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誰もが知ってるあのアーケードゾンビゲームの実写版!尽くセンス皆無の堪らないクオリティ!なんと続編もあるらしい…「ハウス・オブ・ザ・デッド」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(798日目)
「ハウス・オブ・ザ・デッド」(2003)
ウーヴェ・ボル監督
◆あらすじ
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ルディーは友人たちと共に島で行われているパーティに参加。そんな時、船に乗り遅れたアリシアと友人たちは何とか島へ行くために漁船の船長に相談する。しかし船長はその島を「死の島」と呼び、彼らに忠告をするが、仲間の一人が大金を積んだことで出航する。島に着いた時には誰もいない事に不審を抱く一行。この時、アリシアたちは知らなかった。そこでは狂気のスペイン人が死者を蘇らせる実験を続けていたことを…(ハウス・オブ・ザ・デッドWikipediaより抜粋)
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『主人公たちが訪れた島では死者を蘇らせる恐ろしい実験が行われていた。ゾンビ軍団が襲いくる中、彼らは無事生還することができるのか!?』
という、かなり中身が薄いシンプルな内容のゾンビパニック映画です。
そんな今作は1997年頃から全国のゲームセンターに設置された筐体ゲームとして有名な「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」シリーズの1作目を原作とした、いわゆる実写版です。
次々と襲いかかってくるゾンビと戦う定番のガンシューティングゲームで、実際にやったことはないにしても、ゲームセンターで一度くらいはお見かけしたことがあるのではないでしょうか。
ゲームセンターにあった筐体のゾンビを撃つゲームを思い浮かべなさいと言われて、一番最初か2番目に思い浮かべるあれです。
ジョージ•A•ロメロ監督の「ゾンビ」のリメイクである「ドーン・オブ・ザ・デッド」(’04)やブラッド・ピット主演の「ワールド•ウォーZ」(’13)等、数多くのゾンビ映画に影響を与えたとも言われているセガが誇る人気ゾンビゲームです。
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ゲームで得られる爽快感をそのまま再現したかのようなアクションシーンは非常に見応えがありますが、うんざりするほどに長いです。
長いだけならまだしも、スローモーションやジャンプ、一回転等の演出やカット割りが尽くダサいです。しかも肝心のストーリーはペラッペラで、登場人物は無個性なのに人数が無駄に多いです。その何の思い入れもない登場人物一人一人の戦闘シーンをじっくりたっぷりこれでもかと見せられるのが苦行のようでした。
これは久々にハードな一戦(視聴)でしたね笑
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ストーリーはほとんどオリジナルで、ゲームとしての要素がまったく無いからなのか、ところどころで何の脈絡もなくゲームのプレイ動画が流れたり、登場人物が死ぬと画面が赤くなるというゲームオーバーのような演出も取って付けた感が否めず、原作の良さを一割も出せていないのではないでしょうか。
また全編通して主人公らしい主人公がいないのでストーリーに締まりがありませんし、ゾンビに噛まれてすぐにゾンビ化する者もいれば、いつまでたっても平気な者もいるなど、設定もブレていました。
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そんな今作で監督を務めたウーヴェ・ボル氏はある意味人気な知る人ぞ知る通好みのクリエイターです。
ゴールデンラズベリー賞(アカデミー賞の逆版)のノミネート常連で、2008年には最悪監督賞と最悪功績賞のダブル受賞の快挙を成し遂げ、メディアでは最低映画制作者と紹介されることもしばしば。
今作含め2000年代中期に「アローン・イン・ザ・ダーク」(’05)、「デス・リベンジ」(’06)、「POSTAL」(’07)等など、ゲームの実写化を数多く手がけたものの、評価は軒並み最低。ゲームファンの中には同氏が監督を務めることをガチで嫌がる者も多く、『あいつにゲーム原作の映画を撮るのを辞めさせよう』という署名活動のサイトも存在するそうです。
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実際、ボル監督は「POSTAL」の撮影中、『公開までに署名が100万人分集まったら監督業から足を洗う』と宣言し、これに対してCadbury Adams USA社(お菓子の会社)が『もし100万票集まったら、署名した全員にガムを配ります』と署名を煽り、かなりの騒ぎになってしまったそうです。
