秀でているぞ、このサメ映画!サメは全然出ないけど「サメストーカー」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(619日目)
「サメストーカー」(2020)
コリン•ゼイズ監督
◆あらすじ
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アリソンは恋人の母親が主催するビーチでのパーティに家族と訪れていた。すると弟がサメに襲われ、ダニエルと名乗る青年に助けられる。これをきっかけにダニエルはアリソンの家族と仲良くなるが、アリソンはダニエルにどこか違和感を抱き…。(Filmarksより引用)
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『サメに襲われているところを助けてくれた金髪イケメン青年が実は激ヤバなストーカーだった』
という、サメ映画の皮を被ったヒトコワ恋愛サスペンス映画です。
先に言っておくと、サメに関しては冒頭とラストにしか登場しません。「サメストーカー」と謳ってはいますが、別に『執念深いサメがどこまでも追ってくる』という話ではありません。あくまで作品におけるスパイス程度の存在です。
今までの経験からいうと、そういったタイトル詐欺の作品は内容が完全にアレなことがほとんどなので、私はネタ的な意味でいつも楽しんでいました。
しかし!
今作に関しては確かにタイトル詐欺ではあるんですけども、サイコパス青年のストーキング行為の数々や殺人シーンは非常に見応えがありますし、なにより映画として普通に秀でています。ありきたりと言えばありきたりかもしれませんが十分に楽しめると思います。
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今作の原題は「Stalker's Prey2」であり、実はシリーズの2作目です。なぜかは不明ですが、ナンバリング的には2作目の今作が日本では1作目扱いされており、リリースされたのも今作が最初です。
日本では「サメストーカー」(’20)→「サメストーカー ビギニング」(’17)→「サメストーカー リターンズ」(’21)の順番でリリースされましたが、本来はビギニングが1作目にあたります。
「Stalker's Prey」というサメ要素がまったく無い原題にも関わらず「サメストーカー」という邦題を付けているあたり、また例によって日本の配給会社の悪いところが出ているような気もします。私はその邦題にまんまと釣られたわけですが…
ちなみに、ビギニングから先に見たほうが良いのかなとも思いましたが、結果的には全然大丈夫でした。日本の配給会社を信じて、堂々と今作から見ちゃってください。
◇海辺の町シルバーサンズに住む女子高生のアリソンは恋人•カーソンの母親が主催したビーチでのパーティーに参加していた。各々自由にパーティーを満喫していたが、沖に取り残された弟のケビンが突如出現したサメに襲われてしまう。助けようと駆けつけたアリソンまでもが狙われ、絶体絶命のピンチ。そんな二人の窮地を救ったのはダニエルという美男子だった。人当たりも良く、アリソンの家族にも受け入れられていくダニエルだったが、カーソンだけは彼に違和感を感じていた。そして徐々にダニエルの異常性が露わになっていくのだった。
という流れになっています。
冒頭でサメは登場しますが、先述した通りその後はラストまでほとんど登場しません。(中盤で2回ほどヒレだけ映ります)
この作品における恐怖の対象はあくまでダニエルです。
見た目は金髪の爽やかイケメン青年で、人当たりも良いパーフェクトメンズですが、その実は異常なまでに執念深く、一目惚れしたアリソンをなんとしてでも自分のモノにしようと殺人にまで手を染めるサイコパス野郎でした。
口八丁手八丁の嘘や自作自演を並べてアリソン一家に取り入り、同情を買って居候するまでに至り、自分の事を怪しむ人物や邪魔になりそうな人物を次から次へと殺害していきます。
基本的には『拉致して海に突き落としてサメのエサにする』という方法でカーソンやアリソンの父•テッドを殺害しており、証拠隠滅にも抜かりがありません。
ダニエルという名も、経歴も全てデタラメで、本当の名前はブルース•ケインということが終盤で明らかになります。本物のダニエルを殺害して彼の名前と経歴を名乗っていた彼は、サメに発信機を付けており、スイッチ一つでサメを操ることが出来たのです。そのためアリソンとケビンを救ったのも全て仕組まれたものでした。
『過去にも同じような手口でサメから女性を救っており、その時は殺人が明らかになる前にサメの駆除に出かけ、その最中にサメに襲われ消息を絶つ。そして事件は容疑者死亡という形で収束した』
というこの部分↑がビギニングの内容にあたります。
流れ的には『ダニエルが犯行を繰り返し、その狂気性が徐々に明らかになり、最後はアリソンやアリソンの家族をも殺そうとするが反撃に遭い、サメに食べられて死亡する』というもので、このクライマックスもアリソン一家の絆が素晴らしく非常に見応えがありました。
普通に面白かったんですけど、物語序盤でダニエルがアリソンを救った後すぐに彼女の家の住所を調べ、自宅に赴き、二階から彼女の部屋に侵入しようとしたり、彼女の口紅が付着したティッシュにキスをしたりと割と早い段階から“ダニエルが異常者”というのが明らかになるので、いわゆるネタバレ的な爽快さはありませんでした。(そこが見どころではないので仕方ありませんが…)
サメ映画ではありませんでしたが普通にヒトコワのホラーとしてはかなり楽しめました。カメラワークやカット割り、BGMにもこだわっており作品としての質が非常に高いです。
明日はさっそくビギニングの方を見ようと思います。楽しみです。
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