見出し画像

凶暴な恐竜が解き放たれた屋敷で24時間生き延びろ!!もはや清々しさすら感じる超絶チープな謎デスゲーム開幕!「ダイナソーホテル」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(737日目)

「ダイナソーホテル」(2021)
ジャック•ピーター•マンディ監督

◆あらすじ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シングルマザーのシエナは2人の子どもを抱え、生活に困窮していた。ある日、新しいゲーム番組“ダイナソーホテル”の参加者として選出され、“優勝賞金10万ポンド”という謳い文句に大喜び。しかしゲーム当日、頼りにしていた子守りに仕事を放棄され、シエナはこっそり我が子をゲーム会場の屋敷に同行させた。そこでシエナを含む5人の女性参加者が集結。その後、ゲームマスターに誘導されるがまま屋敷の庭に出た一行。すると突然けたたましく鳴り響くサイレンとともに、巨大な恐竜が出現!予想外の状況に激しく動揺するシエナたちにゲームマスターが“チャレンジ”の説明をするのだった。それは“今から24時間、恐竜を倒し最後まで生き残れた1人が優勝”だということ。そして遂に優勝賞金10万ポンドと生死を賭けたゲームの幕が上がった!(Filmarksより引用)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『賞金目当てで参加したゲームは“凶暴な恐竜が解き放たれた屋敷で24時間生き延びる”というイカれたデスゲームだった!』というもはやホッとするレベルの超絶チープで内容がペラッペラのデスゲームホラーです。

ストーリー、演技、そして一番の見どころでもある恐竜のクオリティ等など、全てにおいてもう本当に箸にも棒にもかからないくらいにどうしようもないアレな作品ですが、もちろん私は大好物です。

「ダイナソーホテル」と謳っているにも関わらず、登場する恐竜はティラノサウルスとヴェロキラプトル(恐竜映画によく登場する中型のやつ)とプテラノドンのみで、動きやビジュアルもせいぜいPS2初期のグラフィックとどっこいどっこいだと思います。申し訳程度の血飛沫も非常にお粗末で、Z級映画好きには堪らないクオリティに仕上がっております。

唯一2体登場するヴェロキラプトル(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

先日視聴した「ソフト/クワイエット」(’22)が思いっきり心を抉ってくる内容だったこともあり、「今日はとびきりどうしようもない作品を」という思いで色々と探していたところこの作品に出会いました。

予想以上のアレな出来に、「私の帰って来るべき場所はここなんだな」と自分のB級、Z級映画好きを再認識しました。純粋に面白い映画を見たいという方にはオススメできませんが、重めの映画(例えば「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とか「ミスト」とか)を見て、心がうわっとなっている方々には持って来いの作品です。

もしあれだったら私と同じように「ソフト/クワイエット」を視聴した後に今作を見てみてください。この作品の中身の無さや低クオリティが心地良く感じるかもしれません。

※ちなみに「ソフト/クワイエット」は90分ほどの作品でしたが体感時間は数十分でした。しかし今作は80分ほどの尺ですが逆に長く感じました。時間の概念がおかしくなりそうです。

主人公のシエナ(真ん中)と子供たち(マンディとピーター)
(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

俳優陣の演技のレベルはお世辞にも高くはありませんが、それ以上に主人公シエナの子供(マンディとピーター)を演じた子役が完全に素人でめちゃくちゃ気になりました。

個人的にはセリフが棒読みの子役とかはまったく気になりません。微笑ましく思いますし、応援したくなります。しかし今作の子役2人はそう言った次元ではなく、演技というものを知らない本当にただの子供なんです。恐竜から逃げる時は小走り、画面外のカンペをガン見、周囲の大人とはまったく違うところを見ている、母親がピンチなのに棒立ち等など、最低限指示されたことだけをよく分からずにただやっている感じです。

デスゲーム“ダイナソーホテル”が行われる屋敷(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

これはおそらく予算削減のためにちゃんとした子役をキャスティングせずに出演者や制作陣の子供を出演させているなと思ったら、案の定主人公シエナ役のクリッシー•ウンナ氏のガチ子供でした。

どおりでごく自然に母親に懐いているわけです。本当の親子ですからね。今作は“親子の絆”をテーマにしているため、子役には演技ではなく、母親との絆や懐き度を優先した結果だったのかもしれません。十中八九予算の都合だと思いますが…

ちなみに主演のクリッシー•ウンナ氏は巨大ワニが披露宴会場で大暴れするB級ワニ映画「クロコダイル•パニック 殺戮の披露宴」(22)にも出演しております。

そんな今作を手掛けたジャック•ピーター•マンディー監督、そして脚本を担当したシャノン•ホリデイ氏ともにこの作品以外の情報は出てきませんでしたが、一応、マンディー監督が郷ひろみさんと同じ10月18日生まれということだけは確かです。というか、シエナの子供たちの名前(マンディとピーター)は監督の名前から取ってるっぽいですね。そもそも本名かどうかも怪しいですが…

そんな今作は現在アマゾンプライム、U-NEXT、DMMTVにて配信中です。心が疲れて何も考えたくない方にオススメです。

本編よりもこのジャケ写の方が100倍迫力があります。あと、“車が炎上する”だなんてそんな贅沢なシーンは当然ありません。(Filmarksより引用)

