純粋な邪悪の復活!ハロウィンの惨劇が蘇る!親子三世代の愛と絆で不死身のブギーマンを打ち倒せ!「ハロウィン」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(691日目)
「ハロウィン」(2018)
デヴィッド・ゴードン・グリーン監督
◆あらすじ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジャーナリストのデイナとアーロンは、40年前のハロウィンに起きた凄惨な殺害事件の真相を追っていた。殺人鬼の名前はマイケル・マイヤーズ。彼は40年間、一言も話すことなく動機や感情は一切不明。あまりの恐怖に人々は彼を“ブギーマン”と名付けた。事件の被害者で唯一の生き残りローリー・ストロードにインタビューするも収穫はなかった。しかし、ローリーは再びマイケルが目の前に現れることを恐れ、いつ起きるか分からない非常事態に一人備えていたのだ。その予感は最悪の形で現実となる。ハロウィン前夜、精神病棟から患者を輸送する車が横転し、マイケルが脱走してしまう。娘のカレンはローリーの言うことを信じず、孫娘アリソンもパーティに出かけてしまっている。ローリーは再び街に解き放たれた“ブギーマン”と対峙することを決意。恐怖に満ちたハロウィンの夜が始まる―。(Filmarksより引用)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そういえば昨日はハロウィンだったなと思い、視聴させていただきました。
思い返せば生まれてこの方33年間、仮装はおろか、「今日はハロウィンだ」と特別意識することも一度もなく、私には到底縁の無いイベントだと思っていました。なもんで1日遅れではありますがハロウィンを意識して「ハロウィン」を見るというのは私の中ではかなり大きな進歩というか、初めてハロウィンらしいことをしたかもしれません。
最近では渋谷でも仮装しての入店や路上飲酒などが禁止されて数年前よりかは治安が保たれているようですが、はしゃぎたい人達はどこではしゃいでいるんでしょうか。新宿のトー横は思いっきりバリケードで封鎖して入れないようになっている写真をSNSだかで見かけましたが、新たな場所でも見つけたんですかね。
そんなこんなで本題に入りますが今作はジョン・カーペンター監督の名作「ハロウィン」(’78)の正式な続編にあたります。
「ハロウィン」シリーズはこれまでに1〜6、H20、レザレクション、ロブ・ゾンビ監督によるリメイク1〜2、そして今作「ハロウィン」、その続編にあたるKILLS、THE ENDと13作が生み出されており、2023年に公開された最新作のTHE ENDが一応完結編ということになっておりますが、果たしてどうなんでしょうか。
私はこれまでに1〜3とロブ・ゾンビ監督によるリメイク2作は視聴させてもらっておりましたが、いよいよ4以降は配信等でも見当たらず、先にH20やレザレクションを観るのはどうなんだろう、順番通りに見たいな等と思い、そのまま放置していました。しかし上記の画像を見る限り、今作は1作目を見ていれば内容の理解度に問題は無く、実際のところしっかりと楽しめました。ちなみにⅢはあまりにもハロウィンが関係無さすぎて独立しています。逆になんか愛おしさを感じますね。
主人公が息を吐くように不倫したり、ストーンヘンジのパワーが込められたバッジからビームが出たりと意味不明すぎて逆に面白いものの、完全に仲間はずれになっている「ハロウィンⅢ」(’82)のレポートも下記から読めますのでもしよかったら是非↓
一応、1作目について軽くおさらいしておくと
『6歳の時に姉を殺害した少年マイケル・マイヤーズ。精神病院に収容されていた彼は15年後に脱走。ハロウィン当日にハドソンフィールドの町の人々を次から次へと手に掛ける』という風に、感情を伺い知ることも出来ず、犯行動機も一切不明の神出鬼没の覆面殺人鬼マイケル・マイヤーズ(通称:ブギーマン)が異常なまでの怪力とタフさで次から次へと人々を殺害していきます。
そして、彼の標的となった女子大生のローリーは内気で奥手な性格ながら、子供たちを守るために自分の命を投げ打ってでもマイケルに立ち向かう“ホラー映画の理想のヒロイン像”を自で行くような強くて芯のある女性です。
そんな彼女とマイケル・マイヤーズの攻防を描いたのが記念すべき1作目です。後のスラッシャーホラー映画に多大な影響を与えた伝説的な作品であるとともに、製作費30万ドルという超絶低予算にも関わらず、最終的な興行収入は2億5000万ドル超えという異次元の数字を叩き出しており、最も稼いだインディペンデント映画(自己資金で製作された、いわゆる自主制作映画)と言われております。
そして今作は『あの事件から40年後の2018年。再び精神病院から脱走したマイケルが巻き起こすハロウィンの惨劇。そして彼がいつかまた自分を襲ってくることを予想していたローリー、そして巻き込まれる形となった彼女の娘カレンと孫のアリソンの親子三世代がマイケルに立ち向かう』
という王道の勧善懲悪ものであるとともに、母親の愛や家族の絆などをテーマにしており、非常に見応えがあり面白かったです。一応1作目のラストでマイケルは何発もの銃弾をモロに食らい、さらには2階から転落したんですけども普通に生きてました。
今作で監督•脚本を務めたデヴィッド・ゴードン・グリーン氏は以降のKILLSとTHE ENDでも同様に監督と脚本を務めており、昨年は「エクソシスト」シリーズの最新作となる「エクソシスト 信じる者」(’23)も手掛けております。ちなみに私が最近見た中で一番ハマった「ボーンズ アンド オール」(’22)には俳優として参加しております。
余談ですが、当初監督には「サプライズ」(’11)や「ゴジラvsコング」シリーズのアダム・ウィンガード氏が起用される予定でした。しかし、製作総指揮を務めたジョン・カーペンター氏からの激励のメールを貰った同氏はそれだけで満足して、なぜか監督を辞退してしまうという謎のエピソードがありました。これは流石に謎過ぎますね。カーペンター氏からのメールに「(興行的に)コケたら承知しねぇぞ」とか書いてあったんですかね。
それにしても今作はもっと早くに見ておくべきでしたね。めちゃくちゃ面白かったですし、詳しくは後述しますがローリー役のジェイミー・リー・カーティス氏がまぁカッコいいんですよ!1作目を見ておいた方がより楽しめますが、もしあれだったらWikipediaとかで1作目の内容をさらうだけでも大丈夫だと思います。オススメです!
