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テロリストもびっくり!タイトルそのまま巨大タコ!これぞB級!現在無料公開中「オクトパス」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(634日目)
「オクトパス」(2000)
ジョン•エアーズ監督
◆あらすじ
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新米のCIAエージェント•ターナーはブルガリアで逮捕した国際的テロリストを原子力潜水艦で護送する任務に就くが、潜水艦は“悪魔の眼”と呼ばれる魔の海域で何物かに襲われる。それは、かつてキューバ危機の際に沈んだロシアの原子力潜水艦から漏れた放射能によってタコが突然変異した巨大なモンスターだった。折りしも海上にはテロリストの仲間がハイジャックした豪華客船が迫っていたが……。(Amazon.co.jpより引用)
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なんと現在、映画配給会社(株)プレシディオ様の公式YouTube“プレシディオチャンネル”にて期間限定で無料公開中です。
今作以外にも様々な作品を無料公開してくださっているので映画好きの皆様はぜひチャンネル登録をオススメします!
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『暗い深海にて放射能と毒物によって突然変異を繰り返した巨大タコがテロリスト護送中のCIA•ターナーたちが乗り合わせていた潜水艦を襲撃する』
という内容のモンスターパニックムービーです。
随所に「これぞB級!」と言いたくなるチープな演出やカット割り、そして詰めの甘い構成が見受けられます。さらには2000年代初頭を思い出させてくれる低クオリティなCGの巨大タコはのっぺりしていて迫力こそありませんが、豪華客船を覆うほどの大きさにはロマンがありますし、一切意思が感じられない純然たるタコとして描かれているのがとても良かったです。
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(thetelltalemind.comより引用)
映画評論家の方々に感想を伺ったら、もしかしたら酷評されてしまうかもしれません。ですが個人的には娯楽として見る映画ならこれ以上ないと言いますか、ご飯を食べながらダラダラ見るのにちょうど良いです。じっくり集中して見てしまうとその粗の多さに気づいてしまうので、今後視聴される方には“ながら見”を推奨します。
監督を務めたジョン•エアーズ氏は主に90年代に如何にもなB級映画を数作手掛けておりましたが、2001年に公開された「RIPPER 地獄からの手紙」という絶妙なタイトルの作品を発表して以降の活動はありません。お元気でいらっしゃることを願うばかりです。
脚本を担当されたマイケル•D•ウェイス氏は今作が長編映画デビューで、2011年には「ホステル3」の脚本も担当するなど、現在でも第一線で活躍されております。ちなみに今作の正式な続編にあたる「オクトパス IN N.Y.」(’01)も同氏が脚本を担当されております。
こちらも近々視聴したいところです。プレシディオ様のご寛大な御心でなんとかYouTubeでの無料公開をしていただけないでしょうか?
今作に関しては現在U-NEXTでも配信中です。途中で広告が入るのがちょっと…という方はサブスクで視聴することをオススメします。
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◇CIAの諜報員を務めるターナーはブルガリアにて捕えた国際的なテロリストの一人であるキャスパーを米国まで原子力潜水艦で護送する任に就く。しかしその情報を聞きつけたテロリストたちは豪華客船をジャックして潜水艦を追い、キャスパー奪還を図る。そんなことは露知らず、米国へ向かう潜水艦はデビルズ•アイと呼ばれる海域で突如、謎の巨大生物の襲撃を受ける。
という、一作で『巨大タコの脅威』と『テロリストたちとの攻防』のどちらも楽しむことができるB級良作です。
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正直なところ、タイトルからして『巨大タコの脅威』の方に比重を置くべきだと思うんですけど、潜水艦内でのキャスパーとの攻防や、テロリストの一味が豪華客船をこっそりジャックするみたいなサスペンスアクション等も描こうとした結果少々どっちつかずになってしまった印象です。
巨大タコからの襲撃を受けた時の潜水艦内のシーンなどは迫力があってとても楽しめましたが、そこまで重要でもないキャラたちのドラマや葛藤を中途半端に入れたせいで終始テンポが悪かったです。
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(thetelltalemind.comより引用)
