオーってしたい、液体猫さまのようにぬるっと動きたいなど、いろんなことを要求してくるので、恥じらいなんかでストップをかけずに、なんにでも応えられるよう、無心でゾーン突入にアクティベートできる環境づくりもたいせつです。(同居人がいる場合事前に説明しておくとか)
肝臓が腫れると横隔膜がはり、呼吸が浅くなると聞いたことがあります。
おなかが張るなぁと感じたら、肝臓お疲れサインと判断し、お風呂上りに柑橘類かキク科ハーブの精油入りオイルでトリートメントをしますが、数日つづけたいときはパジャマにオイル臭が移ってしまうので、手前味噌話ですが当社製品Sheild72°の保湿シリーズでセルフマッサージしています。
全製品に着香目的でオーガニックアロマを使用しているのと、ローズマリー(ローズマリー葉水:基剤)が主成分なので、お休みまえのボディケアに重宝します。
手づくりオイルではカレンデュラ(マリーゴールド)のホホバ浸出油も愛用しています。
透明ガラス瓶に5:1の割合でホホバ(またはサンフラワー)オイルと乾燥したカレンデュラを入れて、しっかりふたをします。
酸化しにくいのでわが家ではもっぱらホホバかヒマワリ油を使います。
湿気の少ない日当たりの良いところに1~2週間おきます。
ハーブの有効成分が抽出できるよう、まいにち瓶を振ります。
フィルターで漉して遮光瓶にうつしたら1か月を目安に使い切ります。
オイルしみしみのハーブは最後までぎゅっと絞ったら、茶漉しフィルターに入れてアイパックにし、お風呂で楽しんでいます。
カレンデュラ(マリーゴールド)についてはこちらの記事にも綴っています。
春分の候、今年は3月21日から。
打てば響く、言の葉鼓
「たんぽぽ」と声に出すと、気分があかるく、楽しくなります。
アナグラムで遊ぶのもまた楽しく、ぽぽたん、ぽんぽた、ぽたんぽ、たぽんぽ、たぽぽん、んたぽぽ、んぽたぽ
どの組み合わせも、こども心がくすぐられるようで胸が弾みます。
連続して口にするとからだがリズムを刻んでうごきだし、うきうきわくわく、いちめん黄に染まる野っぱらに、ぴったりの響きだなぁと感じます。
キク科タンポポ属のたんぽぽ。
地球上でもっとも分化し、進化しているキク科植物のなかで、春まっさきに花を咲かせる野草のひとつです。
春開花するたんぽぽは在来種、帰化したセイヨウタンポポは年中花を咲かせ、昨今では交雑種も旺盛です。
たんぽぽの花茎の両側に切り目を入れて水に浸けると放射状に反り返り、砂時計のような鼓のかたちになります。
江戸時代にはツヅミグサ(鼓草)と呼ばれ、「タンポポ」は太鼓を意味する幼児語でもありました。
太鼓は大昔からある楽器のひとつ。
腹太鼓や腹鼓、手拍子、足ぶみ、舌鼓。
ヒトのからだを使う仕草で、大地や大気を震わせることは、どれも楽し気で周囲の様相を一変させる魔法の音をともないます。
太鼓や鼓は祭器として神事につかう、という印象が強いと思いますが、世界のなかでも、特にシャーマニズム文化において太鼓は精霊や神霊と交信するために欠かせないものでした。
古く日本でも、太鼓の音は異界に届くものと考えられており、こどもが神隠しにあったときは、太鼓をたたいて異界へ音を届けつつ、探し歩いていたといいます。
西アフリカのトーキングドラムは、遠距離通信に使われていた技法で、おどろくことに民族の物語さえ太鼓の音だけで継承されているとか。
太鼓をはじめとする打楽器の音色には、時間や空間に閉じこめられない、とくべつな響きが込められていて、とくに鼓のカタチには鏡面のように響きあう、現世と異界を同調させる秘密の振動が隠されているのではないのかな、と妄想しています。
タンポポコーヒー「掘ったらすごいんです」
タンポポはニガナ、クジナ、タナとも呼ばれていました。
タナは田の菜、田んぼの畝に生える野菜という意味で、古くから世界中で食材利用されてきました。
タンポポコーヒーは今ほどハーブが一般化されていない数十年前から、コーヒーの代用品として、あるいは健康茶として出回っていました。
根を乾燥させ、炒って粉末状にしたもので、腸の環境改善やむくみ解消によいといわれています。
民間療法では肝臓や腎臓の強壮剤、便秘や消化不良を改善する目的で用いられてきました。
たんぽぽの根はとても長く、30cmから1メートルになるものもあり、見た目は少しひねたゴボウのようで、きんぴらにしてもおいしく食べられます。
じっさい掘ってみると、生命力に満ちた力強さに圧倒されます。
日干ししたものは漢方薬の蒲公英となります。
英名のダンデライオンは、ライオンの歯を意味することばに由来し、葉のギザギザした感じがライオンの歯型のようだと考えた名称です。
たんぽぽの葉には同量の人参やレタスの約7倍のビタミンAが含まれているといいます。
ミネラル類も多いので血液浄化作用があり、排泄器官をととのえるための民間療法として定番使いされてきました。
若葉には苦みとうまみがあり、ルッコラやチコリ、ベビーリーフのように使えます。
花はサラダに散らしたりジャムに入れたり、いまでは食用タンポポも市販されていますから、いろいろなメニューが検索できます。
