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各国で上映禁止となった衝撃の問題作!体力と心に余裕がある人だけ見てください…「アングスト/不安」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(589日目)

「アングスト/不安」(1983)
ジェラルド・カーゲル監督

◆あらすじ
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刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出る。(公式サイトより引用)
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公式サイト↓

『精神障害を抱えた男が仮釈放後に再び殺人事件を起こす様子』を描いており、後述しますがオーストラリアで実際にあった殺人鬼をモデルにしています。

その過激な内容からヨーロッパ全土で次々と上映禁止やVHSの販売禁止となり、本当かどうか定かではありませんがアメリカでは配給会社が逃亡したそうです。
ちなみに日本でも劇場公開は見送られ、「鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜」という、いかにもマニア向けなタイトルでVHSが販売されるに留まりました。しかし、37年の時を経た2020年に「アングスト/不安」というタイトルで劇場公開されました。

鑑賞後は、もう本当に体力も心もすり減ってしまい丸一日何も出来なくなるくらい凄惨な描写が多すぎてかなりしんどかったです。

アーヴィン•リーダー演じる殺人犯•K
(映画.comより引用)

映画というよりかは『精神疾患を抱えた男が殺人を行っている様子、そしてそれ以降の男の行動を安全な場所から鑑賞している』という感覚の方が近いと思います。凄い作品であることに違いはありませんが、あまりオススメはできません。途中で見るのを止めるのも全然ありだと思います。

「撃ちますよ」って言って本当に撃つ奴ヤバ過ぎます。
(映画.comより引用)

監督を務めたジェラルド・カーゲル氏は共同で数本の短編映画を撮った後、1980年に起きた※ヴェルナー・クニーシェックの起こした殺人事件を題材に、製作費全額を自身で調達して本作を製作しました。

その後、理由は定かではありませんが長編映画を撮ることはありませんでした。以降はCMなどの広告系の映像や、相対性理論や量子力学を教える教育映像を手掛けているそうです。

※ヴェルナー・クニーシェックとは

オーストラリアの殺人犯。幼少の頃から窃盗や動物虐待など数々の犯罪を繰り返し、16歳で母親を刺してドイツへ逃亡。しかし逮捕され強制送還、少年施設に二年間服役。しかし釈放後には数件の強盗、さらには殺人を犯して再逮捕されるが精神障害を理由に7年後の1980年に仮釈放。その直後にアルトライター一家惨殺事件と呼ばれる凄惨な殺人事件を起こし、計3名を長時間の拷問の末に殺害。翌日逮捕され、結果的に終身刑となった。

裁判中も「女性が私のために恐怖で震えているのが大好きだ。それは中毒のようなもので、絶対に止まらない」、「私は単に殺人への欲望から彼らを殺した」等と発言し、最後まで反省を述べることは無かったそうです。

現在DMMTV、U-NEXT、huluにて配信中のほか、アマゾンプライムでは509円でレンタルが可能です。

映画.comより引用

精神障害を抱える男の無慈悲かつ冷酷な犯行の様子。そして彼の強迫観念に囚われたかのような異常な行動の数々や心理状態を描いた本作はもはやノンフィクションのルポ映画なのではと錯覚するほどに、映像を構成する一つ一つの要素が生々しいです。

映画.comより引用

全編に渡って男のモノローグがセリフの大半を締める今作では「どうやって殺そう」、「まず息子を殺して、その様子を母親に見せつけよう」、「計画が台無しだ。(死ぬのが) 早すぎる」、「家に(遺体を)置いときたくない。一緒にしよう」などリアルタイムで犯罪者が何を考えているのかが分かります。

さらに、一家を惨殺した後はなぜか遺体を大汗かきながら引きずって一箇所に集めようとしたり、返り血を水道で雑に洗い流そうとしたり、着替えはするくせに一番血が付いている汚れたポロシャツは着たままだし、どれも不完全というか中途半端に思える行動が目につきます。

彼の言動•行動は常人には全て理解不能で、何をするのか一切想像できないため本当に恐ろしかったです。

(映画.comより引用)
拘束して長時間放置&拷問を加えるなど常軌を逸した行為が目に余ります。「早く終わってくれ」よりも「早く捕まってくれ」という気持ちが強かったです。(映画.comより引用)

『普通に殺して終わり』ではなく、彼の中に異常なこだわりがあり、それらが計画通りにいかないと癇癪を起こしたり、物に当たったり、犯行が雑になったりと、とにかく『殺人』という行為に並々ならぬ執着があるのがダイレクトに伝わってきます。

(映画.comより引用)
(映画.comより引用)

全編通して淡々としつつ陰鬱な世界観に、80年代の作品とは思えない斬新かつ迫力のあるカメラワーク、滑稽にも思える独創的な音楽が合わさり、『殺人の様子』を描いている本作にある種の芸術性を持たせています。その辺りがただのカルト映画とは一線を画し、今日でも話題に上るほど新鮮なセンセーショナルさを維持し続けている要因なのではないでしょうか。

(映画.comより引用)

今作では『人の死』を至極淡々と描いており、被害者側のドラマ性やバックボーンは皆無です。それらは『人を殺す欲望に駆られた狂人』にとっては意味の無いものに等しく、誰を殺しても一緒なんだと思います。あくまで犯人視点のみで構成されているためそれが必然なのでしょう。

本当にしんどい作品でした。凄いのはもちろんなんですけど私はもう見たくありません。疲れました。

犬が助かってよかったです。(映画.comより引用)

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もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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