現在Netflix、U-NEXTにて配信中です。
ストーリー自体は非常に王道のスラッシャーホラーテイストでとても見やすいです。
という始まり方は、冒頭の病院のシーンでジャーナリストが担当医から“マイケルが過去に何をしたか”を聞き出したり、マイケル本人に犯行時に使用していたマスクを見せつけることで、自然な流れで1作目をおさらいしてくれる非常に丁寧かつ親切な導入になっており好感が持てました。そのため先ほども申し上げましたが今作から見始めても全然大丈夫です。
以降は
といった感じで展開していきます。
マイケルの殺戮描写はもちろん顕在かつ見応えたっぷりです。その大きな体を活かして人々を力任せに葬っていく様には爽快さすら感じます。そんなマイケルは前作から40年後に再び凶行に及ぶわけなんですけども、よくよく考えたらもう彼も61歳になるわけです。
一体何が彼を突き動かすのでしょうか。
今作ではマイケル•マイヤーズのバックボーンを掘り下げるのではなく、あくまでローリーがマイケルとの40年前のけりをつけるところに重きを置いているため、その辺りは明らかになりません。
前作の惨劇から唯一生き残ったローリーはマイケルに怯え続ける人生を送り、アルコール依存となり、2度の離婚を経験。“いつかまた襲われるもかもしれない”という生き残った者の苦しみを背負い続けており、マイケルに人生を狂わされ、そして支配されてしまった一番の被害者とも言えます。
そんな彼女は母親としてカレンにいつか来たるマイケルの脅威から身を守る術を教えることしか出来ず、愛情を注いでやれなかったことを悔い続けています。娘のことを愛しているけど、自分の正気を保つことで精一杯だったローリーは郊外でひっそりと暮らしていました。
しかし、そんな彼女もマイケルを倒すために常に準備を怠らず、射撃訓練や銃火器の準備や手入れはもちろんのこと、自宅の地下に隠し地下室を作ったり、あらゆる部屋を封鎖できるシャッターや照明の確保、マイケルを閉じ込めた際には可燃性のガスを放出して家ごと燃やすところまで計画しているなど、もはや彼女の自宅は要塞と化しています。
そんな様々なものを背負った彼女がもう本当にカッコいいんですよ。生き様がかっこいいと言いますか、やはり老練な女性って憧れてしまいますね。1作目と同じジェイミー・リー・カーティス氏が演じていらっしゃるというのも重要なポイントです。
ストーリー的にはローリーとカレン、そしてアリソンの親子三世代の絆や愛を描きたかったんだと思いますが、ローリーとカレンのバックボーンが濃すぎて、どうしてもアリソンの存在が軽く感じました。アリソンは作中ではマイケル絡みのトラブルに一番巻き込まれますし、なんなら一番危険な目にあってるかもなんですが、ローリーとカレンの関係性の修復の方にばかり目が行ってしまいました。これは私がローリーのファンだからかもしれません。
要塞と化したローリー家で繰り広げられるマイケルとの攻防を描いたクライマックスは非常に迫力があり、あまりの面白さに私はもう一度巻き戻して見ました。
ただ一つだけ気になったのがマイケルの担当医であるランビールの存在です。マイケルが移送中に脱走出来るよう仕組んだのも彼であり、ホーキンス保安官がマイケルを車で撥ねて行動不能にした際も隠し持っていたメスで急襲してマイケルを助けるなど、とにかくマイケルが再び惨劇を起こし、ローリーと対峙するように仕向けます。
アリソンに対して「悪の心を知る絶好の機会なのに。マイケルはローリーと対決するために生まれてきた。捕食者としての自覚と餌になる恐怖。それが2人を生かした」等と意味深なセリフを発することから、おそらくはマイケルの全てを知りたい、もっと研究したいという医師としての好奇心や熱意が歪んだ結果なのだと思われます。
なんですけども、少々くどいというか、あまりにも唐突過ぎて「なんで?」のほうが強かったです。もう少し重要キャラ感があったりすればまた違ったのかもしれませんが、ここだけ『逃走したマイケルがローリーとの最終決戦に挑む』というクライマックスに繋げるために用意したシーンに見えてしまいました。
ちなみに「ハロウィン」(’78)でマイケルを演じたニック・キャッスル氏が今作でも同役を担当しておりまして、撮影時70歳だった彼が演じるマイケルは迫力はそのままに重厚感が増しています。
ラストはマイケルが脱出不可能な状態で家ごと業火に包まれるもおそらくはまだ彼が生きていることを暗示させる終わり方で非常に良かったです。近い内に続編も見ていこうと思います。オススメです!
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?