ロブ・ゾンビ流“新解釈ハロウィン”「ハロウィン」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(483日目)
「ハロウィン」(2007)
ロブ・ゾンビ監督
◆あらすじ
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ハロウィンの夜、白いマスクをかぶった少年・マイケルは姉をはじめ3人を惨殺した。精神病院に入院した彼は、ルーミス医師の治療を受ける。それから17年後のハロウィンの日、成長したマイケルは病院を脱出。当時赤ん坊だった妹を探し、再び殺戮を開始する。(公式より引用)
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世界的なミュージシャンであり映画監督でもあるロブ・ゾンビ氏がジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」(1978年)をリメイクした作品で、ハロウィンシリーズの9作目とされています。
ロブ・ゾンビはリメイクの際にカーペンター監督から「映画を自分のものにしろ」というアドバイスを受け、オリジナル版の設定などを踏襲しつつ、オリジナルではほとんど語られることがなかったマイケル・マイヤーズの少年時代にスポットを当てています。
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オリジナル版ではマイケル•マイヤーズの人間離れした異常なまでの怪力と無敵感、無感情、神出鬼没で動機不明の凶行など『怪物だけどほんのわずかに人間を感じる部分』がとても魅力的で、情報が少ないからこそ『なぜそんなことをするのか』を視聴者に想像させる奥行きが生まれるため我々はマイケル•マイヤーズに釘付けとなっていました。
そのため続編の「ハロウィン2」におけるマイケルやローリーの過去、そしてマイケルの内心のようなものが明らかにされる展開は前作のフリも効いているため非常に楽しめました。
そして今作はロブ・ゾンビ監督によるオリジナル版の踏襲と新しい要素と解釈によって完全に新しい「ハロウィン」が生み出されました。
マイケルの少年時代にスポットを当てて前半でしっかりと描いているため、本来は「ハロウィン2」で明かされるマイケルとローリーの関係性なども明らかになっている状態で話が進んでいきます。
このマイケルの少年時代をがっつりと描いたのが賛否両論別れるところで
複雑な家庭環境に置かれ、10歳の時からネズミや猫を殺していたマイケル少年とストリッパーの母、クズな義父、すぐ男を連れ込む姉、理不尽にいじめられる日々、教師は見て見ぬふり。義父と姉とその彼氏を惨殺する凶行に及んだ後の施設での暮らしやルーミス医師との出会い、母の愛、そして別れなど
説得力抜群で誰もが共感できるように全てを繊細にしっかりと描いています。母親や幼い妹にだけは素顔を見せる等、“マイケルも人間だったんだ”というこの前半部分が見どころだとすら私は思います。
しかし、怪物というよりもサイコパスな一人の人間として描いたことでオリジナル版の『なぜそんなことをするのか』という想像でしか補うことができない恐怖や怪物っぽさ、そして独特なキャラクターが薄まってしまったように感じました。良い意味でも悪い意味でもこの前半が分かりやす過ぎたのかもしれません。
オリジナル版の「ハロウィン」を見ていなければ十分に面白い作品なんですが、速歩きしたり飛び付いたりと完全に人間らしい行動をするマイケルがハマらないという意見も正直わかります。
個人的にはこの前半部分もめちゃくちゃ面白かったんですけど、「あれ?これって本当にロブ・ゾンビ監督作品?」って思ってしまうほどにまともだったのは意外でした。
施設脱走後の展開や殺戮シーンはオリジナル版へのリスペクトを感じる作りとなっているためヒロインのローリーが登場してから面白さがさらに加速します。特に脱走直後に廃屋で包丁とマスクを手にしたシーンはBGMも相まってめちゃくちゃかっこいいです。
マルコム・マクダウェルが演じるルーミス医師役もオリジナル版とはまた違った良さがあり、けっこう無責任だったりと人間味のあるキャラで個人的にはマクダウェル版のルーミスの方が好きかもしれないです。
クライマックスは少々くどいかもしれませんが、マイケルに対するローリーの明確な殺意というものが見えて非常に見応えがありました。
マイケルが飼っているネズミの名前がエルビスだったり、KissのTシャツを着ていたりとロブ・ゾンビ監督の趣味が全面に出ており、ただのリメイクとは一線を画す作りとなっているあたり流石ロブ・ゾンビ監督だなと思いました。
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