残念ながらゲーム製作会社からも敬遠されており、『あなたにだけは絶対にこのゲームの映画化の権利を売りません!』と宣言されることもあり、一時はレストラン経営に比重を置き、映画ビジネスから手を引いていたこともあります。
そんな同氏のフォローというわけではないんですけども、撮影中は常にカメラを2台回して無駄時間をカットし、スタッフや出演者との関係も良好で、笑いの絶えない現場になるそうです。
ちなみにそんな今作は映画「バイオハザード」シリーズの全作に携わっているポール・W・S・アンダーソン氏の監督•脚本で新たに映画化されることが発表されています。
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「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド 」の3作目をベースとする予定らしく、正確には今作のリメイクやリブートではありませんが、これは相当期待できると思います。
「バイオハザード」シリーズを共に手がけたジェレミー・ボルト氏、そしてセガの中原徹氏がプロデューサーとして参加することも発表されており、アンダーソン監督とボルト氏は「バイオハザード」シリーズ以外にも「モータル・コンバット」(’95)や「モンスターハンター」(’20)等、数々の人気ゲームの実写化でもタッグを組んで成功を収めているのでだいぶ安心できますね。
今作は現在配信等は無いようです。ゾンビ映画好きの方、「〇〇・オブ・ザ・デッド」シリーズをコンプリートしたい方、原作ゲーム「ザ・ハウス・オブ・デッド」がお好きな方は押さえておいても良いかもしれません。
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◇サンホアン島で行われている乱痴気パーティーに参加する予定だったアリシアたちは船に乗り遅れてしまい、カーク船長の漁船に乗せてもらえないか交渉する。しかし船長曰く、その島は呪われているとのことで中々行きたがらない。仲間の一人が大金を積み、どうにかこうにか連れて行ってもらうが、到着した頃にはなぜか参加者が一人もおらず、パーティー会場はもぬけの殻。これはどういうことかと島中を探索していた一行は突如としてゾンビに襲われてしまう。なんとこの島では禁忌を犯したスペイン人神父が死者を蘇らせており、島を訪れた人間をゾンビ軍団が次から次へと葬っていたのだった!!
というのが今作の細かめのあらすじです。
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今作の主人公はジャケ写にも写っているルディーとその元カノのアリシアなんですけども、先述した通り、どちらも主人公としてはあまり機能しておらず、初っ端からどう見ればいいのかの指針がブレブレです。
もうすでにサンホアン島に到着して乱痴気パーティーを楽しんでいるらしいルディー(そういう描写はありませんが)はしばらく登場しないのでとりあえず置いときます。
その一方でアリシアやグレッグ、そしてサイモンたちは何があったのかは知りませんが、島でどんちゃん騒ぎをしている真っ最中にようやく近くの港に到着。しかしもうすでに船が出ているため、たまたま近くに停めてあった漁船に島まで送ってくれないかと金をチラつかせて交渉します。
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しかし船長のカークたち曰く、その島は相当ヤバいらしく、島の本当の名前はスペイン語で死を意味する“ムエルテ”が入っているイスラ•デ•ラ•ムエルテと言うらしく、中々行きたがりません。
では一体なぜそんな島で乱痴気パーティーが行われているのでしょうか?真相は闇の中です。
とりあえず1000ドルで話をつけ、さらにはそのタイミングで沿岸警備隊のキャスパーが臨検でやって来ますが、さらに数百ドル上乗せして、キャスパーたちを振り切って島に向かってもらいます。
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その頃、島ではじわじわとゾンビが現れ始め、至る所でパーティー参加者を襲っています。
そんなこととは露知らず、島に到着したアリシアたち。しかしパーティー会場はもぬけの殻です。サイモンとシンシアはとりあえず行為に及びたいので、それ以外の3人(アリシア、グレッグ、カルマ)で辺りを捜索します。
道中でやたら古い洋館を発見した3人がさっそく中に入ると、数名のパーティー参加者がおり、その中には今作の主人公ルディーもいます。