冒頭の方でも少し触れましたが、集中して見ると今作の粗がかなり気になると思います。
具体的に何がというわけではないんですけども、演出やカット割り等に全体的に『それじゃない感』が漂っています。あと作中のBGMや選曲にあまりセンスが感じられず、ものすごく緊迫している潜水艦内のシーンからテロリスト犯たちが乗っ取った豪華客船のシーンにカットが変わると、いきなり「アリーナ!」と陽気な音楽が流れます。
それまでの雰囲気がぶち壊しになりますし、その後の豪華客船のシーン自体も短いですし、あっても無くても良さそうなものなので余計気になってしまいました。ターナーとフィンチが潜水艦内で初めて対面するシーンで流れるムーディーな曲もちょっとダサかったです。
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タコの襲撃を受け、慌てて皆で避難する緊迫したシーンでは、誰かに押されであろうフィンチが「ちょっと!お尻触らないでよ!」と言ったり、脱出ポッドに乗り込む緊張感溢れるシーンでショー艦長が「レモンあるか?タコフライにかけるんだ」と言ったり、所々で『今このタイミングで言わなくてよくない?』と思ってしまう間の悪いセリフの数々も気になりました。
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(thetelltalemind.comより引用)
見所でもある巨大タコは
数十年前、ソ連の潜水艦が積んでいた放射能物質や毒物(マイコトキシンという病原菌が生産する毒物の一種)を摂取したタコが数回に渡り突然変異を繰り返して誕生したもので、大きさは優に数10mを超えます。
この設定やビジュアルは非常に魅力的で、CGのクオリティさえ高ければかなり迫力があったと思います。ですが、人間を襲う理由みたいなものがいまいち腑に落ちず、フィンチ曰く
『鉄欠乏症なのでタンパク質に飢えており、それでデビルズ•アイ(悪魔の目)海域を通る船や潜水艦を何10隻も襲っていた』
ということなんですけども、『突然変異を繰り返して鉄欠乏症になる』というのがまったく意味が分からず、もし常にエサを求めているなら別にデビルズ•アイの海域にこだわらなくても、自分からどんどん船がたくさん通るような場所に移動していったほうがいいんじゃないですかね。
それっぽい理由を用意した割には少々薄かったです。
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登場人物の描き方も少々薄っぺらく、主人公のターナーは物語序盤で銃を撃つことを躊躇い、その結果同僚のヘンリーが命を落とします。クライマックスでもヘリで逃走するキャスパーを撃つことができず、この時も巨大タコが空気を読んでキャスパーを殺してヘリも潰しました。トラウマを抱えて銃を撃てない主人公は最後は絶対に撃たなきゃいけないじゃないですか。「やった!タコがやってくれた!」と悠長に喜んでる場合じゃないんですよ。全然主人公として機能していなかったです。
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あとヒロインポジションのフィンチはキャラクターの方向性が定まっていなくて、私は好きになれませんでした。
ある海域の海洋生物などを調査する目的で海洋学研究所から出向してきた博士なんですけども、初登場時から乗組員とトランプに興じて「私が負けたら全裸になってやるわ」や「あんた(黒人の俳優さん)が負けたらその黒い肌全部見せな」などと品のないセリフを連発し、その横にはフィンチの下着を頭に被ってる乗組員がはしゃいでいます。
この登場なら確実に男勝りな御色気担当キャラだと思うんですけど、基本的に作中では知識担当として機能しているので、会ったばかりのターナーを露骨に誘惑したり、目の前で何度も着替えたりするなどの行動がキャラクターと解離してしまっているようで多重人格に見えてしまいました。
『なんとかしてエロいシーンをねじ込みたい!クライマックスではキスさせたい!』という作り手側の作為が先行したのではないでしょうか。
そういうキャラなら博士とかではなく、例えば博士の助手みたいなポジションにしたほうがよかったと思います。あと、そもそもテロリストを護送するような政府の潜水艦に研究所の博士が生物の調査で乗り合わせるってちょっと無理があるように思います。逆に『フィンチがテロリスト側のスパイだった』みたいな展開だったらそれこそB級っぽくて良かったかもです。
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色々と書いてしまいましたが、娯楽として見る分には十分楽しめると思います。『大きいタコが暴れ回る』なんてロマンの塊ですし、ちょうど無料のこのタイミングで是非ともご覧になってみてください。
☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。
渋谷裕輝 公式HP↓