たんぽぽの花茎を折ると白い乳液がでてくるので、地方によってはチチグサと呼ばれることもあります。
ゴム質の白い液はとても苦く、虫の捕食を避けるため、また細菌やカビの侵入を防ぎ、傷口の修復をする作用があると考えられています。
おひとりジャーニー、たんぽぽの精
たんぽぽは地下茎や根でつながっているわけではなく、単独で土中にむかって太く長い根を伸ばし、生命活動のためのポジションを獲得します。
地表ではロゼット状に広がる葉のつけ根につぼみをつけると、そこから葉もなく枝分かれもしない花茎がニョキニョキ伸びて花を咲かせます。
花茎を笛にしたり砂時計型の鼓にして遊べるのは、ストローのように中が空洞、筒状になっているからです。
中身がうつほ、筒状なのは、四大精霊や神仙の分岐した魂を受け入れる胞衣としてのお役目をもちつつ、現世的な栄養物「以外」のものを運んでいるから、と考えたりします。
土中深く根を伸ばすたんぽぽは、土元素界の懐深くおひとりジャーニーを楽しむ無頼派で、植物ほんらいのエーテル的性分を見失わないよう、精妙な気をふんだんに運ぶ筒状の花茎をのばし、風精霊の通り道を確保したのではないかな、と妄想はふくらみます。
土精霊と話をつけて、土の深みへどんどん分け入り、土元素界のラスボスと協働しながら、なおかつ地表では風精霊が往来しやすいカタチへと進化したのではないかしらん。
大地に「たん」と根を響かせて、うつほ茎が「ぽぽ」と返す。
打てば響くたんぽぽリズムは、土元素の不動性質と風元素の広く行き渡る性質をみごとに融合させた、大地の鼓、そのものだなと感じます。
筒状の花茎にひらく花は3日ほど花を咲かせ、2週間ほどで白い綿帽子になります。
風に舞う羽根つきの種は、風精霊たちが楽しみに待っている遊具のひとつ。だからなんとしても、たんぽぽを結実させるまで土元素界にもっていかれないよう、風の精霊は筒状の花茎をいったりきたりして、たんぽぽリズムに調子をあわせているのではないのかな、と。
太陽は牡羊座に入ります
ネイティブ・アメリカンに伝わるシャーマンの処方箋について書かれた
「メディスン・ホイール」サン・ベア&ワブン著 VOICE刊 によりますと、
たんぽぽは東のトーテムで、春分の日から約1カ月間をつかさどる植物に選ばれています。
ネイティブ・アメリカンの人々は、たんぽぽが属する「木が芽吹く月」に生まれた仲間を「どこにでも顔を出す」と評価しています。
面白いものを探しだすエネルギーに満ち、花から根まで全草使えるたんぽぽのような「宝の貯蔵庫」とも表現しています。
ピンで大地に降り立つのは、一見するとむこうみずなやり方ですが、たんぽぽは親譲りの無鉄砲さを受け継ぎながら、北半球を中心に、どこにでも顔を出すほど拡大してきました。
牡羊座のころはおひとりジャーニーの達人・たんぽぽのように、誰に遠慮なく(誰ともつるまず)、社会的な仮面もはずして、ただひたすら興味・関心・好奇心の赴くままに、動きつづけるエネルギーが背中を押してきます。
それはまるで、ドリーミングボディの要求のように、自分の思考の延長線上には見つけられない、突拍子もない思いつきであることも少なくないと感じています。
前述した「からだの声を聞いて、どんな要求にもこたえるゴロゆら体操」を、わが家ではドリーミング・ストレッチと呼んでいます。
ドリーミングボディは動物がかったうごきを要求してきたり、奇声とか、大量のため息とか、手拍子足踏みなどを要求してくることもあるので、やはり家人のいないひとり時間に取りくんだ方がゾーンに入りやすいかもしれません。
時期を選ばずいつでも取りくめるドリーミング・ストレッチですが、牡羊座のころはとくに、頭のてっぺんからダイレクトに太くて長いアンテナが立って、自分の霊我につながる気配が濃厚になるような気がします。
ヒトのからだと植物の構造やはたらきは、ちょうど鼓のように鏡像構造になっているという説があります。
たんぽぽが太くて長い根っこを力強く大地に伸ばしてゆくように、宇宙からの情報を受けとるわたしたち人類の頭部領域も、この時期ばかりは故郷の星につながる太くて長いアンテナから受けとる振動リズムにひたされて、パワフルなエネルギーに満たされやすいのではないかと考えています。
異界の扉がひらかれる春分の日は、神隠しにあった子どもを探すために太鼓を叩き歩いた古人のように、地球に埋没した自分のカケラを探し歩く生命体が、めいっぱいのシグナルを送ってくるかもしれません。
牡羊サインが前進しつつも、もと来た道を振りかえってみている星座図にふれると、人間と宇宙の関連を感じとっていた古の人々の感性リズムが、いまも聞こえてくるような気がします。
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お読みくださりありがとうございました。
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「ハーブのちから、自然の恵み。ローズマリーから生まれた自然派コスメ」
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