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どうやら今この島ではジョージ•A•ロメロの映画ばりにゾンビが跋扈しているらしく、参加者の大半は死に、ルディーたちもここに避難していたとのこと。
とりあえずパーティー会場に戻るとゾンビ化したシンシアに襲われるも、先ほどの沿岸警備隊のキャスパーに助けられる一行。
とりあえずはカーク船長の船に戻ろうとなるも、船上では今まさにカーク船長がクロールが超絶うまいゾンビ相手に派手な銃撃戦を繰り広げています。駆けつけたキャスパーたちも応戦し、どうにかこうにかゾンビを一掃するも、カーク船長が噛まれてしまう。
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船での逃走を諦めた一行は船長からこの島の呪いについて詳しい話を聞かされます。
どうやら大昔にセルマーノというイカれたスペイン人神父がおり、彼は船の乗組員を皆殺しにした後にこの島に漂着。彼は島民を全員奴隷にし、それ以来島にやって来た者を問答無用で殺していたとのこと。さらにはなんだかヤバい実験もしており、おそらくゾンビはその実験過程で誕生したものと思われます。
船長がこっそり密輸していた銃火器をこれでもかと装備した一行は先程の洋館に一時避難するためにとてつもない数のゾンビと壮絶な銃撃戦を繰り広げます。※ちなみに、木箱のサイズを明らかに無視したかのような銃火器もありましたがどうやって収納していたのでしょうか。
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もう誰もが見飽きるほどの長い長い戦いが続きます。ウソみたいに長いです。
無駄にジャンプしたり、一回転したり、なぜ彼らは誰一人として建物に入ろうとしないのでしょうか。全員倒さないと次の建物に入れないという原作ゲームへのリスペクトなのかもしれませんが、シンプルにイライラしました笑
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あれだけあった銃火器を全て使い切った無能集団はキャスパーやルディーの今カノを失いながらも、ようやく建物内に避難します。ここで致命傷を負った船長は己の死期を悟り、外に出てゾンビたちを道連れに自爆します。そして、その爆発でドアが破壊され、建物内にゾンビがなだれ込んできます。最悪です。
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どうやらイカれ神父のセルマーノは死者を蘇らせる薬を作り出しており、その後はサイモンが自爆してルディーたちを逃がし、現時点で生き残っているルディー、アリシア、そしてカルマ(ルディー曰く自信過剰なヤツ)の3人は地下道をひた走ります。
またここでもゾンビが襲いかかりますが、ここまで見せ場ゼロだったカルマが急に立ち向かって秒殺されます。犬死とはまさにこのことです。
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ここで大分前に死んだはずのグレッグが現れ、ルディーたちを救います。しかしそれはイカれ神父のセルマーノがグレッグの顔面の皮膚を被っているだけでした。なんでそんなことするんでしょうか。
セルマーノはこの島で密かに実験を繰り返し、不死の薬を手に入れ、ゾンビを操り自らも生き長らえてきたのでした。
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手榴弾でゾンビを一掃した2人は、セルマーノとの死闘を繰り広げる。アリシアは致命傷を負うも、どうにか葬り去ることに成功。しかし、残念ながらここで彼女は息絶える。
ルディーはあの不死の薬をアリシアに使用し生き返らせ、ようやく救助に駆けつけたヘリコプターに乗り込み、本土へと帰還するのだった…
というところで物語は幕を閉じます。
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中盤以降はなんとなくルディーが主人公としてストーリーが展開しているように思えなくもないですが、序盤から中盤までが誰の何の話なのかが見えてこず、完全にブレてました。
ゲームの実写化という割にはほぼほぼオリジナルストーリーで、ゲームオーバーの演出や途中で度々差し込まれるゲームのプレイ映像くらいしか原作の要素がありません。バイオハザード程の予算は無いにしろ、低予算なりにもう少しやりようはあったのではないでしょうか。
続編があるとのことですが、もしかしたら劇的に良くなっている可能性も無きにしもあらずなのでそのうち視聴したいと思います。ちなみに次作はボル監督ではありません笑
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