◇2人の子供を育てるシングルマザーのシエナは経済的にも困窮しており、日々その日を生き抜くことで精一杯。そんな彼女はテレビなどの視聴者参加型のゲーム番組等に賞金目当てで片っ端から応募しており、ついにある日、ゲーム主催者を名乗る男からゲームの参加者に選ばれたことを告げられる。優勝賞金はなんと十万ポンド。これで子供たちにもひもじい思いをさせずに済むと舞い上がるシエナ。しかしゲーム当日、どうしてもシッターが捕まらず、仕方なく会場まで子供たちを連れて行くことに。しかし彼女のこの選択が後に騒動を巻き起こすことになるとはまだ誰も知る由もなかった。

何が行われるかもわからない参加者たち。彼女らを目の前にして告げられたゲームの内容は『恐竜が解き放たれたこの敷地内で24時間生き延びた最後の1人が勝者となる』という想像を絶するデスゲームだった…

というのが今作の細かめのあらすじです。

ルールやら諸注意を告げたり、不正が行われないか監視する球状のロボット(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

まごうことなきZ級映画なのでキャラクター一人一人のバックボーンなど皆無ですし、ゲームのルール等もゆるゆるです。なもんでくれぐれも粗を探したりするのはやめましょう。

一応、このゲームは定期的に行われているようで、世界中の金持ちが誰が生き残るかを賭けながらリアルタイムで視聴しているらしいです。そのため賭け金だけでも数千万ポンド集まるらしく、優勝賞金の十万ポンド(日本円換算でおよそ2000万円)など端金に過ぎず、おそらくは本当に優勝者に渡していると思われます。

なんか意味ありげなポーズをするゲーム主催者(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

敷地内(屋敷の中も含む)であればどこに逃げても隠れても問題ありません。ただ屋敷内には武器や連絡を取り合うことが出来るレシーバー(数に制限あり)が隠されているため、それらを確保するまでは屋敷内を探索する方が得策だと思われます。なお、ゲーム開始前にスマホなどは回収されます。

ティラノサウルスに食べられてしまう参加者のルビー。作中では名前が明らかにされません。(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

参加者はシエナを含め5人という少なさなので、20%の確率で2000万を手にすることが出来るという破格のビッグチャンスとなっています。

『それなら皆が逃げ回っている間、自分だけ隠れておけば良いのでは』となりそうなものですが、このイカれたゲームに対して参加者は皆憤りを感じており、めちゃくちゃみんなで協力しますし、敷地内で迷子となったシエナの子供たちを助けることにも非常に協力的です。

マンディを救う参加者のローラ(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

今作は自分の命をなげうってでも子供たちを救おうと敷地中を奔走するシエナを軸に描いておりますが、それだけではなく『実は参加者の1人でシエナとも非常に友好的だったザラが実は主催者側の人間で、後々裏切ってくる』というプチどんでん返しでクライマックスを盛り立ててくれます。

いまいち彼女がどういう立ち位置で、何をしたかったのかは分かりませんが、おそらく制作陣もあまり考えてないんだと思います。

最後は最高の負け顔を見せながらティラノサウルスに食べられるザラ(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

ラストはシエナと子供たちだけが生き残り、主催者に「この敷地内にいる限りは全員参加者だ」と言われ、親子で殺し合うことを強いられます。しかしどこで手に入れたのかは分かりませんが、シエナが隠し持っていた拳銃で主催者を撃ちます。「敷地内にいる者が全員参加者ならばアンタも参加者よ」という至極真っ当なシエナの返しは皮肉が効いており、良かったです。

動きを奪われた主催者はティラノサウルスに食われて死亡。シエナは勝者に選ばれます。ここで「子供たち生きてるじゃん!最後の1人が勝者なんだろ?」等と言うのは野暮です。きっとどこかで見ている世界中の金持ちが親子の絆に胸を打たれて「もう優勝で良いじゃん!」となったのかもしれません。

主人公シエナが他の参加者と比べて、髪がボサボサだったり、メイクが安っぽかったりするのが逆にリアルでした。(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

ずっと明るかったのに場面が切り替わった瞬間に辺りが真っ暗になっている、宙に浮く球状の喋る機械に対して何のリアクションも示さない参加者たち、その機械や恐竜は一切触れることなくドアを開ける、マンディが完全に逃げ果せた後になぜかティラノサウルスの目の前に飛び出して食われるローラ等など

挙げだしたら切りが無いほどにツッコミどころが多くて、これは是非ともお友達なんかと大勢で見るのが良いかもしれません。

凶暴なティラノサウルス(youtube Dinosaur Hotel | Official Trailer | Horror Brainsより引用)

予算が無いけどデスゲームの作品を撮りたいのなら、せめて恐竜ではなく『個性豊かな殺人鬼を大勢解き放ち、参加者はそいつらから逃げる』みたいにしたほうが面白いような気がします。

それだとほとんどロブ・ゾンビ監督の「31 サーティーワン」(’16)ですが、対人間にしたほうがCGのチープさも露呈せずに済むと思います。逆に恐竜を全部着ぐるみとかにして思いっきりチープに振り切るのもありかと思います。

疲れた時にちょうどよいアレな作品でした。出会えて良かったです。

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


いいなと思ったら応援しよう!